初めてのお正月をしあわせに迎えた猫シリーズ。今週の舞台は、千葉県匝瑳市の田んぼに囲まれた小高い丘の上。「猫の美術館」としてその名を馳せる松山庭園美術館です。
子猫を次々保護しました、との知らせに飛んで行くと、生後3か月くらいのなんとも愛らしい子猫が2匹、ソファーの上でくつろいでいました。
二日にわたって美術館下に捨てられたらしいのですが、顔がそっくりなので、兄弟と思われます。
最初に見つけてもらったのが、サバ白の男の子。美術館下の駐車場で、小雨の中、館から帰るところの写真家のかたに運よく発見されたのです。クリスマスの3日ほど前でしたので、「サンタ」と名付けられました。
手前がサンタ。奥にいるのが、次の日、美術館奥の崖の茂みで鳴いているのをスタッフに保護されたキジ白くんです。
この2匹目は、とりあえずの名を、1匹目の「サンタ」に続き「クロース」と名付けられました。
クロースが保護されたのを見ていた出入りの飲食店のオーナーが、思わず言った言葉がこれ。「やあ、クリスマスプレゼントだ!ここの猫たち、よく働くから」
猫スタッフたちが来館者をもてなす日頃の仕事ぶりを見ていたので、クリスマスに神様が猫たちに新入りを贈ったのだろうというわけです。
子猫たちが発見された2日間は雨が降ったりやんだりの天気で、2匹とも雨に濡れていなかったので、捨てられて間もないと思われます。寒い時期、しかもその夜はかなりの雨でしたから見つけてもらわなければ、低温症で命が危ぶまれるところでした。言うまでもなく、動物の遺棄は犯罪です。この子たちは運がよかったにすぎません。
健康状態もよく、よく食べ、仲良く遊んでパタンと寝てしまう2匹。室内で飼われていたに違いありません。ここまで無邪気にすくすく育てた子を捨てるとは!
サンタは美術館の子として迎えられ、あらためて「燦多」という名になりました。クロースは、館のスタッフで画家の花澤さんが虎之介・瀬奈に続く3匹めとして迎えることに。瀬奈ちゃんにそっくりで、まるで瀬奈ちゃんが産んだ子のように思えたからです。
そう、虎之介と言えば、この記事。→ 道ばた猫日記
「2週間のおとうと」で覚えていらっしゃる方も多いことでしょう。
※最近の記事はこちら → 道ばた猫日記
「あの虎之介は今」
クロースは、「亜久里」という、レーサー由来の名をもらい、繊細で気の優しい虎之介くんにすぐなつきました。瀬奈ちゃんにもすんなり受け入れてもらえました。
ホットカーペットの上の3きょうだい。虎之介おじさんが舐めてやろうとすると亜久里くんは避けようとしますが(笑)、瀬奈お姉ちゃんが舐めるのはまんざらではない様子とのこと。あれやこれや笑える場面が増えて、花澤家ではいつもより賑やかで明るいお正月だったようです。
花澤さんは、都合のつく日は館にスタッフとして通っていますので、その日はたいてい亜久里くんも車に籠入りで同乗して里帰りします。燦多くんはかごの前で待ち構えていて、亜久里くんが飛び出すや否や、プロレスごっこ。燦多くんは、美術館の新入り猫スタッフ。亜久里君くんは通いの猫スタッフとして、これから揃ってたくさんの人に愛されて育つことでしょう。
年が明けて、美術館に行ってみると......。
いつもはサロンにデンと構えていることの多いゴッドマザーのミーちゃんが、庭でひなたぼっこをしていました。
「館内の接待は、きょうは新入りに任せて、羽を伸ばしているの」
館内では、その新入りたちが揃って出迎えてくれました。
もうすっかりスタッフ顔ではないですか。
館内奥の展示室まで、案内してくれたり、
コノキ画伯の大作の前では「こうやって光を浴びるとパワーをもらえるよ」と教えてくれたり、
「ここでどう?」と写真のモデルをしてくれたり。
2週間にして、とてもいい仕事をしていました。
ミーちゃんは見守る形。最初は新入りのいるサロンに寄り付かなかった黒助白助たち先輩スタッフも、日に日に新入りを受け入れてくれているようです。
花澤さんに抱かれた亜久里くん。大猫になりそうな予感です。
花澤さんの動画では「あぐり」と呼ぶと「にゃあん」とお返事するこんなかわいいシーンも流れます。
今週金曜からの美術館の展示は、「煌めくガラス絵展」。花澤さんは瀬奈ちゃんを描いた作品を出品します。そのうち燦多・亜久里兄弟や、虎之介・瀬奈・亜久里3きょうだい揃い踏みの猫愛溢れる作品も生み出されることでしょう。楽しみです。
ところでこの新入りたち、最近はアトリエにも入り込んで遊び場にしているそうな。そのうち、コノキ画伯の描きかけの作品に爪を立ててしまいそうな天衣無縫さだけど、きっと先生はニコニコ笑って言うでしょう。
「あーあ、やっちゃったか。仕方ないね、猫だもの」
松山庭園美術館
住所:千葉県匝瑳市松山630
開館日:金曜日・土曜日・日曜日・祝日 10:00~17:00
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

『
猫は奇跡』
"ふつうの猫"たちが起こした奇跡の実話17選

『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを

『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。

『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。

『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。

『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!

『
いつもそばにいる猫』
描き下ろし猫スタンプが登場。猫たちがあなたのトークルームに寄り添います!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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未だに猫を捨てる人がいるなんて許し難い。猫に比べ人間はなんと野蛮なことか。それにしても松山庭園美術館はいつも賑やかで楽しそう。手の大きな犬は大きな体になるそうだが猫も同じかな。燦多、亜久里も立派な学芸員になるか先が楽しみ。
by Y,M 2026-01-13 16:49
兄弟揃って幸せになれて本当に良かったです。突然、外に放り出されて、どれだけ不安だったことでしょう。
それにしても、立派な美術館スタッフぶり。
可愛すぎますね~
by ちぃ 2026-01-13 19:34
燦多・亜久里兄弟、助けてもらって良かったね。
亜久里くんは虎之介くん・瀬奈ちゃんの弟になり、通い猫までできるなんて本当に幸せです。
動物遺棄は絶対に許せないけれど、運よく幸せを掴めて良かった!
by ヤンヤン 2026-01-14 07:32
寒い中棄てられて、どんなに心細かったことでしょう…
ふたりとも優しい人に見つけてもらえて、ほんとうに良かったです!
そして松山庭園美術館さん、またまた優秀な猫スタッフをGETされましたね♪
美術館を訪ねる楽しみが、さらに増えました。
虎之介くんも立派になって、いつの間にか「おじさん」なんですね~(笑)
私の中の虎之介くんは、いつまでも、あの名作『2週間のおとうと』とイメージのままですが。
3きょうだいの作品、私も楽しみにしています♪
by ぴっころ 2026-01-16 13:16