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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2023年12月05日

アーヤちゃんとジーナくん

初冬のあたたかな日。ここは、利根川をはさんで茨城県と隣接する千葉県の東庄(とうのしょう)町。大利根用水が流れる広々とした農業地帯です。
広いお庭のある古民家にお邪魔すると......。

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おや、ちょっとやんちゃそうな茶トラくん。
茶色部分がオレンジ色なので、オレンジ飲料水の「オランジーナ」からつけた名前です。

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「ぃらっしゃい」
もう1匹は、キジ白のアーヤちゃん。
ジブリアニメで、魔女の助手となった女の子「アーヤ」からついた名前です。

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家主のセンスが光る居心地のいい古民家。庭の緑をチラ見させる障子の爪痕さえ、なんだかおしゃれ。どっちが犯人かな。

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「ボク、知りません。お姉ちゃんじゃないかな」

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「えっ、アタシじゃないわ。やんちゃな弟に決まってるでしょ」

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「ふだんは仲がいいんですけど、ときどき大ゲンカするんですよ。きょうだい仲がいい証拠かしら」
飼い主の和代さんは首をかしげます。
若くして夫を亡くされ、公務員生活をリタイアなさった後、ひとり暮らしを慈しみ、美しく年を重ねられてきたかた。隣には、ベランダ続きで息子さん一家が暮らしていて、お孫さんたちが猫と遊びにやってきます。 犬好きで、猫と暮らしたことのなかった和代さんが2匹と暮らし始めたのは、去年の8月でした。

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遠く埼玉県の川添いの町で、ケーキ屋さんの新店舗建設中の工事現場に目が開いたばかりの子猫が6匹捨てられて困っているとの話を、知り合いを通して耳にします。
「ちょうど猫と暮らしてみたいなあと思っていたので、次の朝、5時前に出発し、もらい受けに行きました」 アーヤちゃんが、まるで母猫のようにジーナくんを抱きかかえる体勢だったのが、とても印象的だったとか。

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ジーナくんは、目がぐじゅぐじゅでしたが、和代さんに毎日目薬を差してもらいました。今でも少し涙目っぽいものの、綺麗なマスカット色の瞳に。

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保護時から母性の強かったアーヤちゃんは、堂々たるお姉さんに。
はじめての猫との暮らし、いかがでしたか? そうお尋ねすると、こんな答えが。
「猫はわがままな生き物とばかり思っていたけれど、そうでもなかった(笑)。全然身勝手じゃないし、話は通じるし、楽しいです!」

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和代さんは、2匹とのおしゃべりを四六時中楽しんでいるそうです。
「おいしいもの食べようか」と言えば、すぐに寄ってくるし、「今日は出かけてくるね「今日はお客様が来るからね」などと言えば、じっと聞いて理解してくれます。
棄てられてもらわれて、運命共同体の2匹は、今も仲良し姉弟。

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椅子の上のアーヤちゃんに、ジーナくんが飛び乗り、プロレスを仕掛けます。

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ひとしきり取っ組み合って、あれあれ、いつのまにか、ジーナくんが甘えモードに。

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やがてほどけて正体のなくなる、しあわせな姉弟でした。
工事現場に捨てられていた他のきょうだいたちも、よそのおうちにもらわれたりお店のオーナー夫妻の家猫になったりと、それぞれあたたかな年末を迎えます。

※猫を遺棄することは、犯罪です。決して許されることではありません。



「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

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猫との約束
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを

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寄りそう猫
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。

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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

猫にとっては最高の楽しみの、障子やぶりの出来る家に救われるなんて、アーヤちゃんとジーナくんはなんて幸せな猫か。色こそ違うがそっくりな模様は流石に姉弟、二匹仲良く揃って、何時までも和代さんを和ませ続けてくれることだろう。

by Y.M 2023-12-05 15:39

6匹共、お家に入れて貰えて本当に良かった。アーヤちゃんもジーナくんも幸せですね。
猫との対話は、楽しいですよね~
私も、仕事をリタイアしてお家にいますが、時々、猫さんが私の話やお願いをちゃんと分かっているなぁ…
と感じることがあります。
もちろん、えーー何でこんなことに!って叫ぶ事の方が多いですけど。

by ちぃ 2023-12-05 19:36

甘えんぼのジーナくん、優しいお姉ちゃんがいて良かったね~!
幸せいっぱいのふたりの姿に心があったかくなりました♪
私もネコと暮らして初めて、それまで自分がネコに対して持っていた様々な偏見・ステレオタイプに気づき、深く深く反省しました(^^;
ネコは思っていたよりずっと社会性があって賢くて、感情表現豊かで、愛情深い生き物でした。
今では「ネコの素晴らしさを知らずに人生を過ごすなんて大きな損失だ!」と確信しています(笑)
このことを教えてくれた、うちの6ニャンには感謝しかありません。
障子は見事なまでにビリビリですが・・・笑

by ぴっころ 2023-12-06 16:18

なるほど、アーヤちゃんとジーナくん、6兄だいで保護されたんですね。
他の兄だいも里親さんに出会えて本当に良かったです。
我が姫さぬきも元保護猫でしたが、今では父ちゃんの布団で夜を過ごしてくれるようになっています。
寒さが堪える季節になりましたが、少しでもお外の猫さんたちに良い出会いがあることを切に願います。

by ヤンヤン 2023-12-06 20:22

和代さんとアーヤちゃんにジーナくんの写真、素敵ですね♪2匹の写真もとっても心温まります!可愛いお顔ですね!

by とも 2023-12-08 20:27

>Y.Mさん

障子のある家が珍しくなったことからしても、障子破りをしておとがめなしなんて、最高のぜいたくですよね~~。この家の猫になりたい(笑)

by 道ばた猫 2023-12-12 12:41

>ちぃさん

リタイア後に、猫たちと会話を楽しむ日々。いいですね~。
えー、なんでこんなことに!と驚く飼い主を猫たちは楽しんでいるのかも。

by 道ばた猫 2023-12-12 12:43

>ぴっころさん

6匹もいたら、いろんなことを教えてもらえますね。またとない財産。
おっしゃる通り、猫は人間の思うこと以上を賢く生きていると思います。

by 道ばた猫 2023-12-12 12:45

>ヤンヤンさん

父ちゃんの布団でぬくぬくのさぬき姫さん。父ちゃんも姫も、しあわせな夜ですね~~。
ほんとうに、寒がりの猫が外で冬を過ごすこと思うと、せつないです。

by 道ばた猫 2023-12-12 12:48

>ともさん

陽のあたる縁側と、猫さん。絵になりますよね。猫のいる幸せの象徴のような。
是非縁側で、と、写真を撮らせていただきました。

by 道ばた猫 2023-12-12 12:49