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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2022年09月20日

わけあって、ひとつ屋根の下・その1......ファンファンくん

油絵具とテンペラを使う古典画法で美しく不思議な動物画を描かれるまつやまけいこさん。
そのお宅で暮らす3匹の猫たちに会いに行きました。
吾妻橋で開催中の6人展を見にいらしたご縁で、「うちにも、いろいろわけあってやってきた3匹がいるんですよ」というお話をされ、取材をすぐに引き受けてくださったのです。

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まずフレンドリーに転がって歓迎してくれたのが、長毛ゴージャスなファンファンくんです。
推定13歳。好奇心旺盛で賢そうな目を持つ猫さんです。

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現在いる3匹の中では、一番の先住さん。8年前にやってきました。
近くの神社の参道に、ある日突如現れた、見るからに元飼い猫のゴージャスで人懐っこい猫。
まつやまさんの家には当時先住猫が4匹いて定員オーバーでしたが、この子なら譲渡先がすぐに見つかると思い、保護しました。
獣医さんに連れていくと、エイズキャリアで去勢済みとわかりました。
やはり飼い猫だったのです。それも、たぶん血統書付きの。

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「ところが、この子はちょっと大変で......」とまつやまさん。いったいどんなことがあったのでしょう。

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ファンファンくんが歩く様子を見て「あれ、もしかしたら、爪がない?」と思っていたので、大変なことはそのことと関係があるのかも。

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それにしても、絵と猫はなんて似合うのでしょうか。

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ファンファンくんは、保護後すぐにやさしいご夫婦のもとへともらわれていきました。
が、可愛がられて暮らしていたある日。まったく原因不明なのですが、可愛がっていたご主人を、ファンファンくんはいきなり攻撃したのです。それも、ちょっとやそっとの攻撃ではなく、容赦なくかなりのケガを負わせてしまいました。また別の日には、奥さんをいきなり襲いました。
ファンファンくんはお風呂場に閉じ込めらたあと、もう怖くて一緒に暮らせないと戻されてきました。とりあえず、ファンファンくんは、まつやまさんが信頼する獣医さん預かりとなりました。

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でも、ファンファンくん、ふだんは、穏やかで甘えん坊の猫なのです。

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このままずっと獣医さん預かりにするわけにもいかず、まつやまさんはファンファンくんを家猫として迎えることを決めました。
何事もなく暮らしていたある日、忙しかったまつやまさんは、ご飯を猫たちに与えるとき、ふと「忙しいんだから!」と小言めいたことを口にしました。
ふと振り向くと、そこには、見たこともないどう猛な野獣の形相をしたファンファン君が!かなりのケガを負わせられてしまいました。
「あの時は、私がいけないんです。ファンには私が怖かったんだと思います」と、まつやまさん。
でも、この先、自分だけでなく、先住猫たちの身に何かあったら大変です。もう一度獣医さんに預け、真剣に話し合いました。

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獣医さんは言いました。
「この子は、感受性がものすごく強い子なのかもしれません」
もしかすると、最初の飼い主も、ファンファンくんに攻撃されて、でも殺処分にはできず、捨てたのかもしれません。松山さんとしても、殺処分などしのびず、譲渡もできません。獣医さんの提案のひとつ、鎮静剤を飲ませ続けてぐったりと生かすのも、あまりにもかわいそうです。
獣医さんは最後の方法を提案しました。
「爪と歯を全部抜きますか」と。これは米国などでは珍しくない方法です。
「ファンファンに攻撃される前までは、私は猫の爪を抜くなんてひどい!と思っていました。でも、悩みに悩み抜いた末に、泣く泣く先生にお願いしまんです。ファンファンと他の猫たちと平和に暮らすための苦渋の選択でした」と、まつやまさん。
「そのかわり、どんなことがあっても一生守りぬくと誓ったんです」

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ですので、ファンファンくんには、今、爪と歯がすべてありません。
ですが、カリカリを食べるのも、爪を研ぐしぐさも、以前通りです。
攻撃的なそぶりを見せたのは、その後一度だけ。遊びの延長でガブリとしてくることもありますが、歯茎だけでも結構強い力だそうです。

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私たちの話を、そばで耳をそばだてて聞いていたファンファンくん。
「ファン君、人の言葉がわかってるようですね」
私の言葉に、まつやまさんはうなずきました。
「そうなんです。この子は、人の話を全て理解できているんだと思います。それで、感受性が強いあまり、スイッチが入っていたのだと。爪と歯を失わせたことは本当にごめんね!!という気持ちでいっぱいですが、こうしてのんびり甘えてくれる姿は、本当にかわいいです!」

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先住猫たちは、お年を召して、次々天国へ。その後、やはりワケアリで、3匹の猫がやってきます。

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画家さんの素敵なおうちにファンくんと一つ屋根の下で暮らす、ドリーちゃんとハリーくん、そしてワカメちゃんの、身につまされるお話は来週に。


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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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