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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2022年08月16日

地域猫から家猫になった「お母ちゃん」

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まん丸な目と、ふっくらした体形が何とも愛らしい、このさび猫さんの名は、「お母ちゃん」。家猫なのに耳カットがあることにご注目あれ。

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飼い主は、油彩画家の林美蘭(りん・みらん)さんご夫妻です。さび猫の聡明さと温厚さはよく知られていますが、お母ちゃんもその通りなのです!

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「きょうはアタシの取材なの?」と言いたげなお母ちゃん。
そう、お母ちゃんの物語を聞かせて。

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お母ちゃんは、美蘭さんも手伝っている、夫君経営の理髪店がある地域で、地域の方々に面倒を見てもらっていた耳カット済みの地域猫でした。うら若いけれど出産経験が一度あるようで「お母ちゃん」と呼ばれていました。
お母ちゃんが夫妻のお店にしゅっちゅうやってくるようになったのは3年ほど前のこと。それで、外の物陰にベッドを作ってやりました。
そのうち、店の中に入り込んでくるようになり、気がつくと、椅子の上に座っています。
そして......1~2か月たった頃には、夫君が椅子に座ると、膝の上に飛び乗るようになりました。
「お店を閉めて帰宅するときに外に出すのが、だんだんつらくなってきて。ここまで来たら、もう家に連れて帰るしかありませんよね」と、笑う美蘭さん。お母ちゃんの作戦勝ち!

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「もちろん、可愛がっている皆さんには前もって家猫にしたいと了解を得ました。みんな喜んでくださいました」
連れ帰る車の中では大鳴きし、家につくとしばらく押し入れの中に籠ってしまったので、「家に閉じ込めるなんて悪かったかなあ」としばし悩んだそうです。が、ほどなく家猫生活になじみました。

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「脱走したこともありました。あのときは『おかあちゃ~ん』と呼びながら歩き回ったので、徘徊老人を探してると思われたでしょうね(笑)」
お母ちゃんはとっても愛情深い猫でした。顔をなめてくれ出したらとまらない。
「痛くて痛くて、もういいよ、となります(笑)」とだんな様。 「甘えん坊のくせに、僕が店から帰ってくると、いったん部屋の隅に逃げるんです。そして床にゴローンして『さあ、撫でろ』と。僕としては、そんなら何で逃げるの?ですが」
美蘭さんには、ストーカーのごとく、あとをついて回ります。寝るときは脇にくっつき、トイレにもどこにでも、甘噛みしながらついてくるそうです。フミフミし始めると、くすぐってくてたまらない。「気持ちは全部うれしいんですが」と、美蘭さん。
「怒った顔など見たことがない、ほんとうに温厚な子です。ちょっとどんくさいところがあって、キャットタワーの3段目に乗ると、降りるのに困ってます(笑)」
さび猫は最高に飼いやすいというのは、本当ですね!

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こうして、「お母ちゃん」という名のまま、彼女はおうちと家族と程よい自由を手に入れたのでした。

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美蘭さんの画室にも、お母ちゃんは出入り自由。制作をそばで見ていたり、隅っこで寝ていたり。

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在日韓国人3世の美蘭さんは、油彩画家であるお父さまの創作風景を間近に見て育ち、独学で油彩の道に進みました。海外への旅で触発されることも多かったとか。
その作品は国内外で評価され、お住いの千葉県八千代市から発信するさまざまなアート・イベントの発案者でもあります。

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京成八千代台駅の裏通りにあるこの町角のウィングの壁絵も美蘭さんの作品。「日常にアートを」が美蘭さんのめざすところです。
美蘭さんとのご縁も、ウィングの絵がきっかけでした。
立ち寄った八千代市内の「アートカフェ・ピクニック」という、地元作家のアートがいっぱいのカフェで、ガラス扉のウィングの絵が印象的だったので、店主のかたに「この絵はどなたが描いたのですか?」とふと尋ねたのです。羽を休めるにちょうどいい、この楽しい場所にぴったりの心地よい絵だと思ったから。

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「美蘭さん」と教えてくださった店主は「そういえば、美蘭さん、お母ちゃんという名の地域猫を家猫に迎えたと聞いたわ」と、私の猫好きを知って教えてくれ、取材が実現したのでした。

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美蘭さんは、八千代特産のピーナッツをキャラ化した地元キャラ「ぴーちゃん」の生みの親でもあります。
取材の日、「道の駅やちよ」のぴーちゃんコーナーに立ち寄って、こんなTシャツを手に入れました。ぴーちゃんに猫の乗ってる図が何ともシュールで愉しい! 背中面に書かれた「猫をかぶるのも楽じゃない」という思わず笑ってしまうフレーズも、美蘭さん作。

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アートカフェ・ピクニックでは8月29日まで、店内で美蘭さんの作品を展示しています。

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壁いっぱいの大きな絵は、海峡を越えて日本に渡り、いろいろな苦労をなさったおばあ様(高齢なれどご健在)の横たわる足元には韓国の国花の「むくげ」が、頭上には明るみに向かって伸びていく沈丁花の花が描かれています。

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美蘭さんの絵、そしてお母ちゃんの温顔を見ていると、「幾つになっても、自分の人生や環境は自分で作っていくもんよ。」と、心が解放され元気づけてもらえる気がします。


※「カイホウ」......林美蘭さんと熊谷萌さんの2人展は8月29日まで。
 アートカフェ・ピクニック
 千葉県八千代市勝田台1-35-9
 火曜水曜定休。11:00~18:00
 

「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

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猫との約束
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを

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寄りそう猫
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。

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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

いいなぁ、さび猫「お母さん」。
さび猫、三毛猫のほとんどがメスということを知ったのは猫ちゃんサイトを見るようになってから。
我が家も環境が許せば是非お迎えしてみたいです。(我が家のさぬき姫、受け入れてくれるかしらん)
ぴーちゃんTシャツがなんともシュール。道の駅やちよに行ってみないと。
「お母さん」最後のショット、目力が何とも魅力的です。

by ヤンヤン 2022-08-16 17:03

さび猫として何とも言えない雰囲気を持ったお母ちゃん、警戒心が身についた地域猫から、家猫になるまでには相当に自己努力もしたことだろう。今でも心配になってストーカーのようについて回るのも頷ける。頭がよくフレンドリーな性格は何事にもご替え難い、新しい環境にも一層慣れてご一共々家共々さらなるご活躍を!

by Y.M 2022-08-16 17:11

サビ猫贔屓の私は、そうそうと言いながら読ませて頂きました。
賢くて、毛の手触りが気持ちよくて、懐っこくて……今も、私の足元にうちのサビ猫さんがいます。スリスリしながら、甘噛してきます。「痛い!」と叫ぶ私の顔を見て、多分ニヤ!として、早く撫でないからよ~と言っていると思います。大好き!

by ちぃ 2022-08-17 21:35

ふっくらが可愛いですねぇ(^-^)みているだけでも癒されます♪脱走時の「おかあちゃ~ん」話(徘徊老人と思われたでしょうという(笑))笑っちゃいました。美蘭さんの絵もまた素敵ですね。芸術に猫、もよく似合いますね♪

by とも 2022-08-18 07:51

お母ちゃん、美しいサビ猫さんですね💞
サビ猫はべっ甲猫とも言われるそうで、毛色の美しさと賢さ、愛情深い性格は、今まで出逢ったサビ猫さんたち全てに当てはまります。
お母ちゃん、甘えられる優しい家族と、くつろげるお家が見つかって良かったね!
外の生活から、家猫へ。
たぶんたくさん辛い思いをしたであろう、
お母ちゃん、たくさんたくさんしあわせになってね!美蘭さんの絵を見に行きたいです。
家から近いので、行ってみます!

by ruineko 2022-08-18 08:11

>ちぃさん

私もいろんな毛柄の猫と暮らしてきましたが、サビさんが一番温和で、毛質が柔らかかった気がします。ひとに甘えるために生まれてきたようなサビさんですよね。

by 道ばた猫 2022-08-18 09:50

>ともさん

芸術に猫、花に猫、空に猫、縁側に猫、椅子に猫、喫茶店に猫、古道具に猫……数え上げたら、猫が似合うものって限りありませんね!

by 道ばた猫 2022-08-19 09:12

>ruinekoさん

おお!ぜひピクニックへ。
見回すと、猫の絵や置物もたくさんあって、とっても楽しく居心地のいい場所ですよ~。

by 道ばた猫 2022-08-19 09:14

>ヤンヤンさん

コメントを見過ごしていて、失礼いたしました。
さび猫さんは、他の猫と協調性がある子がほとんどだから、さぬき姫さんともきっと仲良くなるんじゃないかなあ…!

by 道ばた猫 2022-08-22 14:53

>Y.Mさん

地域猫を含め、外猫時代のある子は、家猫になると、時間差はあるにしてもかなりのべったりさんになる確率高いですよね。どの子も「甘えたい」気持ちを持って生きているんでしょうね~。

by 道ばた猫 2022-08-22 14:55