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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

猫又トリップ

2022年05月11日

うちで余生を......。供血猫を引退し、家猫になった白猫の話

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雪と猫

 シニア猫に会いたくて向かった道中、雪に見舞われてしまった。3月下旬だというのに思ってもみなかった展開! しかし、ここはプラス思考に、白い猫と白い雪の絵作りも悪くないと頭に思い描きつつハンドルを握り、スタッドレスタイヤを履いていて良かったと心底ほっとしたのでした。


13歳まで供血猫として活躍していたアトム


 飼い主の菊池茉利さん(31歳・福島県郡山市在住)が指を差した窓際に、主役の白猫「アトム」(オス・16歳)の姿がありました。和室のこたつで暖を取ることなく、じっと佇むアトム。季節外れの雪を楽しんでいるのか? はたまたこの日の取材を楽しみにしていたのか? しばらく様子をみてみることにしましょう。

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いいのー? そこ寒いよー

 この5月で17歳になるというアトムですが、菊池家に来てまだ4年だといいます。元々、アトムは茉利さんが勤める動物病院の「供血猫」として採用・管理されていた猫でした。「供血猫」とは、ケガや病気で血液が必要になった猫のために、輸血用の血液を提供してくれる猫のことです。13歳まで現役バリバリで活躍してきたアトムでしたが、院長が倒れ、やがて病院は閉院することに。動物看護師として働いていた茉利さんにとってアトムは先輩であり、8年間同じ釜の飯を食べた(正確には違いますが)「戦友」という存在。そんなアトムの行き先を憂いた茉利さんは「うちで余生を」と思うようになりました。また、アトムのことを知る同居の母親も同じ思いだったようで、病院に引き取る決意を伝え、譲渡が決定したのでした。そして菊池家はチンチラ、小鳥2羽、ポメラニアン2匹にアトムの大所帯に。動物好きの遺伝子は親から子へ、しっかりと受け継がれているようです。

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動物病院時代から洋服を着ていることが多かったという

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あったかいねー

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遊んでさらに暖まろう!

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イエス!


健康や食事は動物看護師の指導のもと


 アトムの食事は1日2回、ロイヤルカナンの療法食「腎臓サポート」と「消化器サポート 可溶性繊維」のドライフードをミックスして給餌。後者は「便秘気味だから」という理由だそうです。また、水分を摂らせたい時は、フードにぬるま湯をかけています。するとアトムは先にゴクゴクと水分だけを摂り、フードもふやける前に食べるそうです。これは一石二鳥!

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ご褒美のオヤツをペロリ。撮影には欠かせない!

 1年前の健康診断でどこも悪いところがなかったというアトム。じつは動物病院に在籍時から「20歳までいけるのでは」と期待されてきた健康優良猫だったのです。動物病院でずっと過ごしてきたのだから当然のことかと思えば、アトムの兄弟(同じく供血猫)は5歳時に心筋症で虹の橋を渡っていったそうなので、一概には言えませんね。そんなもことあり、元気にご長寿を迎えたアトムの今後も、心筋症には要注意です。また茉利さんが勤めてきた病院にかかる白猫は、血液の病気や自己免疫疾患がたまたまなのか多かったため、アトムも貧血のチェックは欠かせません。こちらは目の粘膜や歯茎の色を確認します。茉利さんの専門的な知識と経験でアトム他、動物たちは見守られ、日々お互いに成長しているようです。

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この日は腎臓病予防のため補液も

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こちらは2週間に1回のペースで。とても大人しいアトム


スーパーヒーローは和室の似合う家猫に


 アトムが菊池家に初めてやってきた日――。すぐに和室の襖にもたれ掛かり、ぼけーっとリラックスする様は、ずっと前からこの家で暮らしていたかのようだったと家族は振り返ります。そして1年、2年と時は過ぎ、病院での窮屈な生活から解き放たれたにもかかわらず、アトムの行動範囲はいまだに狭いのだそう。でもまあ、ケージの広さに比べたら和室だけの行動範囲でも何十倍もの広さですからそれで十分なのかも。穏やかな性格で動物病院でも人気者だったアトム。人を癒やし、猫を救い続けたスーパーヒーローは今、すっかり和室が似合う家猫になっていました。これからは、家族とゆかいな仲間とゆっくりお過ごしください。たくさんの猫に献血をありがとう。

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アトムも惚れ込んだという襖の前で

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おこたと猫はよく似合う

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気をつけて帰れよ! とアトムパイセン。お気遣いありがとうございます!


「猫又トリップ」が書籍になりました。

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ご長寿猫がくれた、しあわせな日々

15歳以上のご長寿猫と、その家族が奏でる28の物語をお届けします。

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猫又トリップライター紹介

ケニア・ドイ

1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。

http://kenyadoi.com

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カテゴリ: 猫又トリップ
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みにゃさまのコメント

供血犬を飼っている動物病院の話は時々聞きますが供血猫を飼っている動物病院もあるのですね。
これまで多くの猫さんのために生きて来たアトムくん、これからは自分のために猫生を満喫してね。(^-^)/

by hiro-RX7 2022-05-11 13:27

供血猫、という猫さんがいるのですね。
恥ずかしながら知りませんでした。
健康優良児とはいえ、何度も何度も針を刺されて大変だったでしょう···
長い間、ご苦労様、パイセン、ゆっくり余生を過ごしてね❤️(*´艸`*)

by ネエ 2022-05-11 21:00

うちの白猫(4歳♂)は1歳になる直前に再生不良性貧血になってしまい、動物病院にいる猫さんから何度も供血してもらっています。もうそれは感謝しかありません。
アトムくんにはこれから穏やかな日々がずっとずっと続きますように。

by miepon 2022-05-12 13:50

たくさんのネコさん達を救ってきたアトムくん・・・
まさにスーパーヒーローですね(^O^)/
長い間ほんとうにお疲れ様。
これからは、優しいご家族とのんびりと猫生を楽しんでね!

世界中の供血ネコさんが、アトムくんのように幸せな余生を送れますように・・・

by ぴっころ 2022-05-12 17:33