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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

猫又トリップ

2021年02月03日

たらい回しの末、穏やかな生活を手に入れた16歳の預かり猫

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 家を引っ越した回数が4回という話ならば、とくに気にとめることもないのですが、飼い主が4回も変わったシニア猫がいるとなれば話は別です。いったいどんな猫生を歩んで来たのか、とても気になるのです。

 猫歴11年という石田さん宅で暮らすのは、推定16歳の「もみじ」(茶白・オス)。どうも計算が合わないと思ったら、ここはもみじにとって5軒目の家らしく、石田さんの家に来て7年目を迎えたところだそうです。


出会いにも環境にも恵まれない日々


 もみじは生まれた家できょうだい猫との折り合いが悪く、やがて別の場所に住む息子さん宅に引き取られることになりました。しかし、今度はその息子さんの同居者とうまくいっていないらしい。そんな相談を受けた石田さんの友人が「このままではまずい」と思い、実家の母親にバトンを繋いだのでした。この友人には家族で猫と暮らした経験と思い出があり、一人暮らしの母親には良い相棒になるだろうと思ったのです。友人の思い通りに、もみじの穏やかな生活が何年も続くのですが、突然別れはやってきます。

 高齢となってきた母親を案じた娘たちの勧めで、次女の家に引っ越すことになったのですが、次女の子どもが猫アレルギーのため、もみじとはいっしょに暮せないと拒否されたのです。もみじ、9歳の頃のお話でした。

_03A4035.jpg また、どこかに連れて行かれるの? 私ともみじの距離感はそんな感じだった


僕のおうちはどこ? 9歳からの家族探し


 9歳という年齢に加えてもみじには障がいがあったことから、譲渡は困難と思われました。障がいとは、ベランダから脱走を試みての転落事故によるものでした。 この事故のためもみじは後脚1本を無くし、前脚2本は複雑骨折して変形が残ることに。転落の衝撃から内臓にも損傷があり、一時は獣医から「安楽死」を勧められたほどでした。その後、内臓は回復したものの、そろそろ高齢期にかかる3本脚の猫を譲り受けたいと手を挙げる人はいるのか? 飼育の負担が大きい事を考え、一頭でもみじを飼ってくれることと猫と暮らした経験があることを条件にした里親探しは困難を極めました。ようやく里親サイトで「猫とは暮らしたことはないけれど犬とはあります」という方が手を挙げてくださり、その方に託すことになりました。

_03A4040.jpg 変形した前脚

_M5A0004.jpg 本猫は意に介さず

_M5A0046.jpg 顔も洗うし、

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遊ぶし、

_M5A0138.jpg 自由に動けるんだ

_M5A0166.jpg 三本脚でもちょこちょこ歩けるんだよ

 これでやっと落ち着いた暮らしができるとホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、「やっぱり飼えません」と3ヶ月で返却の申し出が......。

 事情はよくわかりませんが、猫との暮らしが初めての方には負担が大きかったのかも知れません。返却されたもみじは背骨が見た目にわかるほど痩せ細り、背中を撫でるとゴッソリと毛が抜ける、そんな状況だったといいます。

_M5A0086.jpg 今はすっかりふくよかに

_03A4072.jpg 前脚をクロスするのがもみじ流でおさまりが良いようだ


 そんなもみじの猫生を友人から聞き、状況をよく知っていた石田さんは、「次のお家が見つかるまで、うちで預かっていいよ」と提案したのだと言います。


一時預かりは継続中?


 それから7年――。一時預かりは今も継続中で、もみじは16歳になったというのがこれまでの経緯です。

_03A4098.jpg 貢物のオヤツを

_03A4126.jpg 今日は特別に、スプーンで給餌

_03A4107.jpg 相当お気に召したようだ

 先住猫のキジ白の「鈴」(11歳・メス)との相性は、これまで良くも悪くもない感じだったと言いますが、最近はやけに鈴にご執心だとか。鈴が寝ているところにくっついたり、毛づくろいしたりと積極的に。ただし、起きている間は「シャー」と拒否されます。 16歳男子の片思いと聞けば、甘酸っぱいで済まされるのですが、猫の16歳って「80歳」ですからね(苦笑)。恋する猫はご長寿なのか? 新たな説が発見できたような気がします。

_03A4133.jpg 鈴(すず)はお気に召さないよう

_03A4213.jpg また、男性が苦手なんだとか

_03A4225.jpg それでもここまで接近、ありがとうー


 石田さんは、あくまでも「一時預かり」の思いです。また友人の母親が迎え入れる準備が整えば、いつでも手放す覚悟で一緒に暮らしていました。コロナ渦で在宅ワークが続く中、今は「シニア猫と暮らす家族にとって最良の環境」ではないかと言います。確かに在宅ワークがスタンダードになれば、日本で暮らす猫の寿命も伸びるのかもしれません。いつ何時、すぐに対応できる家族が自宅にいるというのは、猫にとって心強いもの。人間も然り、安心なんですよね。

_03A4200.jpg コロナ渦で在宅ワーク中の息抜き。猫たちが居てくれてよかった




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猫又トリップライター紹介

ケニア・ドイ

1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。

http://kenyadoi.com

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カテゴリ: 猫又トリップ
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みにゃさまのコメント

一時預かりでなく、ずーっと居られるといいのに❗これ以上のたらい回しは地獄です。

by ぷち 2021-02-03 23:25

ぷちさんのコメントに全文同意です。
もみじちゃん、幸せに幸せに生きていってほしい。
色々なご事情はあるかと思いますが、覚悟を決めて
もみじちゃんのお世話をよろしくお願い致します。
もみじちゃんは、特に福猫さんです!!

by ねこさま大好き 2021-02-04 19:21

ぷちさん
大丈夫、ずっと一緒にいられますよ。

by ケニア・ドイ 2021-02-06 09:43

ねこさま大好きさん
安心してください、飼い主さんの覚悟は決まってますよ。
他の猫とも分け隔てなく、我が子のように。

by ケニア・ドイ 2021-02-06 09:45

ただただ人間の都合

by きちきち 2021-02-09 06:16

ふふふ♡
「一時預かり」で7年…。
一時預かりのまま終の住処に。とてもステキですね。
コロナもこちらのケースだとプラスに作用して何よりです!
これからは、これからも、石田さん一家に良い風が吹きますね。

by ゆきちん 2021-02-22 17:28