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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2020年11月17日

神さまが遣(よこ)した猫

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パンくんは、1歳4か月の黒猫さん。
琥珀色の瞳と、白いおひげがチャームポイントです。

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いまでこそ、このおうちの2番目の猫として、可愛がられて暮らしていますけど、
神奈川県のとある温泉町の、劣悪な環境で生まれた黒猫3きょうだいのノラ子猫の1匹でした。

3匹いっしょに保護され、預かりボランティアさんのおうちで人馴れを済ませ、譲渡先を探すために鎌倉にある保護猫カフェ「鎌倉ねこの間」にやってきたのは、去年のクリスマス・イブのこと。

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この窓辺の写真は、今年2月初め、ねこの間に遊びに行ったとき、冬景色を背景にした黒猫の瞳が印象的で思わず撮ったものです。
黒猫は何匹かいましたが、ひげの白さから、たぶんパンくんだと思われます。まだあどけない猫でした。
この2週間後、パンくんは、東京の多摩地区からやってきた母娘に気に入られ、トライアルをすることになります。

トライアルを申し込んだのは、和佳子さん母娘です。
和佳子さんは、私立の小学校の国際学級(外国にルーツを持つ子たちの学級)で国語と算数を教えています。
ご主人はじめ犬好きのご一家でしたが、長年飼っていた黒ラブラドールを亡くしたあと、知人から「ノラの子が、うちの先住猫に家に入れてもらえず、しょんぼりしてて可哀そう」という話を聞き、もらうことにしたのが、ハチワレ白黒のモネくんでした。

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画家モネの描く「睡蓮」の色彩のように綺麗なうすみどり色の瞳を持つ猫です。
一家は、はじめて飼う猫の可愛さに夢中になりました。
「猫って自分勝手で、犬のように意思疎通はできないというイメージだったんですが、遊びたがったり寄りそったり、名を呼べばやってきたり・・・思いがけない発見だらけでした」

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会社員のご主人も和佳子さんも、社会人の娘さんも、日中はお仕事に。
「モネだけで留守番はかわいそうだから、もう1匹迎えよう」と言い出したのは、ご主人でした。
鎌倉ねこの間の譲渡先募集の写真を眺めて、「この子がいいんじゃないか」と言ったのもご主人。
しっかりお兄ちゃん、美人お姉ちゃんの3きょうだいの中で、マイペースで線の細い子でした。

2月の寒い日曜日。
「じゃあ、あの子に会いに行ってくるね」と出かける和佳子さんたちを、ご主人とモネくんは仲良く見送りました。

トライアルを決めて帰宅した和佳子さんたちを待っていたのは・・・心臓発作により、二度と帰らぬ人となったご主人の姿でした。

そうとは知らぬ鎌倉ねこの間のオーナーの永田さんは、後日パンくんをお届けにきてしばし雑談をした後、帰り際の玄関で、和佳子さんからこんな言葉を聞いて、どんなに驚いたことか。
「じつは、最近夫がなくなりましてね・・・」
「えっ、そんな大変な時に猫がきていいんですか」
「娘たちとも話し合ったんですが、私たちもさびしくなりましたし、この子を迎えようと決めたのも、この子が来るのをいちばん楽しみにしていたのも夫でしたので」

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パンくんは、ねこの間で先輩猫や仲間猫と暮らしていたので、人も猫も大好き。
「こいつ、誰だ?」状態のモネお兄ちゃんに臆せずつきまとい、すぐに仲良くなりました。

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パンくんという名は、小さい時、細い白毛が下腹部にあって紐パンをはいているようだったから。
今では白い毛はぼんやりした形になり、「ピーターパンから付けた名」ということになっているそうな。

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たった4か月違いの2匹ですが、慎重なモネくんがやはりお兄ちゃんタイプ。
無邪気なパンくんが弟タイプで、うまくいっているようです。

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パンくんは、ノラ時代、さんざんひもじい思いをしたのでしょう、食い意地が張っていて、台所の排水ふたを開けてゴミを漁ることも。昭和の猫みたいにお魚くわえて逃げたりもします。ご飯をガツガツ食べた後、胃液を吐いたりすると、モネお兄ちゃんは和佳子さんのもとへ飛んできて「ニャンニャンニャン(パンがたいへん!)」と知らせます。

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和佳子さんは微笑んで言います。
「モネは、犬を亡くして一家みんなが寂しい時にやってきてくれて、夫の最後のときにも一緒にいてくれました。パンは、夫と入れ替わりに、私たちから笑顔をなくさないためにやってきてくれました。2匹とも、神様から遣わされたと思っています。つらい時にこの子たちにどれほど助けられたことか。私たちのもとにやってきてくれて、ほんとうにありがとう。可愛くていとしくてたまりません」

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お父さんも、「うんうん、みんな仲良くやっていて、安心だよ」と、天国でニコニコなさっていると思います。

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そうそう、パンくんのお兄ちゃんもお姉ちゃんも、パンくんに続き次々とおうちが決まって、しあわせに暮らしているそうですよ。きっとそのおうちでも「うちに来てくれてありがとう」と言われているのではないでしょうか。
私も黒猫菜っ葉ちゃんに「うちに来てくれてありがとう」と、時々耳元でささやいています。



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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」を連載中。

カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

>みなさま

パンくんがいた鎌倉ねこの間からの譲渡は、原則神奈川県内となっています。パンくんは、諸事情を考慮したうえでの近県譲渡の2件のうちの1件だったことを、付記しておきます。

by 道ばた猫 2020-11-17 13:29

パンくん、良かったね!パパさんも天国で微笑みながら見守ってくれている事と思います。そんなことってあるんですね。思わず涙が溢れてとまりませんでした。

by 千葉恵美 2020-11-17 14:11

なんと美しく澄んだ瞳のネコちゃんたちだ。じっと目を見ていると、何を考えているのか、何を訴えているのか、分って来るように感じる。ご主人の急逝は悲しすぎるが、そのご主人の優しさを、代わって見せてくれるネコちゃんたちに成長してゆくことだろう。

by Y.M 2020-11-17 16:52

神さまはなぜご主人とパンくんを会わせてあげなかったのでしょう…
「神さまには必ず計画があるから…」と言っていた人がいて、私もそう信じています。
いつか神さまの計画の意味がわかるといいな。
パンくんの幸せな様子が空まで届きますように☆

by 16にゃんず 2020-11-17 17:24

モネくんもパンくんも瞳が綺麗で印象深いですね。仲むつまじい様子を見て、お父さんもきっと喜んでいますよ!

by シーマン 2020-11-17 20:58

うちの仔もみんな野良さんでした。自ら、家に入れて!とアピールした仔もいるし、職場にいた仔や、お店の駐車場にいた仔も。同じなのは、よく来てくれたねという気持ち。本当に縁なんでしょうね。うちの仔は、間違いなく可愛いのですが、よその仔もみーんな可愛い!というより、猫さんが可愛い!!

by ちぃ 2020-11-17 21:04

「うちに来てくれてありがとう」そう言葉にしながら撫でていると、ゆっくり尻尾を動かしながら目を細めてくれます。
悲しみに暮れてしまいそうになる時間を笑顔に変えてくれた存在…私も愛猫にどれだけ助けられてきたかわかりません。猫さんたちのおかげで今があります!って言い切れます。
神様から遣わされたモネくんパンくん、尊い存在ですネ♪

by マム 2020-11-17 21:21

>千葉恵美さん

神様、そして亡きお父さんからの、すばらしき贈り物。猫がそこにいてくれるだけで、救われることがたくさんありますね!

by 道ばた猫 2020-11-18 11:47

>Y.Mさん

「睡蓮の庭」の色と、琥珀色。こんな目で毎日見つめられ、話を聞いてくれたら、コロナ禍でもこころが澄まされそう。2匹とも、堂々とした猫になりそうですね!

by 道ばた猫 2020-11-18 11:53

>16にゃんずさん

そうですね、きっと神様の計画が「あっ、そういうことだったんだ」と腑に落ちる時がきっと来ると思います。和佳子さんは、もうわかっていらっしゃる気がしました。

by 道ばた猫 2020-11-18 11:57

>シーマンさん

はい、私もそう思います。お父さんは「ほうら、僕の選んだ子はいい子だっただろ」と、天国で微笑んでいらっしゃることでしょう。

by 道ばた猫 2020-11-18 11:59

>ちぃさん

保護猫には「よく来てくれたね」。うちの子は可愛い。よその子も可愛い。猫はみんな可愛い。
その通りです!!!

by 道ばた猫 2020-11-18 12:01

>マムさん

人間は、余計な言葉で傷つけあうけれど、言葉を持たない動物の潔さやあたたかさ、賢さ、懐の深さには、ほんとうに感服しますね!!

by 道ばた猫 2020-11-18 12:10

道ばた猫さんのささやきは、何時も、その通りと思いドキッとします。ところで一枚目の写真のボク(の瞳)は、天国のお父さんに「こんなに心温まる素敵なおうちに導いてくれてありがと」と、話し掛けていたところだったんだけど、分かってもらえたかな?

by Y.M 2020-11-18 15:46

>うん、モネくんもパンくんも、取材中、しょっちゅう上を見上げていたから、「お父さん、いまね、ボクたちシュザイ受けてんの」って報告してたこと、知ってたよ。

by 道ばた猫 2020-11-18 21:31

ご主人さまが…読んでいて衝撃を受けました。きっときっとモネくん、パンくんの様子を見て天国から喜んでおられますね。神様は何か意味があることをされているのですよね。
モネくん、瞳が睡蓮の色彩とはステキ♪(大好きな絵です、昔西洋美術館でみましてやはり大変素敵で帰りに絵はがき買いました(笑))パンくんの瞳はゴッホのひまわりのような。。2匹が仲良い姿の写真、いいですね。2匹とも訴えかけるようなお目目ですね。そのうち話し出さないかな。心温まるお話を今回もありがとうございました。

by とも 2020-11-19 18:19

>ともさん

そうか、パンくんの瞳はゴッホのひまわりの色。そうですね!
睡蓮と言い、ひまわりといい、魅惑の瞳に毎日見つめられる和佳子さん。神様は素敵な贈り物をなさいました。

by 道ばた猫 2020-11-20 11:31

ほんとうに。神様は素敵な贈り物をなさいましたね(*^-^*)喜びをしあわせをたくさん和佳子さんにと思います。

by とも 2020-11-20 19:17

「うちに来てくれてありがとう」
これにつきますね。
感情に流され過ぎてお涙ちょうだい的になる事もなく、あくまでも猫さま中心の記事ですばらしい。

.. .
ウチのりんこりんは最近はウンPすると砂を掛けず知らせてくれます。しかも私の作業が一段落するのを見計らって。
システムトイレでした直後に私が後始末するのに砂がかかって無い方がやり易いと思ってるのをちゃんと見抜いてるんですよ。教えたわけでも無いのに。
留守だったりすぐに手が離せそうに無い時は消臭のため軽く砂をかけてある。
なんてすばらしい!(←親バカ?)

by 才蔵 2020-11-22 09:11

>才蔵さん

りんこりんさん、なかなか賢い猫さんですね~。
うちの菜っ葉ちゃんも、ひざの上にどっかり乗ってどいてくれないとき、小さな声で「さ」と言っただけでどいてくれるんですよ(←親ばか)

by 道ばた猫 2020-11-25 01:29