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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2020年08月11日

田園暮らし・・・その2「盲目猫たちのためのリフォーム」

先週ご紹介した、田んぼの中の元縫製工場をリフォーム中の路子さんち。
今週は、保護猫4匹が暮らす2階へ上ってみましょう。2階には、全盲の猫トリオ「エル」「ウイ」「ふっくん」と、保護して1年の「りゅう」、合わせて4匹のオス猫が仲良く暮らしています。

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「いらっしゃい」と、なんとも無邪気なお顔で迎えてくれたのは、4歳のウイくん。全盲です。

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天井近くにのぼっているのは、2歳のふっくん。ふっくんも全盲。
全盲のふっくんがなぜこんな高いところにのぼっているかというと・・・。

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ほら、ちゃんと、猫階段がついているからです。
フスマも、猫柄なのにご注目!

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「見て、見て~」とばかりに、柱のぼりを始めたのは、5歳のエルくん。この子も全盲です。
でも、柱には、のぼりやすいようにカーペット材が貼ってあるので、こんな冒険も楽しめるのです。
エルくんは、ママと田んぼ1週のお散歩に行くと、遠くから見ていた人から、あとで「ついて歩いてたのはタヌキ?犬?」と言われてしまうのだとか。

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「キッチン以外は3部屋とも和室だったのを、壁を取っ払って、猫たちが自由にのびのび過ごせる空間にしました。猫のための家に、私たち夫婦が同居してるって感じかな」と、路子さんは笑います。
路子さんが、盲目の猫たち3匹と出会って保護したいきさつは、2年前のこの記事でお読みください。
https://sippo.asahi.com/article/11831694

当時唯一目の見えたクルミくんは、病気を発症し、手厚い看護の末に天国へ。
元縫製工場だったこの家に盲目の3匹を連れて越してきたのは、去年の正月。
引っ越し初日の3匹は、状況の変化が把握できず、固まって一歩も動けなかったそうですが、すぐに新しいおうちを楽しみ始めました。
だって、3部屋ぶち抜いた広いスペースをぐるぐる回って、あちこちにひと休み棚やソファーもあり、遊びたい放題なんですもの。
ど真ん中に残した柱のスペースは、玉座のようなソファーもある「ねこ様の間」。
床も、みな自分たちで、小さな柔らかな床材を1枚ずつはめ込みました。
寝るときはベッドで、みんないっしょ。

先週ご紹介したように、路子さん夫妻は引っ越してくるや、次々と路頭に迷う子猫に遭遇してしまいます。
サキちゃん、ゴローくん、チヅミちゃんは、1階住まい。
3匹が暮らす2階に、去年の夏仲間入りしたのが、茶トラのりゅうくんです。

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保護当時は、まだ2か月くらいの子猫でした。
路子さんが田んぼ脇の小道を自転車で走っていたところ、道ばたに痩せた子猫発見!
「ねこちゃ~ん」と呼びかけると、子猫はハア~!と威嚇しながら草むらへ。
自転車を止めて「猫ちゃん」と呼ぶと、草むらで転がっていた子猫はまたもやハアーッ!と言いながら逃げましたが、なぜか逃げ切れず、すぐに草むらでゴロン。
「ガリガリにやせていて、しかも、けがをしてあまり動けないようでした」
家から籠を持ってきましたが捕まらず、その夜も、翌日も、捕まらず。
ようやく2日後に保護できて、獣医さんへ連れて行くと、子猫は、大腿部がポキンと折れていて、折れた先が突き出た状態でした。
ひもじさのあまり、カエルを食べていたのでしょう、カエル特有の寄生虫もごっそり出ました。

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1週間の入院。様子を見て、ひと月先に足を切断するかプレートを入れる手術をするか決めましょうということに。
「でも、治ったんです。カックンカックン歩き始め、だんだん歩けるようになって、切断も手術もせずに済みました」

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ニンゲンが怖くて怖くてたまらないりゅうくんでしたが、ウイお兄ちゃん大好き!で、いつもくっついて育ちました。

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2階の猫スペースは、居心地の良さはもちろんですが、盲目の猫にとっての安全な動線作りと、見える猫と同様の冒険心を満たしてやる心配りが詰まっています。

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エルくんウイくんふっくんたちは、外から聞こえるカエルの大合唱や、吹き込む風、遠くの汽車の音などから、自分たちがのどかで安心できる場所にいることがよくわかっていることでしょう。見えない分、聴力をフルに発揮して、私たちが聞き逃しているいろんな田園の音を楽しんでいるかもしれません。

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1階組におとらず楽しそうな2階組。
気の強いサキちゃんはオス猫たちを襲うのでNGですが、ゴローくんやチヅミちゃんは、ときどき2階に遊びにくるそうですよ。
チヅミちゃんが遊びに来ると、ウイくんは「女の子の匂いだあ」とばかり、ぴったりくっついて歩くそうです(笑)。

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「また遊びに来てね~」と見送ってくれたウイくん。
まだまだリフォーム途中とのことなので、今度来たときは、どんな猫愛の詰まった仕掛けが増えているのか、楽しみです。
もしかして、庭にロバとか増えていたり、中2階でもできていそうな......路子さん夫妻と猫たち、ヤギ、鶏の、うらやましき田園生活でした。

そして、帰りがけに立ち寄った山の神社では、猫2匹が、せみ時雨の中、のんびりと昼寝。

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この神社では、界隈の猫たちの避妊手術や譲渡先探しを続けていらっしゃるそうです。



「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

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寄りそう猫
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。

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ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。

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しあわせになった猫 しあわせをくれた猫
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!

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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」を連載中。

カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

ねこ模様のふすま!かわいい♡
りゅうくんは怖くない人間もいることわかってくれたでしょうか。
全盲でもたくさん楽しめる空間、愛以外の何ものでもないですね。

by 16にゃんず 2020-08-11 15:17

我が家のマロンも白内障で全盲です。
でもおさんぽ大好きで、毎日リードをつけておさんぽに行きますよ。
目が見えなくても、本人はそれが当たり前で、何にも気にせずワガママ放題して暮らしています笑!

by マロン 2020-08-11 20:31

どの子も、みんな可愛いですね~~~。ウイくん、スモーキーブルーのおめめがお洒落だわ。

by sabi 2020-08-12 02:13

目に障害?のある子を保護したいけど・・・
「どうだろう?」
というような人のあと押しをしてくれる記事!
☆☆☆☆☆ですね♪

by ミンディー 2020-08-12 06:55

わぁーー!猫のための猫さんファーストのお部屋、愛情いっぱい、素敵ですね♪みんな暮らしやすそう(*^-^*)ウイくんもほんとだ、無邪気なお顔、可愛い~。見えてなくてもなんのその!元気で懐っこくて私も元気になります♪
神社のお話も楽しみです。猫が幸せそうな姿はうれしくて癒されます。

by とも 2020-08-12 18:17

2階組さんもキュートですね。高い所にも登って、ご満悦ですね。猫柄ふすま、貼りたい!かりかりしてうちのふすまは、無惨です。破れないふすまですか?

by ちぃ 2020-08-12 20:59

>>16にゃんずさん

りゅうくんには部屋に入る前からしっかり感づかれ、前半姿を消されました。盲目トリオは、声で安心してくれたみたいです。やっぱり声にこもる愛です(笑)。

by 道ばた猫 2020-08-13 08:31

>マロンさん

はい、今まで何匹も目が見えなかったり、足が欠損していたりする猫さんにたくさんあってきましたが、当猫さんにとっては、シッポがまっすぐか曲がってるくらいに「なんで人間は気にするかな」なのだと思います。

by 道ばた猫 2020-08-13 08:35

>sabiさん

スモーキーブルーのウイくんは、2階組の中でもいちばん活発でファンキーで、ごはんの時間のずいぶん前から「ごはん、ごはん!」と3部屋ぶち抜く回路をぐるぐる回るダンスを始めます~。

by 道ばた猫 2020-08-13 08:38

>ミンディーさん

☆5つ、ありがとうございます!
どの子も、縁あって出遭えば、世界で一番かわいい猫、というのが、「道ばた猫日記」のポリシーです~

by 道ばた猫 2020-08-13 08:41

>ともさん

路子さんの夢は、猫のいるカフェか宿だそうですから、夢かなうといいなあ~。神社とか公園はね、写真から特定されて連れ去りやいたずらの恐れがあるので、NETでは詳しく書かないことにしているんですよ。

by 道ばた猫 2020-08-13 08:45

>ちぃさん

フスマに貼ってある猫素材は、ふすま紙でなくて、汚れにも強くて強度もある壁紙のようでした。
やわらかなベージュ色が飽きがこなくてすてきですよね!

by 道ばた猫 2020-08-13 08:49

世の中、旧盆だったのですね。
いつもと違い特に東京では里帰りを我慢された方も多いようですね。
そんな時こそ猫さまで癒されてくださいませ。
...
猫さまはいつだって今を全力で生きて楽しんでるのだ。
...
猫さまにとって住みやすい家は人間にとっても住みやすいですよね、きっと。
自分たちで作っていくって最高ですね。
うらやましいです。
りゅうくんの満足そうな平和な寝顔がすべてを物語ってますね。

by 才蔵 2020-08-15 11:01

>才蔵さん

猫たちって、「他を憐れむ」という思いあがりもなければ、「他をうらやましがる」と言う余計な気持ちもないから、いつだってあるがままに自分を生きていける。どの子も、生きる環境を人間が守ってあげさえすれば、満ち足りて生きていける。いつもいつも瞠目です。

by 道ばた猫 2020-08-16 21:01