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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

猫又トリップ

2019年12月17日

しあわせな猫生を支えてきた人と人との大切な繋がり

飼い主のおばあちゃんが認知症で介護施設に入ることになってしまった一匹の猫。引き取り手がなくて困っていた孫の親友の母親が手を挙げ、11年間、おばあちゃんと共に暮らしてきた「きらら」は愛護センター行きを逃れたのでした。

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前途多難?! シニア猫+粗相猫


きららとおばあちゃんが一体どんな暮らしをしていたのかはわかりません。わかっていることは推定11歳の茶トラ白の女の子だということ。また、トイレに難ありで家中の至る所で粗相をするといいます......。そのことが譲渡の道を狭めていたことも現飼い主の石川稀月さん(さいたま市在住)にはわかっていました。石川さんがきらら(推定18歳)を迎えたのは今から7年前のこと。当時、石川家には先住の4匹の猫たちがいましたが、これも何かのご縁だと家族と猫たちを説得し、「4匹も5匹も変わりないか!」と石川家の一員になりました。

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きらら、こんにちはー!

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あれれ?来客は苦手?


きららの行動からおばあちゃんとの生活を垣間見る


ずーっと、おばあちゃんと猫1匹で暮らして来たからなのか、合流しても「私は猫じゃありませーん」と先住猫たちを避ける日々。先住の猫たちは2頭ずつのきょうだい猫ということもあって、みんな仲が良く、きららにも好意的だったのですが、当の本猫は"シャーシャー"猫だったようで受け入れず(苦笑)。 そして、猫のみならず家族にもうまく馴染めずきららは「臆病な性格の猫」と認識されるのでした。しかし、「食」に関しては貪欲(このころの体重は5kg超え!)で、石川さんがキッチンで出汁をとっているとクンクンと匂いを嗅ぎつけ、「鰹節をくれ!」とアピール。また、刺身といった人間の食べるものに執着を見せ、ポテチなどのスナック菓子にまで手を出す始末。「ははーん。おばあちゃん、やってたな」と確信しつつもきららとおばあちゃんの生活の一部を垣間見ることが出来て、なんだかうれしくなったと石川さんは振り返るのでした。

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きらら!前!前!

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猫ハウスへ帰るきらら(涙)

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ここが安全地帯をなんだね。

また、猫砂でトイレをしないという問題は、まずきららの行動パターンを分析。玄関マットやお風呂場の足拭きマット、小さめのカーペットが好きだということを突き止め、そこにペットシーツを置く作戦に出ました。するとこれが見事にハマり、今ではペットシーツを置いておくだけでその場所で用を足すようになったのです。猫の粗相でお困りの方がいましたら是非ご参考にまでに。

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歩くきらら! いただきました。

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ねぇー、怒ってる?

_M5A5759.JPG 元々、怒り顔なんだと飼い主さんはいうのだが......。


獣医も心理カウンセラー!? 悲しみを受け止められた理由


今年の春、体調を崩したきららを動物病院へ連れて行ったときのことです。「来月には死ぬよ」と、きららはまさかの余命宣告を受けました。過去には、飼っていた犬猫を無くして「自分のせいだ」と責め立て、重度のペットロスに陥り、最愛の兄の孤独死や、子どものひきこもりなどでうつ病も経験した石川さん。しかし、この時はしっかりと受け止めることができたというから不思議です。それはなぜか? 過去の自身の辛い経験から大学で心理学を学び、資格を取り、現在の職業は「心理カウンセラー」という納得の経歴はもちろんですが、だからと言ってまったく辛くないわけではなかったそうです。病院の先生にも救われました。きららは腎臓が悪いのですが、「石川さんの飼い方が悪いから腎臓が悪くなったわけじゃないんだよ。歳をとると猫ってそうなるもの、これは老衰なんだよ。病気じゃなくて自然なんだよ。きららは18歳、もう十分に生きているからね」と。なんて優しい言葉、なんて素敵な先生なんだろう。でもこの出会いは必然ではなく、石川さんが色々巡って自分にしっくりときた動物病院を探し当てたからこそなんですよね。

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抱っこすれば落ち着くかな?

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しばし、ベタベタしてもらいましょう。

優しい獣医の治療のもと、点滴治療できららは気力を取り戻し、2kgに減った体重も3.2kgまで戻しました。それでも、丸々太った猫がだんだんと痩せていく――、そんな姿を見ていると、石川さんは「もうすぐなんだなぁ」とゆっくり諦めがついていくのだと言います。さらには心の整理もついて、状況を冷静に受け入れ、「助かりますね」とまで言えるまでに。

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はい! 笑ってください! と口角あげてパチリ。大成功!?

おばあちゃんとの絆


3年前のある日、突然石川さんのベッドの上に飛び乗って来たきらら。「懐かなかった猫が急にどうして?!」あとでわかったことなのですが、とき同じくしておばあちゃんが亡くなっていたそうです。それがおばあちゃんの猫から石川家の猫になった瞬間のようで、そこからきららはお尻を差し出し、「トントンして!」と甘える仕草を見せるようになっていったそうです。もっと早くから甘えていればいいのに! きららって義理堅い猫なんですね。心理カウンセラーのような獣医、無理なく老後を一緒に楽しもうとする石川さん、頑固で義理堅く甘えん坊のきららの三つ巴の生活を天国のおばあちゃんは安心して見てくれていますかね?

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猫又トリップライター紹介

ケニア・ドイ

1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。

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カテゴリ: 猫又トリップ
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みにゃさまのコメント

きらら名前の様に、目力のあるにゃんこですね
18才とは思えない。おばあさんと離れても
心はつながっていて

by 妖怪元気ババァ 2019-12-19 07:26

今回もかわいいお写真にケニアさんらしいクスッと笑えるキャプションに大満足です!

by りえぴょん 2019-12-19 21:17

妖怪元気ババァさん
キッ!目力アリアリです。
おばあちゃんの教えを胸にいまでも繋がっているんでしょうねぇ。

by ケニア・ドイ 2019-12-20 13:12

りえぴょんさん
良い光だと良い写真が撮れますねー。
今回もありがとうございました!
また来年もよろしくお願いいたします!
メリークリスマス!

by ケニア・ドイ 2019-12-20 13:15