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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2019年12月10日

6匹の「預かり猫」

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昼下がりのマンション一室。市川市の高澤家には、3か月から7歳半まで6匹の保護猫がゆったり仲良く過ごしています。みんなわけあって、ここにやってきました。
そんな高澤家で、消灯時間後まもなく、夜な夜な起きる出来事が......。

それぞれのベッドに入った、お母さんの真奈美さんと、娘さんの亜也香さんの耳に和室からこんな叫び声が聞こえてくるのです。
「お前ら、いい加減にしろ~!」

お父さんは、居間のすぐそばの和室に布団を敷いて寝ているのですが、その上を、猫たちが、ドドドドドドと走り抜けていきます。消灯時間後に必ず繰り広げられる、保護猫6匹たちの大運動会なのです。

朝は朝で、5時くらいになると、猫たちがかわるがわる布団廻りをウロチョロしたり、顔をのぞきこんだり。
起きてきたお父さんは、妻と娘に尋ねます。
「で、この子たち、いつもらわれていくんだ?」

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高澤家に最初にやってきた保護猫は、キジトラかんな。横広のお顔がキュートな雌猫です。
やってきたときは、ほんの子猫でした。
7年前のある夜、真奈美さんが駅を出たとたん、子猫の必死な鳴き声が頭上から聞こえました。
見上げると、そばに木が植え込まれているビルのコンクリートの出っ張り部分で子猫が右往左往しています。木の下に捨てられて、そこに上ったものの下りられなくなったとしか思えない状況でした。
真奈美さんは、通りかかったサラリーマンに頼み込みました。
「上に行ってあの子を捕まえてほしい。もし、子猫が飛び降りたら、ぜったいに受け止めますから」

サラリーマン氏は協力してくれましたが、子猫はやはり飛び降りてしまいます。
「受け止めましたとも。手に噛みつかれたまま、カバンに入れて、血だらけで家に連れ帰りました」

次の日、相談に行ったのは、よく行く市内の「ジャム美容室」。
ここでは長らく、猫の保護・譲渡の活動を続けていて、店内にも保護猫たちがスタッフとして常駐しています。
いったんは美容室に預けて、譲渡先を探してもらうことになったのですが・・・真奈美さんは、すでに、自分で保護した子猫にすっかり情が移ってしまっていました。

「でも、うちは主人が犬派で、猫を飼うという発想がそれまでまったくなくて」
それで、「譲渡先が見つかるまでの預かり」として、家に迎え、「かんな」と名づけました。当時飼っていたミニチュアダックスのまりもちゃん(2015年、天国へ)とかんなちゃんは、すぐに仲良くなったそうです。

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その2年後に、亜也香さんが連れてきたのが、ノラ猫がよその駐車場で産んだ「太郎」。
今では、8キロの、堂々たる長毛のオス猫です。

その3年後、今から2年前にやってきたのは、ジャム美容室で保護された「まなつ」と「次郎」の季節違いの姉弟。
黒白のまなつちゃんは、人見知りで、いまだに家族でも抱っこできないそうですが、太郎くんにラブラブ。

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太郎くんも、まんざらではない様子で、ご覧の通り、しょっちゅう抱き合っているそうな。

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漆黒の次郎くんは、引き出しでもドアでも開けてしまう頭のいい猫です。

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そして、今年の秋にまたまたやってきたのが、白猫「三郎」。

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三郎くんは隣の市の神社に段ボール入りで捨てられていた子猫7匹のうち、白と灰色の2匹を預かったうちの1匹です。
宮司さんもすでに何匹も捨てられていた猫を飼っていて「もう限界」とのこと。他の5匹もそれぞれもらわれていきました。

「じつは、うちも5匹が限界と思って、グレイのぐーちゃんの方はトライアルに出す当てがあって三郎と一緒に引き取ってきたんですが、譲渡先の事情で出戻ってきまして、いじらしくて、もうよそにはやれず(笑)」と、真奈美さん。
まだ甘え盛りの黒猫三郎くんは、2匹が増えたとき、やきもちを焼いたそうですがすぐにいい兄貴になりました。
誰にもモテモテの太郎くんが、みんなの「大きな兄貴」なら、次郎くんは「小さな兄貴」です。

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この2匹が、やんちゃで、やんちゃで。
つられて、先住さんたちが、スイッチが入ってしまうのだとか。

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ところで、お父さんの「この子たち、いつもらわれていくの?」の質問には、真奈美さん、どう答えているのでしょうか。
「聞こえないふりをしています。この子たち、みんな、うちの子です。譲渡先なんて探してませんし(笑)」と、真奈美さん。
「お父さんだって、それをちゃんとわかってます。仕事から帰ったときに猫たちに出迎えられると、口元が緩んでますから。猫たちがいていちばんうれしいはず」と、亜也香さん。

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たしかに、見せていただいた写真を見れば、わかります。
お父さん、自分から、猫たちにスリスリしています!

真奈美さんは、今年初めから、縁あって、「宮古島 SAVE THE ANIMALS」の活動のお手伝いをしています。
島の保健所に収容された犬・猫たちを引き出して日々のお世話や医療を施し、譲渡先を探す活動です。

「さまよっていた子、飼えなくなって手離された子、未手術で増えてしまったりという問題は、島だけの問題ではなく、私たちみんなの問題。そして、犬・猫の問題は、人間社会の諸問題と同じ根っこ。人間も動物たちも暮らしやすい社会にするために、いろいろな人といろいろな試みで手を繋いでいきたい」と、真奈美さん。

「宮古島 SAVE THE ANIMALS」のテーマソング「祈星 ~きらり~」の作詞を手掛けたのは、真奈美さん。
歌詞の一部には、こんな言葉が。
「優しい海風 今 ここに生きている.........うれしくて 何度も見上げた顔 笑ってる あなた そして 僕」

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そう、7年前に天から降ってきたかんなちゃんをはじめとして、高澤家の6匹は、みんな、「天からの預かり猫」。
ずっとずっと、一緒に笑う家族です。
ね、お父さん!

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「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

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寄りそう猫
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。

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猫だって......。
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。

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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

お父さん、本当は猫が大好きなんですね。なんだか可愛い(失礼)です。
昔、家にいた子達も夜の大運動会を開催していました。足にじゃれついたり、顔を舐めたりしてました。騒がしいけど、静かだと寂しいような。毎晩楽しい時間が過ごせました。

by ふみちゃん 2019-12-10 16:31


「太郎(^_^;)」
「次郎(^_^;)」
「三郎(^_^;)」

まなつ←←←真夏にゲット

これはもはうあ
「三十郎」

までいったれや(^_^;)

実際
「殿!」は

”さんじゅーろー”だし





宣伝は欠かさないオッサンより。

by ドラ猫マスター 2019-12-10 17:40

そりゃ~かわいいでしょう
お父さん、一匹でもいなくなったら泣くんじゃないですか?(笑)
いいなあ
猫に囲まれて
私も将来は猫屋敷にする予定(^_^;)

by ぽん子 2019-12-10 19:05

(天才!志村どうぶつ園で拝見する)あの「宮古島SAVE THE ANIMALS」のテーマソングを!!(吃驚)どうすれば聴けるのでしょうか?聴いてみたいです♫お手伝いもされてらっしゃるのですね!!(重ねて吃驚)
6匹は我が家と同じ頭数。夜中のドドドドーッ!右へ左への大運動会も同じ(笑)
縁あってひとつ屋根の下、保護猫達との生活はかけがえのないものですよネ?お父さん!

by マム 2019-12-10 20:55

>ふみちゃんさん

うちの周りがまだ畑や雑木林だったころ、夜外に出ると、猫たちがよく走り回ってました。
室内外の猫たちも、夜、走りたくなるのでしょうね~

by 道ばた猫 2019-12-11 02:46

>ドラ猫マスターさん

マスターさんは、さんじゅーろー押しなんですね。今までに聞いた猫の名でインパクトあったのは、「秀吉」「ごたんだ」「吉左エ門」とか。「殿」って名の、気の弱そうな猫もいたなあ。

by 道ばた猫 2019-12-11 02:57

>ぽん子さん

そうそう、お父さん、「帰るコール」のメールには、最後に必ず猫マークを3つくらいつけるそうですよ~
隠しきれない猫愛ですよね!

by 道ばた猫 2019-12-11 02:59

>マムさん

テーマ曲のCD、イベントとかの会場では売られているようですが・・・。これから、いろんなイベントを各地で展開したいとのことでした。

by 道ばた猫 2019-12-11 03:05

わぁ~なんて美形ぞろい!太郎くんとまなつちゃんのラブラブぶりもたまりません!
お父さんも猫さん大好きですね(笑)私も実はこの道ばた猫日記などで保護猫のことを知るまでは柴犬とミニチュアシュナイザー(←マルモドラマの影響で)大好きの犬派みたいなところがありましたが今は猫大好き!!(犬も好きなのは変わりませんが)です(^-^)猫の魅力は深いですね♪今回も素敵なご家族のお話をありがとうございました。

by とも 2019-12-11 07:20

そりゃ猫さまが2にゃん揃えばもう夜中や夜明け時の大運動会始まるよね~(^_^)
6にゃんもいたら、さぞにぎやかな運動会なんでしょうね~(笑)
ウチもかつては毎晩果てる事なく繰り広げられてました。今ではすっかりおばあちゃんになっちゃってグーグー寝てばかりで。(-_-;)

今回も何気に黒猫率高し!
黒猫をうまく撮るのって難いですね。特に白猫さまと一緒だとね。

今回も迷った末、私の1番お気に入りは最後から2枚めの真奈美さん(かな?)の傍らに2にゃん、向かいに1にゃんの写真に決定。
ポイントは何気に背後にいる太郎くんのご自慢のふさふさしっぽ!
最初ぬいぐるみと化してて存在に気がつきませんでした。(笑)

二郎くんと三郎くん(どちらもあってる?)の夕暮れ窓際写真もいいよねぇ。
素敵な夕景だよね。ウチの窓からの夕暮れに似てるんですよ。(’-’*)♪

by 才蔵 2019-12-11 10:53

>ともさん

毎日、「よりどりみどり」状態ですよね(笑)。
おうち保護猫カフェが開けるくらい。かんなちゃんとまなつちゃんは人前苦手だそうですが。

by 道ばた猫 2019-12-12 02:50

>才蔵さん

夕暮れ窓際写真は、真奈美さんにお借りしたものです。
2匹の対比が、夕景をバックにすごくきれいですよね~  三郎君の愛らしさといったら!

by 道ばた猫 2019-12-12 02:53

朝4時、うちの子も
私の顔を覗き込んで
お腹の上に乗って フミフミ

これで 起きる 私です
猫のいる日常
…ほんとに 幸せ

by さと 2019-12-12 05:41

>さとさん

朝4時ですか!
うちは、5時半。 しつこく顔を覗き込み、耳元で鳴きます。でも、しあわせ…(笑)。

by 道ばた猫 2019-12-12 23:59

猫のいる日常って…素敵ですね。顔を覗き込んで鳴かれるってたまりませんね。
佐竹さん、佐竹さんのすてきな猫の絵の絵はがきが欲しいのですがどのようにしたら購入できますか?

by とも 2019-12-13 18:13

>ともさん

年明けの道ばた猫日記で詳しくお知らせしますが、1月8日から川口市のカフェで「輪が道を行く猫」展をやりますので、カフェに写真はがきや絵葉書をたくさん用意しておきます。遠ければ、カフェにお電話いただけましたら郵送もできるようにしますね。

by 道ばた猫 2019-12-14 02:33

絵葉書の件、ありがとうございます!!川口ですね、あのアクタさんかな、行きます!!

by とも 2019-12-14 12:29