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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

わんにゃん支援活動

2018年01月19日

「Perro Dogs Home(ペロ・ドッグズ・ホーム)」さまの活動レポート(2017-18前期)

フェリシモ猫グッズの販売額の一部である「フェリシモの猫基金」、フェリシモメリーポイントの「動物たちの保護と飼い主探し支援」、 毎月ひと口100円「フェリシモわんにゃん基金」等でみにゃさまからご支援をいただいている団体さまの活動レポートです。

実施場所:東京都、神奈川県およびその隣接県

Perro Dogs Homeが活動を開始してから10年になりました。
保護譲渡活動をはじめてからの年月が長くなるにつれ、その間に譲渡した犬たちの訃報が頻度を高めて舞い込むようになりました。
メールで、電話で、あるいはお手紙で。

ある夜、何年も前にお届けした保護犬の飼い主様から突然のお電話がありました。
くぐもった硬い口調で犬の突然の死を知らせる言葉はやがて慟哭に変わり、「すみませんでした~」と吐き出すように声をあげたのが忘れられません。謝ることなど何ひとつないのに......。

10年のあいだ、私たちは「いのち」だけでなく「死」をつないできたのではないかと、一時は落ち込んだこともあります。

つい最近、2008年夏に譲渡したチワワの訃報が届きました。ていねいで心のこもった文面のメールでした。
このチワワの女の子は、こちらのご家族のもとで「クリ」という名前をいただきました。
保護時には歯を8本抜歯しなければならなかったほどの劣悪な健康状態だったこの子は、その後9年以上をこの家族の一員として過ごし、15歳と9か月を生きました。メールにはこうありました。
「1-2年前から具合が良くなく、いずれはと思っておりましたが、亡くなると本当にぽっかり穴があいたような感じです。でも、クリは私たちに幸せを運んでくれました」
「幸せを運んでくれました」という言葉は私たちにとってたとえようもなく美しい安堵の響きです。

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クリちゃんの里親様からお送りいただいた写真。幸せいっぱいに暮らしていた様子が伝わってきます。

この子は多頭崩壊現場から保護したチワワの1頭でした。同じ場所から保護した他のチワワの子たちのことを思わずにはいられませんでした。

クリちゃんを保護する半年前に、私たちは同じ場所からクリちゃんより一世代若い4頭のチワワを保護していました。クリちゃんはその4頭のうちの1頭もしくはそれ以上の子の母親であった可能性もあると見られていました。
飼い主自身、どの子の親がどの子なのかわからないほど混乱した凄惨な多頭崩壊の現場でした。
その4頭のチワワは、幸いどの子もよい譲渡先のご家族に恵まれましたが、2014年から2015年にかけて呼び合うように相次いで心臓疾患がもとで亡くなりました。享年は11~12歳。
それが狭い遺伝子プール内の交配による遺伝的なものなのか、幼時から成長期にかけての劣悪な環境に起因するものかはわかりませんが、この犬種にしては比較的短命でした。

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多頭崩壊のチワワたち。このうちの4頭を当会が引き取りました。

その1頭の里親様から当会宛にいただいた訃報メールを忘れることができません。一節を紹介します。
「獣医さんから帰って来てずっと添い寝している間ユリは私の目をじっと見つめて涙を一粒こぼしました。ユリがどれだけ私を癒してくれたか、抱いている間もずっと『ありがと~』と言ってました。だいぶ苦しみましたが、ユリがいたので私は生きつづけることができました」(プライバシーに配慮して文章の一部と犬の名前は変えてあります)
チワワの譲渡後にこの方が味わった人生の非道と辛酸を伝え聞いていましたから、「ユリがいたので私は生きつづけることができました」という言葉は私の胸を激しく打ちました。

この10年のあいだに、譲渡活動について2つのことを私たちは思うようになりました。
ひとつは、救われた犬たちにとって最愛の飼い主家族の腕に抱かれ、あるいは見守られて旅立つのはいちばんの幸せであるということ。
もうひとつは、その救われた犬たちの生によって人もまた救われることがあるのだという事実です。
――それをご報告くださった里親様の存在は私たちを強く励ましてくれました。

私たちは、保護した犬を新しい飼い主様に譲渡すればそこで役目が終わったとは考えていません。
譲渡した犬が里親様のもとで旅立つまでは、私たちの役割が本当に終わったとはいえないのだと考えています。

愛する犬の死を悲しむ飼い主様のお気持ちはよくわかります。かけがえのない犬の生命が喪われたことを私たちは深く悼みます。
しかし同時に、天寿をまっとうして最愛の家族のもとから旅立つことのできた犬は幸せだったのだと考えています。その犬を素晴らしいご家族に送り届けることができた自分たちの活動は間違っていなかったのだと。
一度は飼い主に見捨てられてどん底に突き落とされた犬たちは、それに倍する幸せを得て旅立ったのだと私たちは信じています。


<ご支援くださっているみなさまへ>
ここ数年、保護した高齢犬、病犬を会で看取るケースが少しずつ増えてきました。
必然的に高額となる医療費が会の財政を圧迫することで、私たちの活動の委縮を招く可能性がつねにあります。
皆さまからのご寄付の大半は会の医療費に充当されます。しかし、そのお金が病気の犬だけのために役立っているのかといえば、じつは違うのです。
医療費負担の圧迫が軽減されることで、私たちはより積極的に犬の保護をおこなうことができるようになります。ご寄付のもたらす効果というのは、おそらくご支援くださった皆さまの想像を上回るものです。

日常的なお買い物の際に、犬や猫の救援活動に心を留めていただき、労をいとわずわざわざご支援の手を差し伸べてくださる多数の方々の存在に、私たちは強く励まされます。
金額の多寡ではなく、そういう方々が存在してくださるという事実にも、私たちは背中を押される気がするのです。ありがとうございました。



「Perro Dogs Home(ペロ・ドッグズ・ホーム)」
www.perro-dogshome.com/
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