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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2016年12月13日

光くんと葵ちゃん

ことしもあとわずか。年内の猫日記は、保護されてあたたかなおうちで過ごす子猫たちの物語をお伝えします。
今週は、光くんと葵ちゃん兄妹の物語。

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光くんは、キジトラの男の子。推定2か月半です。

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光くんの後ろをこそこそっと駆け抜けたのは、妹でサビ猫の葵ちゃん。
人見知りなので、知らない人が来ると、馴れるまでちょっと時間がかかります。

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光くんと葵ちゃんのいるのは、都内でミルクボランティア活動を続けている墨田さんのおうち。
今年1月の道ばた猫日記「セラピー猫『ニケ』」でご紹介したニケくんのいるおうちです。

光と葵。こんな雅な名前がついているのは、兄妹は、京男と京女だから。
そう、3週間前、2か月足らずのときに京都から新幹線ではるばる東京にやってきたのです。

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3週間前、都内の動物病院に勤める女性獣医師の黒澤先生と墨田さんは、京都に出向きました。
京都では唯一、避妊去勢専門病院である「ぜろの会」とそのボランティアさんの協力を得て、ある一帯に棲みついている未手術の猫たちのTNRをするためでした。
このあたりでは毎年子猫が生まれては、車に轢かれたり育たなかったりで死んでいくという、切ない連鎖を止めたかったのです。

捕獲手術前に、地元の方とよく話し合ってみると、ワンフロアを猫のために開放して面倒を見ている土建会社の社長さんがいたり、原っぱに毎日バケツ入りの猫ご飯を配りに行く男性がいたりと、ノラ猫に思いを寄せている人たちの存在もわかりました。
ただ、避妊去勢が間に合わず、ゴミ収集車がひんぱんに出入りする場所でもあるので、毎年子猫たちが死んでいたのでした。

捕獲手術は、19匹。(メス猫が13匹でオス猫が6匹)
オトナ猫はみな手術後元の場所に戻しましたが(餌を今後もらえることを確認したうえで)、黒澤先生と墨田さんが、どうしても元の場所に置いてこられなかった子猫2匹がいました。

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2匹は、フェンス内の空き地で、ボロボロの発泡スチロールから出たり入ったりして遊んでいました。聞けば、3きょうだいだったのが、この前、1匹、車に轢かれて死んでしまったとのこと。
可愛がってくれる人たちがいるにせよ、この子たちは大きくなるまで、生きて行けるだろうか・・・。
胸が詰まった二人は、東京に連れ帰り、里親を探すことにしました。

そんなわけで、いま、京都生まれの兄妹は、墨田さんの家で、里親さんの現れるのを待っています。

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ニケお兄ちゃんもやさしいし、

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リリお姉ちゃんもやさしいし、

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純一お兄ちゃんだってやさしい!
だけど、ここは2匹にとって仮のおうち。光と葵という名も仮の名前です。
ミルクボランティアを長年続けている墨田さんにとっても、幸せに送り出すことが無上の喜びなのです。

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兄妹は、今度の日曜日、保護団体「ねこけん」の譲渡会に参加します。
墨田さんは言います。
「今回は、2匹揃っての譲渡を希望しています。京都からはるばる見知らぬ土地に連れてこられるという環境の激変を、寄り添って頑張った。しあわせにしてやってほしいと送り出してくれた京都の方たちの思いを、この子たちは背負っていますし、たった2か月で亡くなってしまったきょうだい猫の分までしあわせにしてやりたいから」

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2匹にすてきなおうちが見つかりますように!

ところで、なぜ、黒澤先生と墨田さんは、はるばる京都まで出かけてTNRをしようとしたのでしょうか。
じつは、光と葵の物語は、京都の子猫物語の後編なのです。

前編となる物語は、9月に、黒澤先生が所用で京都に行き、土地勘のないまま、とある路地で痩せたノラの母子に出遭ったことが始まりでした。
前編は、今発売中の「猫びより1月号」の子猫特集で、じっくり書かせていただいています。読んでいただけたら、うれしいです。

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※光くんと葵ちゃんの参加する「ねこけん」譲渡会
12月18日(日)13時~17時
練馬区豊玉北5-15-12  ビル2階


写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

可愛い子達ですね。仮の名前とはいえあの(源氏物語)のようで、何とも優雅ですてきです。優しい家族と安心できる家が早く見つかるといいですね。

by ふみちゃん 2016-12-13 16:40

ふたりとも無条件に可愛い!早く愛情たっぷり注いでくれる母さんがみつかりますように・・・8年前になりますが チイ子母さんが連れてきた頃のりん吉とゆいぽんの子猫時代を思い出します。あっというまに大きくなってしまいましたが・・大きくなってもいつまでも可愛いものです。みんな幸せに!!

by ぺったんの母 2016-12-13 17:07

「無責任な餌やりが野良猫を増やす!」と、猫嫌いの方から言われますが、これ以上可哀想な命を増やさないために、人知れず野良猫たちを見守り、不妊手術などをされお世話している方がいることを知って、非難ばかりじゃなく見守って欲しいな、と思いました。

by 桜さくら 2016-12-13 20:54

「ねこけん」さんのブログを見ています。このかわいい子たちはあの時に関係があるのですね。
用があって京都に行ったのに用を済ませられないまま猫さんと一緒に帰ってこられたお話。印象に残っていました。 どうか素敵なおうちが見つかりますように。

by さりゅ 2016-12-14 00:22

>ふみちゃんさん

ちょっと短足でがっちりした足ですから、大きくなるかも。
人見知りの葵ちゃんですが、ごはんの催促の声は盛大だそうです(笑)。

by 道ばた猫 2016-12-14 01:07

>ぺったんのお母さま

はい、子猫時代は無条件に可愛く、大人になってもこの上なく可愛く、老猫になったら、しみじみと可愛いものです。つまり、猫は一生、可愛い!!(笑)

by 道ばた猫 2016-12-14 01:11

>桜さくらさん

そうですね、いろんな方ができることと思いをつなげて、猫を救える成熟した社会になってほしいです。
餌やりを無責任と断罪するだけでは、いま、そこにいる命をどうするのかという情も理も完全に抜けていると私は思います。

by 道ばた猫 2016-12-14 01:16

>さりゅさん

そうなんですよ! あのときの話の続きです。
3週間前の京都再訪問のとき、用事は済ませられたそうですよ~ こんな行動力のある若い獣医さんがいるということ、保護活動の光明だと思います。

by 道ばた猫 2016-12-14 01:20

あどけない瞳を見てると、胸が苦しくなってしまいます。どうか2匹一緒に温かいおうちに引き取られてもらいたいですね。九州ですが、行けるものなら行きたいです。

by りんりん 2016-12-14 06:50

>りんりんさん

光くんには問い合わせがあったそうですが、この子たちに限っては兄妹一緒にもらってほしいと、
黒澤先生も墨田さんも思っていらっしゃいます。きっと一緒のおうちが見つかりますよ!

by 道ばた猫 2016-12-14 23:27

みなさん、暖かいコメントをありがとうございます。我が家の猫たちも、2匹を可愛がっているので、時間はかかっても、必ず一緒に幸せを掴むまで頑張りたいと思います。それまで、どうぞ2匹を見守って下さい。よろしくお願いします!

by 墨田 2016-12-15 03:33

なんと可愛い表情!!光くん、葵ちゃん、源氏物語からなんて、仮のお名前も素敵ですね!ボロボロの発泡スチロールで遊んでいる姿は涙がでます。黒澤先生と黒田さんの行動は素晴らしくて「何もできないけどお二人にたくさんの幸せが訪れますように」と思っています。黒田さんのお家で今は他の可愛い猫さんたちと一緒に一時的に暮らしているのですね。黒田さん、本当に素晴らしいですね、ありがとうございます。
そして可愛くてたまらない光くん、葵ちゃん、一緒に幸せになりますようにと心からお祈りします。犬猫飼うことが禁止されている団地住まいなので何もできないのが申し訳ないですが、このブログで紹介される猫ちゃんたちと猫ちゃんたちの面倒をみてくださっている方々が幸せになりますようにいつも応援しております。
そのような猫ちゃんや方々を紹介してくださる佐竹さんにも感謝でいっばいです。本当にありがとうございます。

by とも 2016-12-15 07:16

ウチの2匹目のプティ(サビ猫のメス、推定3歳)を保護する前に、彼女の子猫2匹の茶トラ兄弟を保護したのですが、兄弟一緒に引き取っていただきたいと思っていました。希望者の方は最初1匹だけと仰っていましたが、面会時に2匹があまりにも仲良しで、毛づくろいし合っていたので、兄弟一緒にと引き取ってくださいました。光くんと葵ちゃんも素敵なご縁がありますよう、心より願っております!

by あべんぬ 2016-12-15 15:23

>ともさん

ほんとうに、黒澤先生と墨田さんの行動力・決断力・猫愛には感服です。
さぞご苦労も多いかと思いますが、愚痴ひとつ言わず、前を向いて猫のためにできることをしていらっしゃいます。

by 道ばた猫 2016-12-16 01:34

>あべんぬさん

プティちゃんの子どもたちも、兄弟でもらっていただけたのですね。よかったですね!
里親さんのほうも、兄弟だと留守番させても寂しくないし、助かることも多いですよね~

by 道ばた猫 2016-12-16 01:38

うちの猫ちゃんも兄弟での保護猫さんです。
ひとりではかわいそうかと思い、はじめから2匹くらい欲しいねと思っていたところ、譲渡先から紹介された猫がたまたま兄弟でホントに良い廻り合いでした。
いつでも仲良しでホントに微笑ましいです。2匹一緒に家に来てくれてありがとうって思います。
光くんと葵ちゃんも二人でずっといられたらいいですね。良き飼い主さんに出会えますように!

by 2にゃんこは宝物 2016-12-16 13:37

>にゃんこは宝物

それはお互いにうれしい巡り合いでしたね!
にゃんこは宝物・・大共感です~ お宅の兄弟猫が仲良く年を重ねていきますように~

by 道ばた猫 2016-12-17 14:22