ページ内を移動するためのリンクです。
ここからメインコンテンツです

[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2015年09月08日

猫のいる店その①・・・「カフェ・アルル」

新宿の雑踏からちょっと離れた5丁目「三番街」にあるカフェアルルは、昔ながらの町の喫茶店です。
ここには、この6月まで、名物猫「五右衛門」がいました。

michibata20150908-1.JPG

飲み屋街のシャッターに挟まっていたのが、、マスターとの出会い。連れ帰ってもらって、看板猫に。
決して媚びはしないけど人懐こいふくよかな猫で、19歳で旅立つまで、たくさんのお客さんに愛されました。

michibata20150908-2.JPG

「猫喫茶の猫」というのではなく、地元に根づいて愛されている喫茶 店に入ると何だかのんびり猫がいるという、そんな感じでした。

michibata20150908-3.JPG

五右衛門が通路を歩くと、お客さんは、読んでいた本から目を上げて撫でてやったり、話しかけたり。そんな風景がここの日常でした。
「19歳は寿命だったと思うし、死ぬ間際まで元気にしてたから、いい人生だったよね」と、マスターは言います。

michibata20150908-4.JPG

五右衛門を見送ったあと、マスターには跡継ぎ猫を飼う気持ちはさらさらなかったそうです。
だのに、いま、アルルの店内には、2匹の猫が・・・。

michibata20150908-5.JPG

まだ店猫見習い中とのことですが、新人とは思え ないくらい、すっかりこのお店に馴染んでいます。

michibata20150908-6.JPG

マスターは言います。
「いやあ、お客さんたちが口々に寂しがってねえ。静かに珈琲を飲みに来てて、そんなに猫にはかまわなかったようなお客さんまで『五右衛門がいないと寂しいねえ』って。
ああ、五右衛門はこんなにみんなに愛されてたんだ、とよくわかりましたよ。私にしても、いなくなって初めて『猫の不在』の大きさに気づかされたんですよ。ただそこに猫がいるだけだと思っていたんですけどね」
そんなとき、五右衛門によく似た保護猫をもらってくれないか、という話が。
それで、五右衛門似の4歳の「次郎長」と共に、同じ保護主さんから弟分として、5カ月の「石松」も引き取ったのでした。

michibata20150908-7.JPG

よく背もたれでまったりしていた五右衛門と同じく、次郎長も、背もたれが好き。抱っこは苦手ですが、店猫にうってつけの穏やかな猫です。

michibata20150908-8.JPG

石松のほうは、まだやんちゃ盛り。次郎長お兄ちゃんが大好きで、スイッチ・オンになると、2匹で店内をモモンガのごとく飛び回ります。
テーブルに飛び乗り、お客さんのハンバーグに口をつけてしまったこともあるので、ただ今、店猫マナー教育中。お昼の食事時には事務所で待機です。

michibata20150908-9.JPG

今日も、2匹は客席を飛び回って大ハッスル。石松がコーヒーカップをのぞき込みました。
「あああ~。スミマセン!」とマスター。
「いや、いいよ、いいよ」と、お客さん。口元がほころんでいます。

michibata20150908-10.JPG

「うちは昔からの町の喫茶店ですから、『きゃあ、カワイイっ』ってかまうより、静かに本を読みながらコーヒー飲んだり、仲間と談笑したりしているお客さんが多いんですけどね、なんだか皆さん、猫がお好きなようで」と、マスター。

michibata20150908-11.JPG

後ろの背もたれで、お客さんの話をそっと聞いてたり、

michibata20150908-12.JPG

「またくるよ」と、帰りがけに撫でてもらったり。
ひとも猫も、のんびり。
猫のいる喫茶 店の風景が、今日も新宿の片隅であたりまえに続いていることを、なき五右衛門くんもきっと喜んでいるに違いありません。


写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

Instagram

カテゴリ: 道ばた猫日記
  • ツイート
  • いいね!

みにゃさまのコメント

五右衛門さんの落ち着いた表情がいいですね。もう会えないのは寂しいけれど、いっぺんに賑やかになったお店を見守ってくれているのかな。
次郎長さんはうちの子にちょっと似てます。頭のてっぺんと尻尾だけ黒くて。(うちは女の子ですが)
石松さんは~これからの成長が楽しみですね(笑) こんな素敵なお店行ってみたいです。

by さりゅ 2015-09-08 15:06

1枚目の写真の、お客さんの足元に
頭を傾けてくっつけている五右衛門ちゃんの様子が
本当に可愛くって、愛らしい・・・と思いました。
19年間、この様な素敵なお店で、優しいマスターやお客さんに
接し、可愛がられ、安心して過ごせた五右衛門ちゃんの猫生は
とても幸せだったことでしょうね♪

by 紅お蝶 2015-09-08 20:53

『猫がそこにいるだけ』
それだけのことで癒されるし、ちょっと元気になれる。
私も先住猫を亡くした後はもう絶対に猫は飼えないと思っていたのですが‥‥
やっぱり、猫との暮らしはしあわせです。
こうゆうかたちが本当の猫カフェでしょうか…?
今度、お邪魔してみたいです。
五右衛門ちゃん、かわいい。
次郎長ちゃん、石松ちゃん、いっぱい可愛がってもらってね。

by よーこ 2015-09-08 23:38

さりゅさん

五右衛門と次郎長はよく似てますけど、髪型が違うんですよ。五右衛門は、七三分け。次郎長はおかっぱ。さりゅさんちの猫さんはどんな髪型でしょうか・・・。

by 道ばた猫 2015-09-09 00:14

>紅お蝶さん

この五右衛門くんの写真は、この1月に撮ったものです。もう19歳になってましたが、5~6歳に見えるほど若々しかったんですよ~

by 道ばた猫 2015-09-09 00:20

>よーこさん

新入り二匹は3時過ぎなら確実に出勤しているとか。(ランチタイムは事務所です)
珈琲も、ピラフも、ナポリタンも、葡萄しぼりもおいしい店です。

by 道ばた猫 2015-09-09 00:23

五右衛門くん、なんて穏やかなお顔なんでしょう~*
お客さんの足元にそっと寄り添う一枚目のお写真、いいなぁ。
「猫不在の大きさ」いなくなって気が付いたと、マスターと五右衛門くん 五右衛門くんのお客様とのかかわり方が自然だったのですね。
次郎長くん姿もそっくりだけれど、たたずまいも似ていますね~。
いつまでも元気で看板ネコしてね(^_-)-☆
石松くん、マナー修行がんばれ~~~!

by りょう 2015-09-09 09:16

>りょうさん

そうですね。いい感じで、「そこにいた」からこそ、みんなに愛されたのだと思います。
次郎長は五右衛門の面影があり、石松は石松でお行儀の悪さで人気猫になりそうな予感です(笑)。

by 道ばた猫 2015-09-09 23:12

今、インスタグラム見ていて、タグが気になりフェリシモでネット探していたら、たまたま猫部のこのページへ。
五右衛門くん、懐かしい。。私は猫大好きで、何年前かに、猫がいるのを調べてこのお店行ったんです。なんとなくしか覚えてないのに、お店の雰囲気や五右衛門くんの姿、思い出して来ました^_^
長生きしたんですね。そして、今度は新入りが。5年ぶりくらいかな?久しぶりに、行きたくなりました。

by みやこ 2015-09-10 18:29

>みやこさん

きっと5年前と、猫の顔ぶれ以外は何も変わっていないんじゃないでしょうか。
別珍のソファも、マスターの笑顔も、おいしい珈琲も。ぜひ。

by 道ばた猫 2015-09-11 00:56