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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2011年12月13日

寒空の下、こころが暖まった話

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 猫びより新年号が発売されました。特集は、奇跡の復活をとげた猫! 虐待から保護された猫、半身麻痺が治った猫、火事から逃れた猫など、猫たちの復活力にこころ揺さぶられ、「人間もがんばるからね!」と思います。
 
 この特集では、「喫茶店岬の猫たち」の記事を書かせてもらいました。エンケンこと遠藤賢司さんのインタビューもしています。エンケンさんの猫語り、必見です! 
 
 さて、猫びよりの9月号で取材し、このブログの8月でも紹介した、東京・下町の猫町、立石。先日、ふらりと立ち寄ったところ、ナツキチもジュンペイもカケちゃんも元気にしていました。そして、猫たちの面倒をみている、おもちゃ屋の晴美さんから、こんないい話を聞いたのです。
 
 界隈の路地猫のなかに、ユキちゃんという雌猫がいます。ユキちゃんは、6年くらい前、裏の公園に捨てられていた猫。首輪をしていて、避妊手術ずみ。当時すでに若くはない猫でしたから、現在の推定年齢は、12~16歳くらい。
 
 ユキちゃんは、最初、モミちゃんと呼ばれ、直美さんたちが面倒を見始めました。人間に甘える様子は、家猫に戻りたくてたまらないふうに見えたそうです。でも、他の猫たちとうまくやっていけず、界隈のはぐれ猫に。
 
 やがて、スナック「マリ」の前にいつき、マスターになついて、マリちゃんとよばれるように。マリが閉店して、店をスナックユキに譲るとき、「外猫つきで」というのが譲る条件だったとか。そして、マリちゃんはユキちゃんと町のひとたちに呼ばれるようになりました。
 
 そのユキちゃんが、10日ほど前、交通事故で、骨折に両後ろ足脱臼という大怪我をし、晴美さんが獣医さんにかつぎこみました。1週間入院して、あとは自然治癒を待つことに。入院費は、商店街のカンパでまかなうことになり、問題は、後ろ足のまだ使えないユキちゃんを寒空の下には戻せないことでした。でも、ユキちゃんは、他の猫とうまくやっていけない猫。それに、晴美さんたちは、すでに保護猫たちでいっぱいいっぱいです。
 
 ユキちゃんの退院が迫り、晴美さんが悩んでいたとき、スナックユキのすぐ裏で大きなマンションを建設作業中のおじさんにぱったり出会いました。その人は、仕事の合い間に、いつもユキちゃんを可愛がりにきていて、このごろは餌も持参してくれていたのでした。ユキちゃんの姿が見えないので心配だろうと、入院中だということを告げました。
 
 おじさんは、「病院はどこですか」と聞くや、その日、仕事のあと、駆けつけたようです。
 
 次の日、おじさんは、名刺をもっておもちゃ屋さんにやってきました。おじさんは、工事の現場監督で、栃木から通ってくるひとでした。おじさんは言いました。「マンションの工事は1月で終わるので、そのとき、ユキちゃんをもらっていくつもりでした。でも、事故に遭ってしまったからには、退院したらそのまま連れて帰ります。入院費や治療費は払ってきました。栃木の我が家には、私よりもっと猫好きな妻が、ユキちゃんの来るのを待ち構えています」と。
 
 写真は、1年前に公園で撮ったユキちゃん。もう1枚は、2日前、もらわれていく日に、おもちゃ屋さんでおじさんの仕事の終わるのを待っているユキちゃんです。公園にいたときは、町の人たちに可愛がられているとはいえ、外暮らしのストレスでキツい目をしていました。いまは、事故のあとだというのに、穏やかな目をしています。やさしい夫婦にもらわれて、悲願の家猫になれることを知っているのでしょう。
 
 ユキちゃん、しあわせに!

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写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『里山の子、さっちゃん』『猫だって……。』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」を連載中。

カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

ユキちゃんがしあわせになれてうれしいです。栃木のおじさん、みなさん、ありがとうございます。伝えてくれた佐竹さん、ありがとうございます。胸がいっぱいになりました。

by ねこたん 2011-12-13 17:42

本当に別人(別猫)というくらいの目ですね。
うちにもおばあさん猫がいますが言葉を話せない分、目とかで訴えてきますよね。

しあわせな人生を送る猫たちがもっともっとたくさんいるようになることをいのってます。

by よーこ 2011-12-14 00:36

心がキュっとなりました。
私も、病気のノラちゃんを保護して今里親さん探しをしています。
この子も、ユキちゃんと同じく元飼い猫らしく、
すごく人間に甘えたがりです。
そして、ほんの一か月で別猫のように顔が変わりました。
なのでこのお話、他人事とは思えず。。。
うちの保護ネコくんにも幸せが待ってるんだって、
前向きな気持ちになりました。
ありがとうございます。

by ペコリン 2011-12-14 13:45

とっても優しい話に心が暖かくなりました。ゆきちゃんよかったね♪ ゆきちゃんのように沢山のにゃんこちゃんが幸せになれるよう願ってます!

by ミミチロ 2011-12-14 22:17

「捨てる神あれば拾う神あり」ということわざがありますが、本当にそのとおりですね。このお話のように幸運な出会いをする猫と人間がもっともっと増えることを心から祈ります。
佐竹さんのこのブログを見るたび、この世もそう悪くはないと思えてきて、勇気づけられます。

by たこやき 2011-12-16 20:33

心温まるお話ですね。ユキちゃんの表情が穏やかでこれほどまで変わるのかと驚いています。我が家にも1にゃんがいますが、よい飼い主さんと出会えてうれしく思います。幸せになってね。ユキちゃん。

by みぃ 2011-12-22 17:07

本当に心温まる素敵なお話ですね。
ドラマにして皆さんに知って頂きたいとおもいました。
思わず涙が溢れました。

工事監督さんもその奥様も家族の一員にしようと思ってくれてたなんて、ホント良かったですね。今頃は温かく楽しい生活をサt¥れてるのでしょうね。イイお話ありがとうございました。

by ゆうちん 2011-12-27 18:28

この現場監督(Iさん)さんと知り合いです。

マンションの工事現場の品質検査で行った折りに、監督と昼食を
とるために商店街へ行きました。
その時はユキちゃんは元気にしてたんですが............。
でも、Iさん宅へ引き取られて行ったのならば心配はいりませんよ。
家族にかわいがられて元気に暮らしているそうです。

by ねこ検査官 2012-03-29 15:54