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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2011年12月06日

ツラがまえ

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 つぶらな瞳で、甘えん坊で、すりすりしてくる猫さん。可愛いですよね~~。目尻が2~3ミリ下がってしまいます。
 
 愛らしい猫は、可愛い。もちろんそうなのですけれど・・・・・じつは、わたしがいちばん好きなのは、ツラがまえのある猫なのです。愛らしい猫を愛らしく撮るのは、プロのカメラマンさんたちにまかせるとして、「撮りたい!」という思いが衝きあがってくるのは、こんな猫です。
 
 「ふん、簡単にはなつかないぜ」といったツッパリ顔の猫。かっこいいね、とか、可愛いねとか、いわれたことのなさそうな猫。体を張って必死に生きてきた匂いのする猫。そんな猫に道ばたで出会うと、「おおっ」と胸がざわめきます。いじらしさといとしさで胸がいっぱいになるのです。
 
 「おまえがこうして一生懸命生きてきて、今日出遭ったことは、忘れないよ」という気持ちでシャッターを押します。初めて会ったときは目の端で挑むように見返した猫も、2度めに会いにいって「また会えたね。元気だった?」と声をかけると、ちゃんと覚えていて、目の奥にうれしそうな光が灯ります。
 
 どんな猫も話しかけられるのがうれしいんだなあ、というのが、道ばた猫を撮り続けてきた私の感想です。だから、ぜひ、猫に会ったら、「寒いね」でも「またね」でも何でもいいから話しかけてやってくださいね!
 
 この写真の2匹は、先月、墨田区の下町で会った猫です。どちらも、いかにものアウトロー顔で、ノラとばかり思ったのですが、空き地の枯れ草にすわっていた白黒さんのほうは民家に帰っていきました。きょう、その家の前を通りかかると、ちょっと頑固そうな老人が家から出てきたところでした。思わず、「お宅の白黒の猫ちゃん、元気ですか」と話しかけてしまいました。
 
 おじいさん、への字の口元がたちまちほころんで「はいはい、元気にしてますよ」と答えてくれました。太郎という名前だということも教えてくれました。
 
 塀の上にいた猫のほうも、ちゃんと名前があって、誰かに可愛がられていますように!
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写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

太郎ちゃん、オランダの画家ソロモン・メイジャー「びっくり箱」の帽子箱に入っている猫そっくりでびっくりしちゃいました。遠い親戚かな?

猫に優しい街は人々にも優しい街だとと思います。
虐待とか犯罪も少ないのじゃないかなぁ・・・

by Nekomata 2011-12-07 19:55