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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2026年09月01日

猫を救う人たち

※この記事は、映画本編の結末に触れています。

今週の道ばた猫日記は、日本から遠く離れたカタールの道ばたで暮らす猫たちを描いた映画をご紹介します。
先週の水曜日の夜、日比谷図書文化館の大ホールで、国境を超えた保護活動を扱ったドキュメンタリー映画の試写が開かれました。

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「猫たちと7000マイルの旅」という映画です。
「猫と、とうさん」(2023年)で注目を集めたマイ・ホン監督によるアメリカ映画です。たくさんの猫たちが主人公なのですけれど、ニンゲン側の主人公の一人が、ケイティという行動的で知的な女性。

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彼女は、客室乗務員という職を持っています。
そして、アメリカ・ミルウォーキーの保護猫カフェのオーナーでもあります。

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ケイティは、これまで、国内のみならず、エジプトやアフガニスタン、トルコなどへも出かけて行って、路頭に迷う猫たちを保護し、譲渡につなげてきました。その数、国内ではおよそ1000匹、11か国からは300匹以上。
この映画の舞台は、アメリカから7000マイルの国、カタールです。カタールはアラビア半島にある発展めざましい国で、首都ドーハには、超高層ビルが立ち並びます。外国から働きに来るたくさんの労働者を抱える富裕国です。
ですが、そのビルの谷間で暮らす野良猫の数は、人口と同じ300万とも言われます。

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食べ物を運ぶ人もいますが、とても十分に行き渡らず、熱砂の国なので猫たちはみな痩せています。なぜ、こんなにも野良が増えたかといえば、諸外国から働きにやってくる大勢の労働者たちが帰国するときに捨てていくからです。カタールの人たちも捨てる人が多いという現状です。
国が運営する野良犬の収容所は2か所あるそうですが、猫は放置です。
カタールに渡ったケイティは、当地で、個人で保護をがんばってる人たちに情報を得、協力を仰いで、保護を開始しました。インド出身の夫婦やパキスタン出身の施工管理者もいます。

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日程はわずか4日。迷う時間はありません。
保護猫カフェに連れて帰るのは、人になつく猫やここでは生き延びられない猫が優先。25匹というのが、譲渡に確実につなげられる現実的な数なのです。
バイタリティーあふれるケイティですが、それでも、わずかな迷いは画面から見てとれ、保護する者共通の試練が描かれます。

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ニンゲン側のもうひとりの主人公というべきパキスタン出身のウマイルは、ケイティと真逆の生活環境やバックボーンを持ちながら、まさに魂を同じくする「同志」と言えるでしょう。
彼はかつて、鬱になったときに友人が連れてきた1匹の猫に救われました。その猫は「人生の伴侶」となってくれ、今の彼の保護活動を支える「種や国境を超えた愛情」のもととなりました。猫を病院へ連れて行ったり、建物が壊されるときに保護したり、死んだ猫を見つけたら埋葬したり、ひとりで何でもやります。1匹でも身近な猫を救いたいという思いから。
さて、ケイティはテキパキと連れ帰る猫を選びます。

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この白い猫「マーリー」は、1年もの間キャリーケースに閉じ込められていたときに脚が重度の感染症にかかってしまいました。救出後に手術で3本脚となり保護施設で暮らしてきましたが、今回、アメリカ行きとなりました。

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アメリカ行きとなったのは、他に、自力では生き延びるすべを知らない子猫やペルシャ猫もいました。

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きょうだいを交通事故で失ったばかりだった子猫のペネロペも。

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25匹の枠が27匹に増えた空港での旅立ちのとき。現地で猫たちに関わり、愛を注いできた人たちはケージを覗き込んで話しかけます。
「いい子だね」「なんで泣いているんだ?」
私を含め、保護した猫を送り出した経験が一度でもある方には、身につまされるシーンでしょう。
映画は、ケイティと現地の人たちとの交流で、いろいろなことを浮き彫りにします。
活動を続けるには、いい同志と信頼できる医者が必須ということ。
救えないたくさんの猫に絶望手前まで行くこともあるだろうけれど、それでも、手をつばぎ、動けば助かる命が確実にあること。それを発信し続けること。

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今回のミッションは、当初は25匹。それが27匹に変更。そして、帰国後、しあわせになったカタールの猫の数は31匹。
あれ、あれ、なぜでしょう? そのわけは見てのお楽しみとして、全員がおうちを見つけたそうです。
試写会の後、来日中のマイ・ホン監督のトークがありました。

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会場から「保護されなかった猫たちへの監督の思いは?」との質問にはこんな答えが。
「メッセージを広げていく。1匹でも多く救っていく。それが何より大事だと思います」
映画の最後にも、こんなメッセージが流れます。
世界の野良猫の数は4億数千匹。それでも、動物たちの苦しみを減らすことは私たちにはできる。自分のできることをしよう。手術・ワクチン・マイクロチップをしよう。地域のTNRに参加しよう。高齢や障害を持つ猫を迎えよう。保護団体をよく調べたうえで、寄付やボランティアをしよう......。
本作の売り上げの一部は、TNR支援活動などを行う団体に寄付されます。
ケイティやウマイルの「覚悟」に背筋をシャンとさせられ、自分に何ができるかを改めて考えさせてくれる映画でした。

公式サイトはこちら⇒「猫たちと7000マイルの旅」
©2025 Gray Hat Productions LLC All Rights Reserved
監督:マイ・ホン
出演:ケイティ・マクヒュー、ウマイル・カーン、ラナ・マルカウィ
2025/アメリカ/英語/95分/カラー 原題:25 Cats from Qatar 映倫:G
配給:ファインフィルムズ
9月4日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷他公開


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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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