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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2026年08月18日

きみちゃんとみつくん

成田市で農業を営む尚子さんの夏は、子猫の保護ラッシュでした。
この三毛猫さんもそのうちの一匹。

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暑さが増す6月の終わり、彼女は母さん猫に置いていかれて、農家の庭でひと晩じゅう絶叫していました。農家さんから電話を受けた尚子さんによって保護されましたが、ミケジョだけあってなかなか気が強く、保護後は触ろうとするとシャ~! 話しかけてもシャ~!
それでも、抱きかかえると観念しておとなしくなるのがいじらしい子でした。
最初に見つけてくれた農家さんの名前から「きみちゃん」という名がつきました。
その10日後にまたまたやってきたのが、みつくんです。

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きみちゃんよりちょっと幼いと思われる彼は、尚子さんの友人のみつえさんが車で走行中、けっこうな通行量の車道を横ぎって、道ばたの木の根っこと大きな石の間に頭を突っ込んでいるところをみつえさんに保護され、尚子さんの元にやってきました。みつえさんの名から「みつくん」となりました。
目がちょっとぐしゃぐしゃで、耳が大きくて、特撮映画の「ヨーダ」にちょっと似ていました。

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気の強いキミちゃんと、ヨーダ似のおっとりみつくんは、譲渡が決まるまで一緒に育つこととなりました。尚子さんが無農薬野菜直売所「かざぐるま」の店番のときも一緒に出勤し、大きなケージで過ごしました。

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きみちゃんは、尚子さんが今まで見たことがないほど自己主張の強い女の子でした。
お皿からこぼれたカリカリを尚子さんが拾って入れてやろうとすると、その手を押さえつけて「アタシの!とらないで!」と怒るのです。

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エノコログサの猫じゃらしなど振ったら、もうたいへん。
「アタシの!アタシの!」と唸りながらみつくんをけん制します。

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ポカッと猫パンチされて退散しながらも、またすぐに寄っていくみつくん。きみちゃんが、みつくんは大好きなのでした。
さて、きみちゃんの様子をアップした私のインスタを見て、「きみちゃん、もうおうち決まっちゃいましたか?」と尋ねてくださったご夫婦がありました。
きみちゃんとのお見合いの日程が決まると、こうおっしゃるのです。
「みつくんにも会ってみたいんです。できたら一緒に迎えたくて」
奥さんの恵子さんが都内の喫茶店で働いていた22年前、捨てられていたきょうだい子猫を迎えたのが、猫との暮らしの始まりだったそうです。

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なんと、近くの公園に横付けした車から降りてきた子供が、ランドセルの段ボール入り子猫3匹を捨てていったというひどい話。
車はすぐに逃げ去り、見ていた方が喫茶店に駆け込んできたのでした。
その日は、喫茶店の女主人が連れ帰って面倒を見て、翌日から恵子さんが3匹を籠に入れて電車通勤一カ月。店内の物陰でミルクをあげておふたりで元気に育てました。
1匹は貰い手が決まり、残る2匹は恵子さん夫妻の猫に。

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「ぐん」と「さく」は、生涯仲良し兄弟だったとか。
さくを19歳で、ぐんを21歳で去年見送って、猫との暮らしは途切れましたが、私のインスタを見ているうちに「また猫と暮らしたいなあ。できたら2匹で」と思ってくださったのでした。
お見合いは、7月19日の夜。かざぐるまの出荷場2階をお借りして始まりました。

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みつくんが物陰に隠れると探し出すきみちゃん。ハイになって、ドタバタと追いかけっこをする2匹。おもちゃの取り合いでみつくんをポカッとなぐるきみちゃん。ありのままを見ていただきました。
大笑いしながら見ていた恵子さんご夫婦は「2匹共迎えたいと思います」と。
トライアルに送り出したのは、26日の夜。
きみちゃんは保護時に比べると美少女度格段にアップ、みつくんはヨーダを脱皮直前でした。

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着くなり、用意されたカリカリにがっつくみつくん。

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「なんなの、あの子。初めての家で信じられない」という表情のきみちゃん。
その夜、ふたりは隠れることもなく、さっそく追いかけっこを楽しんだそうです。
そして、2週間後、正式譲渡!

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尚子さんと私が行くと、すでに家猫の顔をして「お客さんだ」と、カーテンから覗くふたり。
みつくんはクリクリお目々に、きみちゃんはすっかりお姉さんぽくなっていました。

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おうちの真ん中に大きな階段があって、2階には本やレコードやCDがいっぱい。1階の大きなベッドでトランポリンを存分に楽しむふたりですが、3階ロフトへの階段にはまだ気づいてないそう。お父さんもお母さんもおおらかで、猫にしたら、楽しくてたまらないおうちなのです。
新しい名前は、きみちゃんが「穂々」ちゃんに。みつくんが「とん」くんに。
恵子さん曰く「穂の字が好きだったのと、みつくんがトントン跳ねるから」とのことでした。
家猫になった2匹の様子をお聞きすると......。
穂々ちゃんは、とんくんにご飯を譲ったりするやさしい穏やかなお姉ちゃんで、とんくんは相変わらず無邪気でお姉ちゃん大好き。男の子だけに手足が大きくなってきて、もうすぐ穂々ちゃんより大きくなりそうとのこと。
片方がお父さんやお母さんにかまわれていると、すぐに「アタシも」ボクも」とやってくる仲の良さ。1日中プロレスごっこや追いかけっこを繰り広げてるそうです。

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恵子さんが送ってくださった穂々ちゃんののびのび姿。
ひとりぼっちになって必死で生きていた穂々ちゃんは、気の強さ全開だったけど、もう突っ張らなくていいとわかったのかな。でも、気の強いのも穂々ちゃんの魅力なんだから、ほどほどに弟をしばきながら楽しくやってね。

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恵子さんの送ってくれた、とんくんの写真です。
とんくん、大好きなお姉ちゃんとずっと一緒に暮せて、ほんとうによかったね!
先輩のぐんさく兄弟に負けない仲良し「兄妹」として、長生きしてね。

ぐんさく兄弟が保護されたのは、淡路町に会った「李白」という喫茶店で、としちゃんという店猫がいて、私も写真を撮らせてもらった思い出があります。
そして、今けいこさんがひとりで切り盛りする浦安市の「猫実(ねこざね)」珈琲店は、私の大好きな喫茶店。路地にある小さなお店で、ひとり客が多く、旅の話やら猫の話やら雲の話やらお客さん同士の話が弾む不思議な場所です。18年前にこのお店ができたばかりのとき、1匹の路地猫が私をここへ案内してくれました。
猫が繋ぐ縁とは、かくも不思議で楽しいのです。
※穂々ちゃんとんくんは、ご自宅飼いですので、お店にはいません。


「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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