[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

「いらっしゃいませ。今日はパソコンのご相談ですか？」
入り口できりりと接客をしてくれたのは、2歳半のクロ助くんです。



「ふーん、データ移行のご相談ですね。ボクのお父さんたちにお任せください」
なんと頼もしい。電子機器オンチの私には心強い言葉です。



ここは、栃木県佐野市にある「SAMDY」という会社。パソコン教室からパソコン販売やパソコン修理などを手掛け、地元の方々に親しまれています。



おや、奥から茶色の犬がそっと覗いています。
お客様がまだちょっと怖いゆめちゃん（5歳・メス）は、山中で保護された元野犬。
このゆめちゃんこそ、クロ助くんがここにやってきたきっかけを作ってくれたのです。
じつはＳＡＭＤＹさんやゆめちゃんとは、保護犬ゆめちゃんの記事を書かせていただいた2年前からのご縁。
ゆめちゃんの物語はコチラ　　→　korekara.news 保護犬たちの物語第13話

ニンゲンが怖くてたまらなかった野犬の子だったゆめちゃんの取材は2年前の夏でしたが、そのすぐ後の9月のこと。
夕方、お母さんがゆめちゃんと河川敷に散歩に行くと、子猫の鳴き声がします。見れば、カラスに突かれたらしく顔に穴の開いている子猫が！このまま放ってはおけないと、ゆめちゃんをその辺の杭に繋いでから子猫を捕まえようとするも、必死で逃げ回り捕まりません。
すると子猫は、繋がれているゆめちゃんのもとにまっしぐら。ゆめちゃんにピタリとくっつきました。ゆめちゃんは「えっ、なに、なに？」と困惑顔。でも、おかげで無事保護できたのでした。
連れ帰る車の中で、ゆめちゃんは子猫をべちょべちょになるまで舐めてやったそうです。
お父さんは「犬がいるのに」と、猫を迎えることを猛反対。でも、その晩、クロ助くんはお父さんの脇の下にくっついてゴロゴロゴロゴロ。
翌朝、お父さんは「で、名前は何にするんだ？」と言い、さっそく豪華なキャットタワーを組み立てたのでした。



そして今、仲良しコンビは、毎日一緒に車で会社に通勤してきます。
お父さんもお母さんもゆめちゃんもクロ助くんも、一日じゅう一緒の仲良しファミリー。



「ゆめとクロ助は、お互い犬と猫ってまったく関係ないみたい。そう、きっと『家族』って思ってるだけの気がする」とお母さんは笑います。



クロ助くんは、ゆめちゃんが育てたせいか犬っぽくてちゃんとルールを守る猫なのだとか。



人見知りなく、賢くて穏やかで、会社看板猫としてはまさにぴったり。猫を触ったことのないパソコン教室の生徒さんたちにも大人気です。
また、分離不安症気味でさびしがり屋のゆめちゃんは、ひとりでお留守番ができなかったのですが、相棒ができてからは「行ってらっしゃーい。あたしたち楽しく遊んでるから」と送り出してくれるように。
二匹の関係は「母と子」から「姉と弟」に変化して、おやつも仲よく半分こできるそうです。
「ときどき、プロレスごっこで、ゆめがハッスルしてクロ助の頭をパックンしているのを見るとちょっと慌ててしまいますが、ちゃんと手加減してるのね」とお母さん。



ふたりは揃って看板犬看板猫として、会社のパンフレッドなどにも登場して、りっぱに恩返しをしています。



クロ助くんは、お父さんお母さんだけでなく、ゆめちゃんにも「猫の可愛さ」に目覚めさせました。それまで猫には興味のなかったゆめちゃんは、窓越しに町猫が通るのを見かけると「あの子とも友だちになりたいな」とばかり興味津々で目で追っているそうです。



「犬と猫を家族にして、楽しくて、来店のお客さんにも喜んでもらえて、いいこと尽くめです」



「パソコンで困ったことがあったら、いつでも気軽に来てね～」と、クロ助くんがお見送りしてくれました。

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「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。


『猫は奇跡』
"ふつうの猫"たちが起こした奇跡の実話17選


『猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを


『寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。


『猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。


『里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。


『しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化！


『いつもそばにいる猫』
描き下ろし猫スタンプが登場。猫たちがあなたのトークルームに寄り添います！