[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

エールくんは、5歳。
3～4カ月くらいの子猫の時にこのおうちにやってきました。



始めましてのときこそこんなびっくり顔をされましたが、すぐにフレンドリーで優雅な接待をしてくれました。
ゴージャスな毛皮を持ち、気品を漂わすエールくん。こう見えて保護猫なのです。



飼い主の美絵子さんは、「ソポ」というまつ毛サロンを持っています。結婚前は、実家が海辺にあったことからよく犬を拾い、常時数匹の犬と暮らしてきたそうです。
娘のために初めての猫を迎えようと思ったのが、5年前。
お客様に「猫を飼いたいと思っているんです」と話したところ、打てば響くで、個人で保護活動をしている方を紹介してくれました。すると、「保護したばかりの子猫がいる」という返事。
民家の庭に突如現れた長毛種のその子猫は、地域のメス猫にお母さん代わりになってもらっていました。保護後、ノミダニはついていたものの、お行儀よく上品にカリカリを食べたので、ノラ生まれではなさそう。捨て猫と思われます。
「迎える猫は、大きくても小さくても、どんな子でもよかったんですが、その子に縁を感じて」即決、「翼」という仮の名がついていた子を迎えました。



当時、娘の凛ちゃんは9歳。アトピーでいろいろなことを我慢する日々が続いてきて、「直ったらやりたいことリスト」の一つが、「猫を飼う」ことでした。
そう、アトピーを克服して、ついに念願の猫がやってきたのです。



新しい名前は「エール」。それまでの名前「翼」のフランス語です。
「以来、一家の中心にいつもいて、家族をすごく仲良くさせてくれました。エールは、猫というより、人や犬に近いかも」と、美絵子さん。「ねんね」というと目を細めるなど、言葉を解します。ドアも自分で開けるし、自動給水器も自分で作動させます。
お客様が入店すると、「いらっしゃいませ」とばかりにご挨拶。「わあ、可愛い！」とお客様を喜ばせたあとは、施術の邪魔にならないよう奥に引っ込むか、椅子の上で静かに寝ています。お客様がお帰りになるときは、「またいらしてくださいね」とお見送り。



2年前、エールくんに妹と弟ができました。
お客様から「家の敷地に子猫がいるんだけどどうしよう」との相談を受けた美絵子さんが保護に向かい、そのまま家に迎えたのです。



赤い首輪がうにちゃん。後ろがカヌレくん。この黒猫きょうだいは、たいへんなビビリで人見知りということで、人前には絶対に姿を現さず。お借りした写真でご紹介。2匹は、エールくんをとても慕っているそうです。



そんな悠然たる貴公子のエールくんですが、たまにはおまぬけなことをしたり慌てることもあるようですよ。
「娘の食べかけ納豆をパックごと体にくっつけて歩いていたり、換気扇の上に飛び乗り損ねて、その下で作っていたづけ丼の上に落ち、づけ汁を垂らしながらで走り回ったり。なぜか、黄色と黒のボーダー柄の服を着たお客さまが来店の時は怖がってシャーシャーしてました（笑）」
ギャップと言えば、そうそう、エールくんには大のお気に入りがあります。
譲渡時に保護主さんが持たせてくださった千葉県のマスコット「チーバ君」を、大きくなった今も大事にしています。見当たらないときは必死に探すとか。家族の外出を察すると、チーバ君を咥えて玄関で「早く帰ってきてね」とばかり見送るのだそう。
見かけとはギャップのあるオトコ。なかなかに魅力的ですね！



保護猫が3匹になって、美絵子さんは自分にできることをと考え、物販を主体とした「千葉猫もふる」を立ち上げました。これまで出会った保護猫たちをグッズにして、売り上げを個人で保護活動をがんばっているかたの活動費に。保護子猫を預かって送り出すことも幾たびか。一度に仔猫6匹を預かったときはカオスだったそうですが。
14歳になった凛ちゃんは、絵を描くことが大好き。凛ちゃんの描いたイラストもTシャツになっています。



「エールたちがうちに来て、とっても楽しい」と、凛ちゃん。絵の世界もどんどん広がることでしょう。
美絵子さんが教えてくれました。
「主人は、エールとこっそりイチャイチャしてるんですよ。帰宅すると、玄関から『わあ、エールちゃん、ただいま～』という声が。聞こえないと思っているようですが（笑）。エールに夜食をあげる前にも、『ご飯、食べる？』とおデコをごっつんこし合ってます」



サロンは猫好きのお客様が多く、猫話も弾みます。家族の心をつなぎ、お客さまとの縁をつなぎ、猫の保護活動の輪も広げる。エールくんの背中のフワフワの毛の下には、小さな天使の翼が隠されているのかも。

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「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。


『猫は奇跡』
"ふつうの猫"たちが起こした奇跡の実話17選


『猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを


『寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。


『猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。


『里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。


『しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化！


『いつもそばにいる猫』
描き下ろし猫スタンプが登場。猫たちがあなたのトークルームに寄り添います！