先週の続きで、新刊「猫は奇跡」の紹介を。
表紙は、花はなの里のゴローが5歳になったばかりの頃です。
最初は、こっちの写真が表紙候補になっていました。
ふっと遠くを見るようなゴローです。
でも、やはり、まっすぐこっちを見ている写真の方を選びました。
この本を手に取る方は、ゴローの金色のまっすぐな視線に、何かを心に受け止めてくださるはず、と思いました。
先週は第8章までご紹介しました。では、その続きで9章から。
第9章は、自動車販売のイーカーズ深谷店の自由奔放な猫さんたち。
ごらんの通り、なんとも勝手気ままに過ごしています。みんなわけあって保護された子たちですが、じつに個性的で、スタッフたちに丸ごと愛されて暮らしています。「ネコ飼ってます」の巨大看板を見て、そのまま飛び込み取材した私でした。
第10章は、迷い猫のまよいくん。
とある町を歩いていて「まよちゃんと呼んで」の貼り紙に、「まよちゃん」と呼んだら、すぐに縁側の網戸越しに出てきてくれました。ガリガリの迷い猫だったまよちゃんは、いまや町の人気者です。
第11章は、ゴローくん。
車に轢かれたノラ母さんのそばから、雨の中ずぶ濡れになりながら離れなかった子です。これは、花はなの里に持ち込まれてすぐの写真ですが、見たことのない不思議は輝きの目をした子でした。姿も心も清らかだったゴローの短い一生をこの本に書き残せてしあわせです。
第12章は、茨城県在住のおやかたくん。
犬にも立ち向かう、路地のイケイケ親分だった親方くんは、体調を崩したことがきっかけで、面倒を見ていたおうちの中でひと冬を越すことになりましたが......。もう外に戻すことができないほど、彼に一家がメロメロになってしまったのでした。
第13章は、黒猫百(もも)くん。
猫にはまるで興味のないお父さんのいるおうちにもらわれてきた百くんでしたが......。
なんとひと晩で「猫ってこんな可愛い生き物だったのか。なんでもっと早く教えてくれなかったんだ」とお父さんに言わせてしまったすご腕です。
第14章は、ペーターくん。
住宅地を放浪していたガリガリのオトナ猫でした。山あいのパン屋さんの子となって、「アルプスの少女ハイジ」に出てくる心優しき少年ペーターの名をもらい、草の上で風に吹かれる日々を得るまでのドラマとは。
第15章は、くうくんと、しのちゃんと、らいくん。
「くうとしの」のフォトエッセイで人気の広島在住の晴さんちに、再び取材し、くうとしの亡き後の、半身不随のらいくんと晴さんの坊ちゃんに続く「優しさのバトンタッチ」を目のあたりにしたのでした。
第16章は、むぎちゃん。
カラスに突かれたと思われる瀕死の子猫は、農家の尚子さんに保護され、一命をとりとめましたが、骨だけとなっている右後ろ脚の治療が今も続きます。そして、行き場のないむぎちゃんの母さんとお兄ちゃんのことも、尚子さんは放っておけませんでした。
最後の第17章は、25歳までお達者に生きてたくさんの人を元気づけたみけちゃん。惜しまれてこの5月に天国へ旅立ちましたが、堂々として愛らしく、忘れえぬ猫さんです。
そして、あとがきに、みけちゃんの飼い主の、児童文学作家の村上しいこさんが、あたたかな一文を寄せてくださいました。
「はじめに」で書いた私の思いとも、見事に呼応してくださっているのも、小さな奇跡のようです。
「どの子も出会えたことが奇跡」
「愛おしくてたまらない」
ほんとうに、どの猫もどの猫もそうです。
ぜひ、秋の夜長に読んでいただけましたらうれしいです。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫は奇跡』
"ふつうの猫"たちが起こした奇跡の実話17選
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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さっそく、ひとつ一つのストーリーをかみしめながら、大事に大事に読んでいます。
タイトル通り、どの出逢いも奇跡、どのネコさんの存在も奇跡のように尊いです。
そして、その小さな物語を佐竹さんが紡ぐと、ストーリーがなおいっそう宝石のように輝き、愛おしさがあふれます。
まさに、埋もれてしまいそうな道ばた猫ストーリーテラーの名手です(^o^)
そして、表紙のゴローくん…!
飽かずに見入ってしまいます。
深い眼差しで語りかけてくるゴローくんに、案の定、何度も泣いてしまいました…
佐竹さん、素敵な本をほんとうにありがとうございますo(^o^)o
by ぴっころ 2024-10-01 15:03