[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

先週の続きです。
猫のための素敵なリフォームを手掛けた大工さんのおうちにも保護猫さんがいると聞き、その足で会いに行きました。



「はじめまして」
お顔がさかさまなのは、壁を上る小さな羽虫を狙っている最中だからでした。



ピッカピカのお目々をもった、推定8カ月くらいの遊び盛りさんです。



お名前は？
「ステテコです」と、大工さんの娘で家具職人さんの美優さん。
プッ、女の子ですよね？
「最初オスとばかり思ってたんです。で、つけちゃったんです」
女の子と判明してからも、名前はそのままに。



でも、このユニークな名前がピッタリと思えてくるほど、ステテコちゃんはやんちゃ猫さんなのでした。



ステテコちゃんは、去年の7月終わり、大工のお父さんが保護してきた子です。
日曜の朝、お客さんの家からこんな電話が。
「縁の下で一晩中、子猫が鳴いていて眠れなかった。縁側から出してもらえないか」
お父さんは、すぐに向かいます。雨合羽着用で、手には懐中電灯。準備万端でほふく前進を始めますが、奥まで行かずとも子猫はすぐさまつかまりました。
依頼主は「置いて行かれても困る」というので、段ボールに入れて連れ帰りました。
美優さんはミルクを買いに走りました。
子猫はよほどお腹がすいていたらしく、がっついて飲み、あたたかくしてもらってぐっすり眠りました。
その日のうちに「うちで飼うか」と決定。



美優さんにステテコという名をつけてもらい、おじいちゃまの膝で、安心して眠る愛らしさといったら。おじいちゃま、動けません。



美優さんのおばあちゃまにミルクを飲ませてもらうステテコちゃん。
「ステテコは、じいちゃんばあちゃんの生きがいになりました」と、美優さん。



保護したお父さんだって、ほら、可愛くてたまらない様子。
一家に溺愛されて、ステテコちゃん、やんちゃし放題。



作業机の上で作成中の設計図面の上をわざわざ通っていったり。
美優さんが食べていたおせんべいを、トンビのように横取りして咥えて逃げたり。
「せんべいだけじゃなく、コッペパンやサツマイモも盗られました。そうそう、キャベツも好きなんです。そんな猫います？」と、美優さん。



この日も、羽虫を追って、この通り。おばあちゃま丹精のお花の水がこぼれそうでした。
「覗き見するのや、高いところから人を見下ろすのが好きですね」と美優さんは笑います。



ビニール袋に入るのも大好きです。
「ステテコが来てから、ネズミがピタッと出なくなりました。何より、仕事の活力になってくれています。ステテコ、うちに来てくれてありがとう」
そう語る美優さんは、おじいちゃんの代からの大工さんのおうちに生まれ、絵描きになりたかったそうです。
美大でプロダクトデザインを学んだあと、家具工場で3年修業。家具職人となり、作品作りに励みながら、お父さんのお仕事のお手伝いで現場にも通います。



ステテコちゃんが遊んでいるのは、美優さん試作の爪とぎ。クロス型で椅子にもなるし、中で遊べるし、ぐるぐる巻いてある麻ひもで爪をしっかりとげます。



真田紐を使った首輪はすべて美優さんがステテコちゃんのために作ったもの。月替わりで楽しめます。 「猫も人間も、どっちも楽しんでもらえる家具や道具をこれから作り続けていきたいですね」



「猫が喜ぶ家具づくりなら、アタシがいくらでも設計アイデアや試使用の手助けをしてあげる」と胸を張るステテコちゃん。



祖父の代から使いこまれてきた道具たちに囲まれた作業場で、これからどんな若いセンスが光る作品が生まれてくるのでしょうか。楽しみです。



もしかしたら、ステテコちゃんのやんちゃぶりは、恩返しとして美優さんにいい作品を生み出してもらうべく、猫本来の、のびのびゆるゆるした生態を存分に見せてくれているのかもしれません。
美優さん作のラインスタンプは、「たらふくネコとゆるゆる生活。」「たらふくネコと気になる生活。」で、どうぞ。

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