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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2023年04月04日

山の牧場猫

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あっ、知らない人だ~。
牛舎の前で毛づくろいをしていた猫さんが顔を上げました。
スレンダーだけど目ヂカラのある子です。
「ニノスケ」ちゃんという名だけど、女の子。

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ここは房総半島のど真ん中の富津市。
ニホンザルの餌付けで知られる高宕山を通り抜け、さらに山道を行くと、茂木(茂木)牧場はあります。

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ホルスタイン、和牛ほぼ半々で合わせて50数頭。
すべて2代目牧場主の茂木さんがひとりでお世話をしています。

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ヤギもロバも猫もいます。
迷い込んできたり、母猫が置いてったりの猫たちの面倒を見続け、避妊去勢も全て済ませて今は6匹に。

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最年長は15歳のユキちゃん。全盲なので、完全室内飼いですが、玄関先に連れてきてもらい、会えました。
子猫の時、道で車にぶつかったところを保護。体は何ともなかったのですが、一瞬にして失明してしまったのでした。

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目は見えなくとも、可愛がられてのんびり長生きしています。

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お天気の日はこうして外遊びをする猫たちは5匹。
さっき遠くを横切ったきりの灰いろ猫の「イチノスケ」くんと、サバ白の「チッポ」くんと、最初に会ったキジトラの「ニノスケ」ちゃんは、兄妹。茶トラの「シャンカス」くんも入れて4匹は大の仲良し。
薄い茶トラの「ブーちゃん」は、仲間に入れず、ひとり行動です。

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その分、お父さんに甘えるブ―ちゃんです。

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茂木さん一家は、揃って動物好き。
とくに長男くんが猫を可愛がり、小さい時から一緒に育ちました。
山のふもとの小学校や中学校に通っていたころは、お兄ちゃんの帰りを猫たちが牧場の入り口で揃ってお出迎え。ぞろぞろと後をついて家に入っていったそうです。
今は、高校生になったお兄ちゃんは、春休みもお父さんのお手伝いをがんばりました。

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チッポくんの甘えられるお父さん。よく見れば、浅野忠信さんに似ています。
朝は3時半から6時間。ひり休みを挟んで、夜までまた6時間。
一日中、牛舎の清掃や、牛たちや子牛の面倒や、ハードな作業は続きます。
4年前、2度の台風が襲ったときの被害は大きかったそうです。

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「こんな重労働で、休日もない仕事は絶対に息子には継がせられない。俺の代で牧場は終わり」と、茂木さんは言います。
「ホルスタインより和牛の方が繊細で、なつっこい」
「牛もヤギも、歯は下だけ。上にはないのに、ジブリの映画見に行ったらヤギに上下の歯があって、なんだかなあと思った」
「牛は好奇心の塊で、お客が来ると一斉に起き上がって見るよ」
などと知らないかった話をたくさん聞かせてくださいながら、茂木さんはたびたび牛舎をのぞきに行きます。
そして、大声で「子牛が生まれたよー。見においで~」

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なんと、今日は、ホルスタインに種付けをした和牛の子が生まれてくる日だったのでした!
母牛が、子牛の体のヌメヌメをなめてきれいにします。
生まれてものの20分くらいで子牛は自力で立ち上がり、その日のうちに歩き回ります。

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たくさんの動物たちが暮らす山奥の牧場。のどかに見えますが、そこには、想像もつかない重労働の営みがありました。

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牧場内の工房「ラクト」で奥さんが手作りしているナチュラルチーズは、特に宣伝はしていませんが、ここで小売りしてもらえます。馥郁とした乳の香りがするおいしいおいしいチーズでした!

※茂木牧場
 千葉県富津市豊岡1953
 問い合わせ 090・9133・8146



「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

P9210072-2.jpg
猫との約束
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを

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寄りそう猫
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。

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猫だって......。
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。

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里山の子、さっちゃん
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。

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しあわせになった猫 しあわせをくれた猫
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!

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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

牛、やぎ、ロバ、猫 沢山の動物達に囲まれて、さぞや幸せ…と簡単に言えない、ご苦労があるのですね。
それでも、猫さん達の穏やかな顔を見ていると、しっかりと愛情を注いでもらっているのが分かります。
今日、大切な友人が亡くなり、何も手につかないけど、何かしないと
トコトン落ち込みそうです。産まれたての子牛に、どんなにか助けて貰いました。茉莉子さん、ありがとうございます。
家にツバメも戻ってきました。
いいこともきっとあると、思えるようになりますよね!

by ちぃ 2023-04-04 16:08

牛、ヤギ、ロバ、そしてネコ。
あまりにも楽しそう。
清和県民の森、西側にこんな素敵な牧場が。これは行ってみたいです。
手作りチーズ、フランスパンとワインで頂きたいですね。

by ヤンヤン 2023-04-04 19:26

ネコに牛にヤギにロバ・・・、生き物はみんな可愛いいが、その世話の大変さは想像も出来ない。夢見る瞳のユキちゃんものんびり長生きしているということだし、茂木さんはさぞかし心の広い方なのだろう。みんなお幸せに。

by Y.M 2023-04-04 19:43

大変だけど、幸せそう💚

by ネィ 2023-04-04 20:27

本当に、牛やヤギや猫🐱がとてもしあわせに、穏やかに時間が、流れていて何か、こっちまでいやされました❗️ほっこりしました‼️

by ばつ丸 2023-04-05 00:07

>大切な存在を失った悲しみお察しいたします・・・・旅立つときにまた新しき命が生まれることを知ってバタバタしない動物たちに私も元気をもらってきました。

by 道ばた猫 2023-04-06 17:41

>ちぃさん

すみません!上のコメント返しはちぃさんへ、です。

by 道ばた猫 2023-04-06 17:42

>ヤンヤンさん

房総の真ん中は、行けども行けども緑。空気のおいしい山村で絞った乳からできたチーズは、とってもおいしい。ワインにフランスパン、いいですね!

by 道ばた猫 2023-04-06 17:47

>Y.Mさん

ユキちゃんの夢見る瞳ですが、キジトラの小さなニノスケちゃんの瞳もまたキラキラと、山の夜に見る満天の星の一つみたいでした!

by 道ばた猫 2023-04-06 17:50

>ネィさん

たくさんの命を預かる牧場主さん、茂木さんはどっしりと快活な方で、酪農が大変な時期を家族経営で頑張っていらっしゃいました、

by 道ばた猫 2023-04-06 17:53

結婚してすぐに、この牧場の近くにある嶺岡乳業試験場で牛と猫と鶏さんたちと5年間暮らしました。牛の赤ちゃん懐かしいです💞
苦労も多いけど、ステキな生活ですね〜💞
愛されて猫たちも幸せそうですね♫

by ruineko 2023-04-07 14:48

牧場と猫ってまてなんて合うのでしょう♪いい写真ばかりですね。

by とも 2023-04-09 20:12

>ruinekoさん

この辺りで暮らしたことがおありだったとは。
子牛って、母体にいるのは人間の子と同じくらいなのに、すぐに歩けるって、ほんとにすごい!!

by 道ばた猫 2023-04-17 13:32

>ともさん

牧場と猫、お寺と猫、喫茶店と猫、本屋さんと猫、古道具屋さんと猫、工房と猫、農家と猫……日本には猫に似合う場所がいっぱいですね~。

by 道ばた猫 2023-04-17 13:35