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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2023年02月28日

猫が次々やってきた!

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成田市にある無農薬野菜農家さんたちの共同集荷場「おかげさま農場」の看板猫、チャーリーちゃんが、「いいお天気!もう春だわ」と空を見上げていた、あたたかなある日。
ここに野菜を出荷している農家さんで、猫を次々4匹保護して飼っている石上さんと、ここで待ち合わせしました。畑仕事が終わって案内してくださるのです。
石上家に入ると......。
4匹の猫さんが確かにいましたが、2匹は不意の来客に驚いて2階へ駆けあがってしまいました。

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「この子が、一番年長のタマ」と、お父さんが机の下に隠れていたタマちゃんを抱っこして紹介してくださいました。

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「この子は、一番新入りのココ。まだ10カ月なんです」と、お母さんに抱っこされたココちゃんも、早くも逃げの姿勢。
4匹とも、可愛がられて内弁慶の様子。
5枚目以下、石上さんから写真をお借りして、4匹がここにやってきたドラマを順番にお聞きしましょう。

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最初にやってきたのは、タマちゃん。9年前、石上さんの知り合いのお坊様が車で走行中に見つけた、ほんの小さな子猫でした。中央分離帯にひとりでポツンといたそうです。
お坊様は、フェイスブックで、保護した子猫の譲渡先を募集。石上さん夫妻がそれを見て、当時小学生の娘と保育園の息子に「猫、飼いたい?」と聞いたところ、ふたりとも「飼いたい!!」と即答。タマちゃんは石上家の猫になりました。

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そのあとに、保護団体から迎えたのが、ミルくん。
取材の日、真っ先に2階に駆け上がっていった、人見知りさんです。

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タマちゃんにはあまりかまってもらえませんでしたが、ほどほどの仲で、のびのびと成長。

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その次にやってきたのが、グレーのチルちゃん。
石上家では庭に残飯などを捨てる大きな穴があるのですが、その日はカラスが異様に鳴き騒いでていました。出てみると、穴の淵でごみを狙っている子猫。そして、その子猫を狙っているカラスたちが!
慌ててお母さんが保護しようとするも、逃げ回ります。でも、よほど空腹だったのか、チュールにつられて保護されました。
「ノミダニだらけで、疥癬(かいせん)という皮膚病にもかかっていて、目はぐじゅぐじゅ。とんでもなく汚い子猫だったんですよ」とお母さん。
すぐに病院へ連れて行ってもらって、治療開始。しばらくの隔離で治った後のチルちゃんの面倒をせっせと見たのは、ミルくんでした。

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すっかりきれいな子猫になりました。

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チルちゃんが大きくなっても、ふたりは仲良し。

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チルちゃんは譲渡先を探すつもりでしたが、可愛がっていたお姉ちゃんが手離せず、そのまま石上家の3匹目の猫になりました。

そしてまた、去年の夏のこと。
納屋でニンジンを袋に詰める作業中、「ギャッ、ギャッ!」という鳴き声がどこかからします。お父さんが、パレット(荷を載せるすのこ状の台)に挟まってしまっていた子猫を発見し、保護しました。

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前髪が可愛いココちゃんです。
ココちゃんの面倒を見てくれたのが、これまた、ミルおじさんでした。

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ココちゃんも、譲渡先を探す予定が、お兄ちゃんが手離せず、石上家の4匹目に。
聞けば、最初のタマちゃんと、2匹目のミルくんとの間に、2匹のきょうだい子猫も保護したことがあり、その子たちは一緒に、おかげさま農場に仕入れに来ている方のおうちにもらわれて幸せに暮らしているそうです。
「かわいそうで一度でもご飯を上げちゃうと、もう外にほっとくわけにはいかないよね」と、農家の3代目のお父さん。「農業は好きではないんだけどね、毎日一緒に農作業しています」と朗らかに笑うお母さん。

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おおらかで面倒見のいいミルくんを中心に、石上家の猫たちは、今日も、のんびり。
おみやげにいただいた、穫れたてのブロッコリーとキャベツは、あたたかい春の大地の味わいがしました。



「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

P9210072-2.jpg
猫との約束
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを

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寄りそう猫
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。

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猫だって......。
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。

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里山の子、さっちゃん
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。

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しあわせになった猫 しあわせをくれた猫
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!

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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

「おかげさま農場」のネコ達は、鼻筋の通った可愛い子ばかり。危険な目にあっていた頃の面影は今やもうない。お姉ちゃんやお兄ちゃんの優しさもあって、みなが一緒に仲良く暮らせるようになったのは何より。特にミルくんは、なんて表情が豊かなのか、だから子育ても上手なのだろう。

by Y.M 2023-02-28 15:32

キジ白ミルくん、子育て能力が凄いです。子離れを運命づけられたおんにゃの子より父性が豊かなのかな?
全く違う外猫環境で育った猫さんたちが、それぞれの生い立ちを受け入れ幸せに暮らす姿、こんな環境が当たり前になるといいんでしょうね。
本当に幸せな風景です。

by ヤンヤン 2023-02-28 19:17

ミルくんのような、面倒見のいいお兄ちゃんがいれば、百人力ですね。うちも、次々のノラさんからの保護だったので、結局、自分ち猫にした気持ちが凄くわかります。

by ちぃ 2023-02-28 20:09

いいですね、農家さんの家族になったタマちゃん、ミルくん、チルちゃん、ココちゃん、みんなとーっても可愛いですね!写真をみると心穏やかに朗らかになります。幸せいっぱいだなぁって思います(^^)嫌な気持ちになるニュースばかりの日々、こういう写真とお話はオアシスです、ありがとうございます♪

by とも 2023-03-01 07:08

>Y.Mさん

農村はのどかにみえてもカラスなどの危険もいっぱい。外で生きるのは命がけと思います。
助けてくださって、ありがとう!! ほんとうに「おかげさま」です。

by 道ばた猫 2023-03-01 10:59

>みなさま

ちょうど3年前の2月の当ブログ「やんちゃ娘・とらちゃん」でご紹介した真穂さんち。とらちゃんの良き相棒、保護犬の「くま」さんを主人公にWeb記事を書きました。「保護犬たちの物語」第6話。korekara.newsでぜひ。

by 道ばた猫 2023-03-01 11:05

.>ヤンヤンさん

花はなの里もそうですが、それぞれにつらい思いをした子って、仲間になったとき、絆が強いような気がします。本当にこんな光景が増えてほしいです!

by 道ばた猫 2023-03-03 00:28

>ちぃさん

次々やってくると、「この子はうちの子で、この子は飼えない」なんてできなくなりますよね。うちもかつてそうだったのでマックス9匹いました(笑)

by 道ばた猫 2023-03-03 00:32

>ともさん

保護される前に命尽きる子もたくさんいると思うので、
その子たちの分も、4匹元気に生きてほしいですね!

by 道ばた猫 2023-03-03 00:34