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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2022年07月19日

カフェで会った猫......その3・花子さん

雨が降ったりやんだりの週末、はるばる花子さんに会いに行きました。
花子さんは、飼い主の愛さんに連れられて、ときどきカフェにやってくる猫さんです。
そして、太い古材の梁(はり)の上を、自由自在に歩き回っているのですって。
こんなふうに。

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6月に、千葉県の多古町に行った折に、初めて立ち寄った古民家カフェ「薫風」です。
多古町は、成田山にも、九十九里にも近く、おいしい「多古米」や「多古やまといも」などの産地。水田や畑が広がり、古墳も点在する魅力的な農村です。
6月にカフェに行ったときは、ゴールデンリトリバーの大きな「三四郎」くんが専用ソファーの上で、フレンドリーに迎えてくれました。

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犬も大好きな私は、「わあっ」と声が出て、店にいる間じゅうマスクの下でずっとニコニコしてしまいました。
そして、室内に飾られていた写真の中に長毛の猫さんの写真が!
オーナーのお母さまが奄美大島のご出身で、おばあさま直伝の奄美大島の「鶏飯」ならぬ「豚飯」もメニューにあります。具をのせてさらさらとお茶漬け風にいただける郷土料理です。それをおいしくいただいた後、オーナーの薫さんに写真の猫のことを聞いてみましたら......。
「花子」という名の1歳ほどの猫で、一緒に店をやっている娘の愛さんと一緒に暮らしていて、たまに同伴出勤してくるのだとか。やってくると、高い梁の上を歩き回るのだそうです。
見たい! 会いたい! ということで、花子さんの出勤を確かめた上での再訪です。

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「薫風」はオープンして、まだ1年ちょっと。当地出身の実業家澁谷嘉助さんの旧邸宅が長いこと売りに出されていたのを、ひとめで気に入った薫さんがカフェに変身させ、知る人ぞ知る憩いの別天地となっているのです。
なんといっても、樹々の緑に囲まれた敷地が広い!

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澁谷家の旧正門(庭から見た門)は、国の登録有形文化財に指定されている、風格あるレンガ造りです。

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レンガの敷石を進み、季節の花たちがお待ち受けをしてくれている玄関の格子戸を開けると、広々とした空間が。時を経た調度品も素敵ですが、目を引くのは、高い天井の太くて重厚な古材の梁です。
エビカレーを注文してまもなく、愛さんのリュックケージに入った花子さんが真ん丸お目々で到着。

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リュックから出るや、すぐに棚伝いで梁に飛び乗り、こっちを見下します。

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うわあ、気持ちよさそう!

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「不思議の国のアリス」のチェシャ猫のように笑う花子さん。カッコいい!

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ふさふさのしっぽを立てて、ご機嫌です。
花子さん、かなりゴージャスな猫さんですが、洋種が半分くらい入っているのかな?
「さあ。去年の10月に急に現れて、そこのベランダにずっと座っていた子猫だったんです」と、薫さん。
薫さんも愛さんもずっと犬としか暮らしたことがなかったので、猫の扱いも保護の仕方もわからず、人をよんで保護してもらったそうです。

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これが、保護する前の写真。いたいけないですね。3カ月過ぎくらいでしょうか。捨てられたのか、ノラ母さんとはぐれたのか...。

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えっ、これが花子さん?と聞いてしまうほど、別猫のようです。
「ガリガリで、目がとんがってましたね」と、愛さん。保護してくださって、おうちに迎えてくださって、ほんとうにありがとうございます!

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いまは、愛さんの自宅で、愛さんにべったりの日々。
外を眺めるのは好きだけど、外に出ようとは決してしないのだとか。つらい放浪時代があったのでしょう。

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おうちで愛さんに甘え、ときどきお店で梁の上わくわく探検。メリハリがあって楽しそう。
さて、ゴールデンの三四郎くんですが、9歳の分別盛り。花子さんと遊びたくてたまらないのですが、花子さんはすぐに梁の上か2階にいってしまいます。
犬派の薫さんが最初に迎えたのが「太郎」、その遊び相手にと迎えたのが「次郎」。そして、末っ子で迎えたのが三四郎。

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3匹は、本当のきょうだいのように、太郎をボスに仲良く暮らしました。太郎と次郎が旅立った後、三四郎くんは、3匹で使っていたソファーにひとり寝そべり、お出迎えやお見送りを欠かさない名看板犬を一人でがんばっています。
ママの薫さんはこんなことを言っています。
「秋ぐらいには、三四郎に妹か弟を迎えてやりたい。妹だったら『夢子』で、弟だったら「大五郎」かな(笑)。お客様に覚えていただく名前がいいですね~」
楽しみだね、三四郎くん!

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お店のHPにある「お店の自慢」には、こんな言葉も。
「大型犬と猫がたまにお客様に会いに行ってしまいます。苦手な方はお声かけください」 由緒ある邸宅ではありますが敷居はまったく高くなく、気持ちのいい接待と気配りのあるお店です。

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ずっと梁の上だった花子さんが、近くに寄ってきてくれました。
あえてうれしかったよ。カレーも、アップルパイもコーヒーもおいしかったよ。多古町を吹き渡る薫風に吹かれに、またときどき来るね!

※カフェ薫風
 千葉県香取郡多古町北中86
 ℡=09022209584(予約をお勧めします)
 11時~15時
 定休日=月曜・木曜


「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

目も顔も、体もシッポもみんな角がなく、まんまるな花子さん。三角ばった目はどこに消えたのだろう。愛子さんに迎えられ、邸宅のジャングルジムや三四郎くんと遊ぶ生活が、体も心も丸くしてくれたのだろうか。人間も動物も、安心できる日々が続くと全てが穏やかでまあるくなる。そんな平和が、いつまでも続きますように。

by Y.M 2022-07-19 18:55

あちこちに歴史を感じるお店ですね。素晴らしい梁ですね。そこに魅力的な猫さん。どんな野良さんもとんがった眼をしていて、家に入って人と触れ合ううちにまんまるのお目々になりますよね。
三四郎くんの妹か弟が楽しみですね。花子ちゃん、可愛がってあげてね!

by ちぃ 2022-07-19 21:14

花子さんの顔つきが険しさから可愛らしく変わっているのを見て、嬉しくなりました。優しい人に出会えて良かったね。
風情のあるお店でのびのびと闊歩出来て楽しそうですね。三四郎くんとは一緒に寛いだりしないのかな?三四郎くんにも早く兄弟が出来ると良いね!

by シーマン 2022-07-19 22:38

房総半島、どれだけ素敵なカフェがあるんでしょう。
野良の頃の花子さん、階段を下りてくる花子さん、猫って裏表がなく心の表情がそのままなんですね。
先日、MAGATAさんを訪れたばかりなのに、これはまた行きたくなりました。
古民家カフェ巡り、美味しいコーヒーと猫ちゃんに会えたらそれだけで楽しいです。

by ヤンヤン 2022-07-20 05:05

花子さん、おしゃれで素敵な猫さんですね!由緒ある邸宅をカフェにされた薫さんのお店にとても合いますね♪
現れた頃のお顔と今はほんとに別猫のようですね。愛さんにたくさん可愛がられてなんでしょうね(^^)三四郎くんもいいですね、趣のあるカフェにもまたぴったりですね。
エビカレー!美味しそう!アップルパイ、コーヒーと、最高ですね。私も花子さんのご出勤にあわせて行ってみたいです。

by とも 2022-07-20 07:11

花子さん、ほんとにチェシャ猫みたいですね♪
なんて可愛くてカッコいいんでしょ~!
高い梁のあるおうち、憧れです。
まるでネコのために設計されたかと思うほど。
ネコさん達には、たまらないですね~!
大好きなゴールデンの三四郎君までいる素敵なカフェ、
ぜひ訪れてみたいです。

by ぴっころ 2022-07-20 12:27

>Y.Mさん

可愛がられて安心すると、猫の目ってどんどん丸くなっていきますよね~。
体も心も(笑)。丸猫、拡がれ~!

by 道ばた猫 2022-07-22 10:16

>ちぃさん

梁の上を歩く猫さんは、大阪のカレー店「旧ヤム邸」のたろうくんしか知りませんでしたが…梁の上、歩いてみたいですよね~~。

by 道ばた猫 2022-07-22 10:22

>シーマンさん

花子さんがお店にやってくると、三四郎君は大歓迎ではしゃぎすぎちゃって、花子さんに逃げられちゃうんです(笑)。

by 道ばた猫 2022-07-22 10:23

>ヤンヤンさん

房総、行けども行けども、すてきな場所が見つかったり、紹介されたり…ほんとうに奥が深いです。
magataさん、行かれたのですか! フットワークいいですね!!

by 道ばた猫 2022-07-22 10:26

>ともさん

ふらりと行って花子さんに会える確率は少ないですが、このあたりののどかな農村風景は心身をリフレッシュするに十分ですよ~。わき道を入れば、行けども行けども畑でした。

by 道ばた猫 2022-07-22 10:30

>ぴっころさん

瀟洒な古民家の皮ソファーに、ゴールデンがゆったり。
町中では、なかなか見られない風景です。そして、豚飯がおいしい!

by 道ばた猫 2022-07-22 10:33

風情のあるステキなお店ですね~💞
花子さん、梁の上を軽々と走り廻って楽しそう♫ 可愛がってもらって、お目々も身体もまあるくなって良かったね💞
三四郎君の弟か妹が来るのが楽しみですね~💞
いつか、行ってみたいです💞
エビカレー、アップルパイ、コーヒー、
魅力がいっぱいですね💞

by ruineko 2022-07-22 17:10

>ruinekoさん

レンガ門やレンガ道って、しっとりといいものですね~~。
コロナがもう少し収まったら、ぜひ!

by 道ばた猫 2022-07-25 10:11