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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2021年05月04日

ながれ爺さま

「23歳を迎えるオス猫さんを知っています。オス猫で、しかも長いこと外暮らしだった猫の長生きはとても珍しいと思うので、取材なさいませんか」という声をかけていただきました。よく聞けば、その猫さんは、私の知っているお店の猫さんでした。
でも、彼に会ったのは、かれこれ12年ほど前です。あの子が、今も元気にしていたとは!

その頃何度か通った「かふぇ きゃっとている」という喫茶店。おうちにも保護猫が何匹か、外で面倒を見ている猫たちも何匹かいました。
外猫の1匹、「ながれ」くんのことはよく覚えています。
写真を撮り始めた頃で、確か当時の写真があったはず・・・。

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ありました! 2009年の5月です。
ながれくん。お向かいの老夫婦に可愛がられてねぐらを提供してもらい、ごはんはキャットテイルのお庭まで通い、お水もキャットテイルのおいしい井戸水の池の水、トイレもキャットテイルまで通っていたのでした。
そういえば、その当時で10歳越えと聞いたような。

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茶トラのメス猫モコちゃんと仲良しで、いつもくっついていましたっけ。
ながれくん自身は、とても臆病で、モコちゃんとチョンちゃんというメス猫コンビに、守ってもらっている感じ。とても用心深く、人には体を触らせない子でした。
あの端正な顔立ちのながれくんが、去年から、ついにおうち暮らしになったというのです。
23歳では、もうヨレヨレ・ガリガリなんだろうなあ...と思いつつ、連休初日の再会の日。

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えっ、ながれくん、あんまり変わっていません!!
肉付きもよく、目力もまだまだ。
ひと部屋、外がよく見える冷暖房完備の自分のお城を持っていて、そこで悠々自適の毎日だそうです。

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「良く甘えるし、よく食べるんです。家の中に入れたときに診てもらったお医者さんも、今年グラグラの犬歯を抜いてもらった歯医者さん(動物専門の)も、最近診てもらったお医者さんも、そろっておっしゃるんです。メスに長寿は多いけど、オス猫でこんな長寿は見たことがない、って」と、ますみさん。
オス猫はどうしても腎臓がダメになって、そんなには長生きできないのだとか。

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ながれくんは、ちょうど11年前の2000年5月に、チャトラのメス猫モコちゃんがどこからともなくつれてきた猫。外猫さんたちのご飯の場に加わって、モコちゃんが自分の分を分けてやっていたのだとか。その日以来、どこにも行かず、去勢のために獣医さんに連れて行ったら、2歳くらいとのことでした。

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お向かいの家の老夫婦に可愛がられ、当時のメス猫コンビ、モコちゃんチョンちゃんにも可愛がられました。
ながれ、という名は、どこからか流れてきた猫だから。私は、当時、前髪が片流れだからと思っていました(笑)

「ながれがけんかをしたのを見たことは一度もないです」と、ますみさんも、お嬢さんの美樹さんも。
よそのオス猫が近づいて、ながれくんが小さく「ギャッ」といっただけで、ながれくんを守るメス猫が「この子に手を出さないでよ!」とばかり、飛んできて守るのです。

モコちゃん・チョンちゃんコンビから、さくら・すみれ姉妹へ、そして、もみじ・かえで姉妹へと、ながれくん親衛女子隊は受け継がれ、ながれくんは大過なく外猫生活を22歳まで続けてきたのでした。母性本能をくすぐるオトコなのでしょう。

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ながれくんには、日光の紫外線アレルギーとみられる鼻先などの炎症がありましたが、触らせないので、、酷くなったときはごはんにお薬を混ぜてもらっていました。
格別の暑さだった去年の夏。ますみさんにだけは急に触らせるようになっていたながれくんを、抱き上げて家に入り、そっと戸を閉めたとたん、大パニック。
まだまだお外で、もみじ・かえで姉妹と暮らしたいのねと、諦めました。
「でも、去年の暑さは格別で。最後は家の中で看取りたいと、またある日にひょいと抱いて家に入ったら、今度はおとなしかったんです。そのまま、すんなり家猫になりました」

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ながれくんのお部屋は、もともとは「どっぐ ている」という犬のトリミング・ルームをやっていた部屋。その店を閉じてからは、地域の保護猫活動をしている方々のために、月に一度譲渡会場として提供してきました。コロナ禍のため、譲渡会ができず、空いていたのです。

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「家に入れたときは、残りの日々はあとわずかと思っていました(笑)。ところが、よく食べ、よく寝、よく甘えて、『クリスマスまではがんばってね』『お正月を迎えようね』とどんどん更新。今は、誕生日と決めた6月までは元気でいようねと言っていますが、この分だと、もっともっと先に延びていきそうです」と、ますみさんも娘さんも、うれしそう。

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外猫だったくせに、かなりのグルメということで、ご飯はよりどりみどりが取り揃えられています。
先日診てもらった獣医さんではこんなことを言われました。
「もう検査は不要。いろんな病気があったら、こんなに長生きしません。生命力も強いのでしょうね」

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「もう好きなように生きようね」と話しかけているますみさん。
ながれくんのこの地での20年は、この路地の歴史でもあります。
美樹さんがこんな不思議な話をしてくれました。
「ある日、お向かいのおうちをふと見ると、可愛がってもらっている外猫たちが一列になって門から入っていき、しばらくたって、また一列で出てきたんです。いったい何だろうと思っていたら、黒い服の人たちがやってきて・・・おばあちゃまが亡くなられたのでした・・・」

ながれくんが家猫になるちょっと前に、ホームに入られたおじいちゃまは、ますみさんに電話をかけてくるときには必ず聞きます。「ながれは元気にしていますか」と。
93歳になられたおじいちゃまは「私とながれと、どっちが長生きするかな」とおっしゃっていますが、どちらも負けずに長生きしてください!

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さてさて、ますみさんの「かふぇ きゃっとている」は、土日営業のお店です。おいしいコーヒーが飲めて、店内は猫の絵や写真やグッズがいっぱい。
広い窓からは、丹精のお庭と、時折窓外を通り過ぎる庭猫たちが眺められます。(暖かいねぐらが庭の奥にあるのです)

じつは、ご自宅内でも、保護猫10匹が暮らしています。
2階の2部屋にそれぞれ、3匹と2匹。一階には4匹。ながれくんを入れて10匹となりました。

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上の写真は、美樹さんの部屋暮らしの猫たち。ぬくぬくとしあわせそうですね。
家猫たちはお店には出すことはありませんが、一番若い花子ちゃんを特別につれてきてくださいました。

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瞳千両の、この花子嬢。近くの町のお宅の庭で保護されて、預かりました。
譲渡先を見つけるために譲渡会に出したら、「おうち(ますみさん宅)に帰る!!」と大絶叫。譲渡会が続行できないほど鳴き続けて、お引き取りを願われ、ここの子になりました。

「そろそろ外暮らしはきついな」とばかり急に触らせるようになったながれくんも、大絶叫で帰ると主張した花子ちゃんも、まだまだお外がいいと言っているような元気な庭猫たちも、みんなみんな猫たちは、運命に翻弄されているようで、しっかりと自分の運命を決めているような。賢いなあ、けなげだなあ、と思います。

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ますみさんと美樹さんが、これまでにおうちを見つけて送り出した捨て猫・保護猫たちはなんと50~60匹にもなるそうです。
ますみさんの猫たちのことを綴ったブログは「三毛子ママ」。
ながれくんが、「ながれ爺さま」として登場する記事はとくに人気です。


※かふぇ きゃっとている
 千葉県市川市北方2-13-5
 土日の11:00~17:00営業




「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

爺さまと言うには目力も毛並みも十分ですね。

こういう風に猫に関わって生きている人々があちこちにいらっしゃるんですね。
元気を頂きました。

by 総総 2021-05-04 11:49

>皆様

文中、ながれくんをモコちゃんが連れてきたのは、11年前の2000年5月と書きましたが、21年前ですね……お詫びして、訂正いたします。

by 道ばた猫 2021-05-04 12:57

ながれくんの長寿を支えたのは女子力か、はたまた彼の人(猫)徳か。ワタシもあやかりたい。無理か・・・。

by ムヨク 2021-05-04 13:38

もうすぐ23歳には見えない位若々しいですね💕(因みに私も今日無事に1つ歳をとりました)これからもモリモリご飯を食べて元気に過ごして欲しいです🍚

by シーマン 2021-05-04 17:17

ながれくん、人間でいうと、100歳越え? すごく若々しいですね~。女子たちに愛されて、ストレスがなかったのが長生きのもとかな? これからものんびり長生きしてください。

by ひじきママ 2021-05-05 00:50

>総総さん

そうなんです。こんな風に、各地でコツコツと猫の命を救ってくださる方がいる。
私も、取材を続けながら、元気をもらっています。

by 道ばた猫 2021-05-05 10:54

>ムヨクさん

猫界も人間界も、女子を味方につけることが長生きの秘訣かも(笑)。
それにしても、ながれくん、青年のような目をしていました!

by 道ばた猫 2021-05-05 10:58

>シーマンさん

(きのうは)お誕生日おめでとうございます。
シーマンさんも、モリモリ食べて、お元気に年を重ねてください!

by 道ばた猫 2021-05-05 11:00

>ひじきママさん

これまでで会った猫の最年長は26歳で、半分外猫でした。23歳以上は何匹もあってきましたがみなメス猫。ながれくん、とくにどこも悪くないというのが、凄いです!

by 道ばた猫 2021-05-05 11:06

ながれくん、23歳とは思えないしっかりとしたお顔と姿ですね!そして花子嬢、とてもきれいなお顔。かふぇ きゃっとているさんのところにも行ってみたいです!!

by とも 2021-05-05 18:51

>ともさん

コロナが落ち着いたら、ぜひキャットテイルさんに、行ってみてください!
珈琲もおいしいし、季節ごとのお庭の眺めがすてきなんです。

by 道ばた猫 2021-05-06 10:40

男の子の23歳と知り、とても驚きました。なんて美しい猫なのでしょう。
外時代もあまり闘うことより、穏やかにみんなで過ごしてきたから大きな怪我もなく健康なのかなと勝手に想像しました。(#^.^#)
佐竹さん、素敵な猫さんの記事毎回楽しみにしています。

by みり 2021-05-06 11:18

ながれくん、年老いても、もう検査は不要といわれるほど健康とは、女の子に守られた外猫生活が快適であったうえに、かふぇ きゃっとているの皆さんに囲まれて、精神的にも一層安定したから長寿を謳歌出来るのだろう。優しい方々と仲間たちと一緒に、末永くお幸せに!。

by Y.M 2021-05-08 11:57

>みりさん

18~19歳を過ぎると、メスのほうが生き残る確率は高くなると聞きました。
楽しみに読んでくださって、ありがとうございます!

by 道端猫 2021-05-09 01:46

>Y.Hさん

無用な争いをせず、穏やかに過ごしているのは、何よりなんでしょうね。
飲み水も、井戸水を濾過分解したものなので、それも腎臓などにいいのかもしれません。

by 道ばた猫 2021-05-09 01:50