[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

　社名は「CAT」、それだけで愛猫家とわかりました。会社経営者の室井さん（神奈川県在住）は元保護猫だったり、自ら保護した猫だったり、複数の猫と暮らしています。しかし、今回は自宅ではなく、オフィスに迎え入れた猫がいるというのです。どういった経緯だったのでしょうか？

　「ゴン太」は、入社後すぐ某有名企業のG氏並みのスピード出世で会長職に就任。推定19歳（オス）だと聞けばそれも納得ですが、これまでずっと地域猫として18年間、外で生活してきたというから驚きです。


鋭い顔を見せる


外を警戒中


スタッフの仕事を監視中

地域猫ゴン太

　地元では誰もが知る地域猫のゴン太。昼間は免税店に居を構え、店が閉まると生活圏は外に。室井さんは、事務所からほど近い店先や店内で寛ぐゴン太を見かけてはタッチして挨拶する間柄に。とにかく人に寛容で、触られることを嫌がらないゴン太に、室井さんが抱いていた地域猫のイメージもガラッと変わったそうです。また、ゴン太を通じて店のスタッフや地域の方との会話も増えました。そんなコミュニティーができたのもゴン会長の功績、まさに今の役職にぴったりというわけです。


眠るゴン太

ホワイトボードの脚に寄りかかる

取ったらこうなった

　そんな地域猫として全うしようとしていた2020年夏、事件は起こりました。駐車場で血まみれになるゴン太を、たまたま通りかかった室井さんが発見。すぐにゴン太のお世話をしている免税店に連れて行き、往診の獣医を呼ぶ事態に！ 診察の結果は、てんかん発作をおこし、元々グラグラしていた歯で自らの下唇をかんだために大量の血が吹き出したとのこと。「時々、けいれんも起こしていた」という免税店の社長さんの言葉に強く反応した室井さん。なぜなら家にも同じ症状を持つシニア猫がいたからです。室井さんは、年齢も年齢だし、外での生活は難しいだろうと思い、「私にお世話をさせて頂けないでしょうか」と店に申し出ました。

脚が太いねー

鋭いステップ

そして相撲スタイル

ゴン太が見せた驚異的な生命力

　血まみれのゴン太と一緒に事務所に戻った室井さんを見て、スタッフ一同はなにごとかとびっくり。あるスタッフは「もう助からないだろう」と思ったそう。しかし、獣医さんに歯を抜いてもらい、体を綺麗にし、ご飯を与え続けると驚異的な回復を見せました。ヨロヨロだった歩行もやがて肩で風をきるように。事務所に来た当初は3.0kgそこそこの体重でしたが、現在4.0kgにまで到達しそうな勢いです。「食べられるときに食べておく」のは元野良猫の習性なのか？ 食欲旺盛で「おかわりー」の催促もあって1日のウエット量は4〜5袋と多め。しかし、3カ月に一度の血液検査で腎臓数値は一度も引っかかった事はないそうです。そして、朝晩2回のてんかん発作止めの薬の効果もあり、瀕死の状態から元気に動けるようになったゴン太。その生命力にスタッフ一同感銘を受け、誰が担当などと決めることなく積極的にお世話に取り組み、気づくと仕事の合間に抱きかかえて癒されていることもあるのだとか。どうやら、ゴン会長の存在が社内のチームワークを強化しているようで、ゴン会長がもたらす影響は計り知れないのです。

息抜きに

癒し

もっと撫でろニャー

ゴン太の今とこれから

　ゴン太が事務所にやって来てまだ半年とのことですが、今でも週2回、元いた免税店に出張するそうです。ゴン太にはたくさんのファンがいて、「突然会えなくなっては寂しいだろうから」と、店内で過ごす機会を提案し、お店とも連携してお世話を続けています。そんなある日、室井さんはゴン太のファンだという方から手紙をもらったそうです。中には「今まで外にいるのが心配でした。迎えてくれてありがとうございます」との感謝の言葉が。うれしさを噛み締め、さらに責任感を持ってゴン太とともに生きていこうと決意した室井さん。その覚悟に、私もありがとうございますと言いたい気持ちでいっぱいになった今回の訪問でした。

もう急いで食べなくていいんだよ