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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2019年10月23日

お外にいた子・・・その2

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耳先がちょっと折れた子猫兄弟は、黒猫が「うみ」くん、キジトラが「そら」くん。
舞さん宅で、やんちゃをしながらすくすく育っています。

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後ろに控えて、そっと2匹を見守っている器量よしの三毛猫さんは、2匹の母さん猫ではありません。
まだ1歳すぎの「ひめ」ちゃんです。
ひめちゃんは、元ノラの子。去年、仔猫の時に保護され、このおうちの「初めての猫」として貰われて以来、一家3人の愛情を独り占めしてやんちゃし放題で暮らしていました。

今年7月、喜美子さんが保護したうみ・そら兄弟の日中の預かりを引き受けたとき、舞さん一家は心配しました。暴れん坊お姫さまの「ひめ」がはたして、新入りを受け入れてくれるだろうか......。
でも、その心配は杞憂でした。最初こそ「シャ~」と言って逃げ出したひめちゃんでしたが、3日もたたないうちに、羽交い絞めにしてペロペロ舐めてやるくらい、せっせと2匹の面倒を見始めたのでした。

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うみくんもそらくんも、まだまだ母さんが恋しい幼さ。ひめちゃんを母のように慕って、お昼寝も3匹ギュッと猫団子。
「ひめが、こんなに子猫たちを愛情深く受け入れるなんて、意外でした」と、お母さんの舞さんは言います。

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うみ・そらの耳垂れ兄弟は、先週ご紹介した、駅前の飲食街の路地で、5匹の母子猫に引き続き、喜美子さんが保護した子猫です。
5匹の母子に譲渡先が決まり、ホッとしたのもつかの間。まだ生まれてひと月すぎくらいの子猫が2匹うずくまっていると聞き、疲れきっていた足を運び、かなり弱っていた耳垂れ兄弟2匹を保護したのでした。

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なんと、さらに喜美子さんはこの後も、先週紹介の茶トラ兄弟、さらには、残された茶トラの兄弟、ひとりぼっちの仔猫、茶トラたちのママ猫を保護するのです!
スレンダーで、体もけっして丈夫ではない喜美子さんですが、 「ほっとけない」という思いに突き動かされてのことでした。
子猫たちはお腹を空かせ、真夏の暑さにぐったりしていましたから、あのままでは、ほんの短い猫生しか待っていなかったことでしょう。名さえないままに。

さて、保護された耳垂れ兄弟。
黒猫は400グラム、キジトラはたった280グラムでした。

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黒猫は、ブルーの瞳から「うみ」という名に。
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小さなキジトラは、目もぐちゅぐちゅで、どうか無事に大きくなってとの願いを込め、「そら」と名づけたものの、命が助かるかどうかハラハラでした。
保護直後は何も口にしてくれなかったものの、獣医さんで、高栄養食の缶詰を温めたものを鼻先に塗ってもらったことがきっかけで、少しづつ食べるようになった2匹。
下痢がなかなか治らないそらちゃんが心配で、介護のお仕事に出かける日は、元同僚の舞さんに、兄弟をを預かってもらうことにしたのでした。

預かってくれた舞さん宅のひとり娘、中学生の茉優(まゆ)さんが、食事などのお世話係をがんばってくれ、今日はどのくらい食べたとか、うんちの状態はどうだったとか、こんな保育日誌を毎日つけてくれました。

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そして、ひめちゃんと、2匹の仲睦まじい様子から、一家は2匹をそのままもらい受けてくれたのでした。 

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じつは、茉優さんは、ひめちゃんをもらい受けたとき、猫アレルギーが発覚したのですが、よく気をつけることで、さらに2匹の面倒も引き続きがんばってくれています。一緒に寝ることだけは我慢しているそうですが。

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窓の外は、市の野菜畑が広がっています。バードウォッチングも楽しめます。

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部屋には、ぐるりと、パパお手製のキャットウォーク。3匹は、しょっちゅう仲良く追いかっこをしているそうです。

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居間の片隅には、猫の秘密基地が。
これも、パパの手作りで、段ボール箱に、段ボールの芯を組み立てて屋根を作り、トレーナーで包み込んだもの。
猫たちの大のお気に入りとなっていて、入れ代わり入っています。

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救い主喜美子さんから、預かり主舞さん一家へ。
そして、茉優さんとひめちゃんの頼もしい保育チームが、見守る毎日。

小さく儚く、路傍に転がっていたうみちゃん・そらちゃんのいのちは、こうして繋がれました。
やんちゃをいっぱいして、一家の笑顔の真ん中で、「うみ」「そら」の名のごとく、のびのび大きくなあれ。

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「この子たちは、あたしに任せて」と、ひめちゃんが言っています。



「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

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写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

うちの黒もキジも、もめ事のタネであり
その数十倍、カスガイなんですよねー♪

by ミンディー 2019-10-23 20:56

ひめちゃんもうみちゃんもそらちゃんも、素敵なおうちに貰われて、家族になって、よかったね。

by サビ猫びいき 2019-10-23 22:32

なんとまぁ可愛い可愛い!!ぬいぐるみのようなうみくん、そらくん。保護されたときの小ささ、痛々しいお顔……小さな小さな命が喜美子さんのおかげで繋がりましたね、ありがとうございます。ひめちゃんもすごいなぁ。ちゃんと小さい子の面倒をみるのですね。猫ってほんとうにすごいな!

by とも 2019-10-23 23:08

>ミンディーさん

もめごとも、すべて家族の歴史。数十倍のかすがいになってくれてるなんて、ありがとう!ですよね。
猫と暮らすしあわせ、ここにあり。

by 道ばた猫 2019-10-24 07:35

>さび猫びいきさん

ほんとうに、可愛いトリオ!
みんなこの家に集結すべく、つらい思いを潜り抜けてきたのでしょう。

by 道ばた猫 2019-10-24 07:37

>ともさん

ほんとうに猫ってすごい!
やってきた子猫たちの母さんになるひめちゃん、すごい。あっぱれ!

by 道ばた猫 2019-10-24 07:39

耳折れ兄弟かわいいの~~。
兄弟を見守るひめちゃんの香箱崩れっぽいお手々がまたかわいいの~。

私の猫友の愛猫の茶トラうりくん(猪のうり坊みたいな模様だから)もかつてすごいやんちゃで夜中にいつもキッチンの引き出しを開けていたずらするので、飼い主は寝る時毎晩引き出しの取っ手をドライバーで外してました。(私はいつもその話に爆笑。)
そんなうりくんに保護子猫がやってきたら飼い主の心配を裏切り誰よりも熱心な親猫に大変身。

ひめちゃんに任せておけば大丈夫だよね、ひめちゃん。たのんだよん。

茉優さん猫アレルギーよくなるといいですね。
冬に猫さまと一緒に寝る権利を我慢しなきゃいけないなんて飼い主として残念過ぎる。


前回の「お外にいた子」の麻里子さんのコメント「お外で頑張って生きている子達には誇り高く生きてほしい」に思わず涙してしまいました。

貴美子さんのコメントでまた涙。
皆無事でよかった♪
環境に弱い子から順番に食べさせて自分は最後に食べる雄猫。偉いね!
猫さまはホントに健気で気高い。そして賢い。
人間も少しは見習わないとね!

by 才蔵 2019-10-24 19:09

いっぱいやんちゃして 大きくなあれ!

猫(動物)に優しい人は 人にも優しい
命を大切に する人

by さと 2019-10-25 08:11

とても素敵な記事で感動しました。沢山の猫ちゃんたちのお話を読んで、涙、涙。
また、とても勉強になりました。
ありがとうございます。

by まい 2019-10-25 09:01

みみ折れにゃんこちゃん可愛くて、可愛くて悩殺されました(笑)助けてもらって本当に良かった。
喜美子さんと舞さんの命のリレーすばらしいですね。頭が下がります。みんな幸せになって本当に嬉しいです。

by ぺったんの母 2019-10-25 14:22

>才蔵さん

新入りや雌猫に先に食べさせるボス猫の話は、以前、某大学構内猫のお世話をなさってる方からも聞きました。人より、ずっと器が大きいですね!

by 道ばた猫 2019-10-26 01:42

>さとさん

動物(自分より弱きもの)にやさしい人は、人にもやさしい。本当にそう思います。
だからこそ、各家庭に犬や猫が迎えられる社会になればいいなあ、と。

by 道ばた猫 2019-10-26 01:47

>まいさん

猫の数だけドラマはあって、やってきたいきさつも幸せの形もさまざまだけど、猫の気持ちはおんなじだと思います。「ここのおうちの子にしてもらえてうれしいな」

by 道ばた猫 2019-10-26 01:51

>ぺったんのお母さま

来週も、喜美子さんの保護した「お外の子」その3、続きます。小鳥のようにフワフワッとしたカワイコちゃんなので、覚悟してご覧くださいね!(笑)

by 道ばた猫 2019-10-26 01:55

あんなにお目々グジュグジュの赤ちゃん猫も人間が手をかけてあげると、お目々クリクリの可愛いキジトラちゃんに成長できる。
傷ついて保護された猫も人間が手をかけてあげると元気になる。
人間の手はまるで魔法!

by 麻里子 2019-10-26 23:09

>麻里子さん

大変な時にコメントありがとうございます! ほんとに、やさしい人の手は魔法。すべての捨て猫や家のない猫が、魔法をかけてもらえますように。

by 道ばた猫 2019-10-27 02:42

皆さま
またしてもあたたかいコメントをありがとうございます。
うみそらのママは、自分もまだ1歳にならない位の若いママで、その子自体がきちんとご飯をもらえておらずガリガリの痩せっぽちだったのでこの2匹を見た時すぐ様命の危険があると保護したものの、丸一日飲まず食わずで儚く消えてしまうのかと本当に心配でした。。
舞さんファミリーに預かり保育をお願い出来て、どれだけ心強かったか。
1人では困難な事も、周りの協力を得て助けられる命もある。それを痛感しているこの数ヶ月です。
見違えるように可愛く元気に育っているうみそらを見て、本当に嬉しくて胸が熱くなる思いです。消えそうな命に出会った時、自分の家では飼えないとか、医療費がかかりそうとか、お世話する時間が無いとか…様々な「助けられない理由」が浮かんで悩むとは思いますが、命さえあれば後のことは何とかなる。の精神で、救いあげてくれる手が増えてくれることを願います。

by kimiko 2019-10-27 15:17

>才蔵さま
いつも楽しいお話とあたたかいお言葉、ありがとうございます!
たっちゃん、かっちゃんは私もドンピシャ世代です(笑)2人のようにそっくりなたっち兄弟もとても幸せに過ごしています^^
猫さまの気高さ、健気さ、純粋さに日々学ばされますね。
ひふみんさんの猫さんコーナー、見てみたかったな〜。本当に不思議な魅力にあふれたお方✨

by kimiko 2019-10-27 15:32