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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2019年09月24日

「わかさま」は、町のアイドル

漆黒の毛並みに、艶やかな薄きみどりの瞳。
この町の人たちから「わか」「わかくん」「わかちゃん」と呼ばれ、愛されています。

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推定年齢2歳半。
正式の名は、「わかさま」ですって。名前負けしない、堂々たる風格がありますね。
特技は、犬のように投げたものを咥えて持ってくること。キャビネットなどの扉を開けること。

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わかくんは、ここ神奈川県座間市の相武台前駅から歩いて5分ほどの住宅地にある、訪問介護事務所「わっか」の看板猫です。
2年前の7月のある夜、4月に事務所を開いたばかりの小木(おぎ)直樹・直見ご夫妻に、まだほんの子猫で行き倒れ状態だったところを保護されました。

「夜、仕事が終わって、事務所の隣の駐車場に行こうとしたら、子猫っぽい小動物がうずくまってたんです」と、直樹さん。
夜に小さな黒猫。よく確認できず、事務所に戻って、「子猫がいるみたいなんだけど」と、直見さんに知らせます。

やはり、子猫でした。
目の前のバス通りを渡ってパーッと逃げ、、車の下に入り込んでしまった子猫。離れると鳴き、近づくと隠れ、最終的に2時間後に猫缶でつられ保護されました。
「びっくりするほどガリッガリでした」と、直見さん。

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保護した子猫はすんなりなつき、事業所名の「わっか」から、「わかさま」と名づけました。
直見さんは、言います。
「その人懐こさから、もしかしたらどこかで可愛がられていたのかもとも思え、『返してください』という人がもし現れたらどうしようと思っていました。もう可愛くて可愛くてたまらなくなっていたので」

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そんなとき、ひとりの女性が「黒い子猫、いますよね」と駆け込んできました。
近隣に住んでいたけれど、それまでお互いに面識のない大木さんでした。
大木さんは、個人でノラたちの保護やTNRを続けてきました。「クロ」と呼んでいたわかくんは、黒猫母さんの手術前の最後の子で、保護譲渡かTNRをしようと手なづけていたところでした。
ところが、嵐の夜に、姿を見せなくなったので、毎日必死に探し回った挙句にあきらめたとき、娘さんが「クロが『わっか』という事務所の中にいるのを見た」と教えてくれたのでした。
事務所は、通る人から中が見えるガラス張りの作りなのです。

「ああ、ついに手離すときが・・・・・」と、顔を見合わせる直樹さんと直見さん。
でも、無事を確認できて感謝いっぱいの大木さんは言いました。
「可愛がってくださっているのなら、どうぞこのまま、よろしくお願いいたします」
胸をなでおろした直樹さんと直見さんでした。

そして、わかくんは、賢く元気に人間大好きにすくすく育ち、いまや、町の人気者。
なぜって、事務所はガラス張りで、事務所前にバス停もあるので、みんながのぞき込んでいくのです。
学校や幼稚園・保育園の行き帰りの子どもたち、通勤の人たち、お年寄りの方たち、お散歩中のお母さんと赤ちゃん、よその町からおやつ持参で通ってくるおじさんまで......。わかくんファンが、どんどん増えていきました。
事務所は、誰でもウエルカムなので、中に入ってわかくんとひととき遊んでいく子どもたちもいっぱいいます。

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お散歩のワンちゃんたちも、みなわかくんと仲良しです。

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「カギシッポのわかが来てから、事業もすごく軌道に乗って、人の輪もどんどん広がって...・・すごい福猫なんです」と、直樹さんは目を細めます。
そして、そして・・・。
去年5月からは、こんなお知らせ札が、通りに向けてぶら下げられました。

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事務所暮らしのわかくんが、夜、さびしくないように、妹分の保護猫を迎えたのです。
市内で捕獲された直後だった白黒ハチワレの「ひめ」です。

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やはりはぐれノラだったひめちゃんは、ケージ内にこもり、シャーシャー言っていたのですが、何週間もたった頃、わかくんがケージ内に入って行って「出ておいでよ」と誘い、連れ出すのに成功しました。人見知りで、ビビりな性格なので、昼間は、キャットタワーの高いところや秘密基地の木箱の中にこもっていることが多いのですが、夜は、わかお兄ちゃんとハッスルして遊びまわっているそうです。
毎朝ねんごろに舐め合い、昼間ひめちゃんがこもっていると、わかくんは、ときどき様子を見に行くやさしいお兄ちゃんです。
「最近は、『ひめちゃんカワイイ』というひめファンも増えてきて、うれしいです」と、直見さん。

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直樹さんと直見さんは、介護の仕事を通して知り合い、結婚しました。
夫婦で会社を作ろうと思い立った時、柱となった思いがありました。
「自分たちの周りにいる人や動物たちが互いの支えでしあわせになりますように。その思いや関係性が繋がり、広がっていきますように」
それが、「わっか」の名前の由来です。

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昨夏には、不登校支援団体と子どもたちが楽しめる共催イベントを催し、その収益を豪雨被害の広島県に寄付しました。
昨年12月からは、児童の学習支援にも参加。事務所のコーナーを仕切って、学校の授業についていけない子供たちの勉強も無料支援しています。(指導するのは、元教師の直見さんと大学生ボランティア) 子どもたちにも、わか・ひめコンビは大人気。猫を可愛がりながら、勉強を教えてもらえるなんて、通うのが楽しみになりますね!

きょうも、わかくんを真ん中に、町の人たちの笑顔がはじけています。

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写真の後ろが小木夫妻。左が、ノラ時代のわかくんを世話していた大木さん。右が毎日のように遊びに来るご近所の猫好きの奥津さんです。
ひめちゃんは、キャットタワーの上だったけど、皆さんの笑顔で、この界隈のあたたかさがよくわかりますね。

「以前は仕事先から直帰する場合など、夕方早めに事務所を閉めることもありました。でも、通勤帰りなどのみなさんもわかやひめと会うのを楽しみにしてくださっているので、直帰せずに事務所に戻るようにして、灯りも夜まで点けています」とのこと。

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「介護福祉・・子育て・動物保護・町づくり・・・ジャンルを問わず、少しでも誰かの役に立ちたい。支え合うことが当たり前の世の中になりますように」・・・・それが、夫妻の願いです。
夜まで灯す明かりの中の、しあわせそうな2匹が、その願いを象徴しているようです。
わかくん、ひめちゃんは、大好きな父さん・母さんに伴走し、町の人々の心を繋いで笑顔にしています。

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「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

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写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

相武台前とはえらい近いではないか!
町田→相模大野→小田急相模原→相武台前

各停で4つや~ん(^_^;)

訪問介護事務所ってえのは
事務所だから高齢者はいないのけ?

最近老人ホームに猫!
みたいなニュース見るよ

考えてみたら日本では

「老人と海」

じゃあなくて

「老人と猫とこたつ」

これよ、これ!!

老人と猫の精神的シンクロ度は
異常!

もうおいらが追求しなくても
名前の由来が記載されているのは
素晴らしいだ!

と言いたいなりが!

「ひめ」

の由来が書いてないや~ん(^_^;)

しかし似顔絵(^_^;)
シンプルなクセに
見事に似てるだに(^_^;)

by ドラ猫マスター 2019-09-24 14:57

なんて可愛いコンビでしょうか。自然に皆が笑顔になれますね。お洒落な街と可愛い猫たち、私の住む街は、動物に関しては、発展途上の街なので羨ましいです。
二匹ともどんどん優しい(わっか)を大きくしていってほしいです。

by ふみちゃん 2019-09-24 15:19

もう言うことなし!!とってもいいお話でした。ありがとうございます。幸せの輪ですね。
最後の写最高ですね。わか君、ひめちゃん、ラブラブね♡

by ぺったんの母 2019-09-24 17:05

猫の周りには、優しい人たちが集まりますね!
2匹とも、笑顔と優しさに包まれて、ずーっと、ずーっと、幸せにね✨

by さび茶風 2019-09-24 18:10

わっかは偉い!
みんなを元気にして癒してくれる
成長が楽しみです。

by ねこ好き 2019-09-24 19:21

わかと姫
縁起がよさそうですね(^_^;)

わかって若様のわかじゃなかったんですね
鍵しっぽかわいい
鍵しっぽの猫は福猫でしたっけ?
はちわれ姫もかわいいな

by ぽん子 2019-09-24 19:29

今日も心あたたまるお話を有難うございました。わかくん、姫ちゃん、これからも人々を和ませてね。

by シーマン 2019-09-24 20:09

捨てられるだけじゃなく、そう言う経緯で迷子になるニャンがいるんですね。
半野良ちゃんでは、全ての子にマイクロチップを入れる訳にもいかず。難しいところですね。
この子は保護されて良かった~✨

by まるる。 2019-09-24 20:37

猫がいて
笑顔になって…
笑顔が増えて…
笑顔って ホントに素敵

by さと 2019-09-24 20:48

〝わか〟は、わっかの会社名…と、わっかの御曹司[若様]…の両方から掛けて付けたお名前だそうですょ^ - ^以前スタッフさんと話せる機会があり、伺いました。
会社に誰も居ないと可愛く2匹で外を眺めて誰かを待っているような姿に、いつも癒されています★

by わかくんと姫ちゃんのファン 2019-09-24 21:01

若様と姫様の素敵な出逢い。
最後の写真が物語っていますね。

by shelly 2019-09-24 22:38

座間のわっかのわかちゃんは目があったら会話ができるようなそんネコです。やって来た時は体も小さく痩せていましたが瞳がとても印象的でした。成長して大きくなりましたが相変わらず不思議な魅力を持っています。みなさんも1度会ったら忘れられなくなりますよ!是非わかちゃんの本を出してください

by まっちー 2019-09-24 23:08

驚いた。www
訪問介護事務所とは知りませんでしたが、よくこの場所の前を通っています。
看板の文字をみて、ずっと、地域猫の団体の施設だと思い込んでいました。(笑)
残念ながら一度もわかさまたちを見ることができてないので、まさかの記事に驚きました。
こんど扉をあけてみたいと思いました。

そして、勝手ながら佐伯さんがお近くに来られていたことに「会いたかったーうちの子も見てほしかったー」などと妄想を膨らまし気味に記事を拝読しました。(笑)

by みり 2019-09-25 07:18

失礼しました。
佐竹さんと入力したつもりが佐伯さんになっていました。
ごめんなさい。

by みり 2019-09-25 07:21

わかさま~~!可愛いですね!私も覗きに行きたいです(*^_^*)ひめちゃんもまた可愛い~~
最後の2匹の仲良しの写真、可愛くて可愛くてもうたまりません!これからもきっとわかくん、ひめちゃんがみんなの笑顔、たくさんの福を持ってきてくれますね。わかくん、ちゃーんとわかっていてご夫妻の前に現れたのでしょうね。こちらも幸せ気分満載になるお話をありがとうございます♪

by とも 2019-09-25 07:25

>ドラ猫マスターさん

はい、猫のいる町はどこへでもいきます! って、今回のわかさまは夜道歩いててたまたま出遭ったんですけれど(笑)。若ときたら、姫じゃあないですか。

by 道ばた猫 2019-09-25 09:12

>ふみちゃんさん

老人福祉や身障者福祉も子育ても動物愛護も、みな根っこは「思いやり」と思うので、大きな束になったら、心強いですよね~ 各地にこんなわっかができたらなあ。

by 道ばた猫 2019-09-25 09:16

>ぺったんのお母さま

最後の写真、とってもいいでしょう! 取材時は、ひめちゃん高いとこから下りてきてくれなかったので、3・4・5・13枚目の写真は、直見さんが送ってくださった写真です。

by 道ばた猫 2019-09-25 09:20

>さび茶風さん

猫さんは、ねぐらとご飯と笑顔さえそばにあれば、しあわせなのでしょうね~
たったそれだけ。人間がすべての猫に与えることはそんなに難しいのかなあ、といつも思います。

by 道ばた猫 2019-09-25 09:23

>ねこ好きさん

そう、わっかはえらい! そしひめちゃんもこっそりみんなを笑顔にしています。
ねこって、いるだけで、えらい!!!

by 道ばた猫 2019-09-25 09:26

>ぽん子さん

わかさまは「わっか」の「若様」なんです。カギシッポの猫は、シッポの先に「幸運」をひっかけてくるって言われてますよね。まさにわかくんもそう。

by 道ばた猫 2019-09-25 09:29

>シーマンさん

直見さんには、「わっか」が、猫の保護活動をする方たちの拠点にもなってほしいという夢もあるようです。叶いますように!

by 道ばた猫 2019-09-25 09:33

>まるる。さん

子どもの頃、猫は迷子になったら、どうするんだろう、って思ってました。自分の名もおうちの場所もいえないから。迷子猫の手助けがすぐにできる世の中になりますように。

by 道ばた猫 2019-09-25 09:37

>さとさん

はい、猫や子供を見て、笑顔になる人すてきだと思います。最近は、猫を見て笑顔になる男性は信用できる、と思うことしきり(笑)。

by 道ばた猫 2019-09-25 09:41

>わかくんと姫ちゃんのファンさん

そうでした、わかは「うちの御曹司」と、直見さんもおっしゃっていたのでした。外を眺める2匹の姿を見られるなんで、眼福ですね、いいなあ~~

by 道ばた猫 2019-09-25 09:44

>shellyさん

姫ちゃんは毎朝起きると「お兄ちゃん、なめて」と、わかくんにねだるそうです。
姫ちゃんがわかくんをなめるシーンはあんまりないそうですが…(笑)。

by 道ばた猫 2019-09-25 09:47

>マッチ―さん

わかくんは、イケメンで、賢くて、やさしくて、なかなかのオトコでした!
これから、ますます渋さを増していくのが楽しみです。わかの本、いいですねえ。

by 道ばた猫 2019-09-25 09:51

>みりさん

たまたまその先のお宅に夕食をお呼ばれして、行きは、わかとひめの札を見て「NPOかな?」と思って通り過ぎ、帰り路は夜で、ガラス越しに中が良く見えて、わかくんと目が合ったのです。みりさんちの猫さんに会ってみたいな。わっかに立ち寄ったとき、連絡先のメモを預けておいてくださいな!

by 道ばた猫 2019-09-25 09:57

>ともさん

わっかさん、のぞきも立ち寄りも大歓迎だそうですよ~ぜひ。私も、のぞいた後思わず、ガラス戸を開けてしまったクチなので(笑)。こんな立ち寄り所が各町にほしい。

by 道ばた猫 2019-09-25 10:00

わかさまを中心にした皆笑顔の写真、いいですね~。
近所の猫好き奥津さんがあふれんばかりの笑顔で一緒におさまってるのが、特にいいですね!

企業やNPO等の利害関係者をビジネス用語でステークホルダーといいますが直接の関係者だけでなく地域社会等も含みます。
「わっか」の近くに住んでる方や事務所の前を通るだけの方々もちゃんとステークホルダーとして関わってるのを(しかも笑顔という最高の関わりで)象徴してていいなぁと思いました。

かぎしっぽの猫さまは福を引っ掛けてくるってホントだったのね!(^_^)
(昔ある友人がかぎしっぽや短いしっぽの猫は猫同士のケンカや事故でなったとマジで思ってたのを知ってすごくビックリした事あります。)

黒猫さんの写真としては最後から2枚目が表情もよくわかって満点。
と思ったら最後の写真にもうノックアウト!
2にゃんに思わずやきもちやいちゃいますよん。



個人的にはわかさまがウチの黒助に似てるんですよ。
黒助の若い頃にそっくりやん。
黒助も着実に年とってるんだなぁとも。
もう10才、大切にしなきゃなぁって。

by 才蔵 2019-09-25 15:01

今月愛猫を亡くし悲しみの中、猫の気持ちなどわかるようなブログや本を読み漁っていてこちらを見つけました。なんと実家の実家の目の前です。ここで育ちました。なんだか嬉しくなって書き込まずにいられませんでした。わかちゃんひめちゃんに今度会いに行きたいです。幸せな気持ちにさせてくれてありがとう

by いっくん 2019-09-25 16:51

わっかは、相武台前駅の近くでしたかー
30年ちかくまえ、自動車学校で普通自動車免許をとったのを思い出しました。
ステキな空間ですね~
今は、南九州で¨陸の孤島¨住まい!
里山で2匹の猫とのんびりてす♪

by ミンディー 2019-09-25 19:53

>才蔵さん

なんか、元ノラの男の子と元ノラの女の子が同じ家に迎えられて、町中のみんなを笑顔にしてるって、
絵本かアニメ映画にしたいくらいです!

by 道ばた猫 2019-09-26 00:09

>いっくんさん

なんと! ご実家の真ん前ですか。今度実家にお帰りになったとき、ぜひぜひ2匹に会いに行ってください。きっと、わっかの方たちも喜ばれると思います。

by 道ばた猫 2019-09-26 00:12

>ミンディーさん

南九州の里山で、猫2匹とのんびりですか、いいなあ~。
相武台周辺もだいぶ開発されましたが、少し歩けば、まだまだ畑がいっぱいでした。

by 道ばた猫 2019-09-26 00:19