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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

猫又トリップ

2018年08月22日

ご長寿猫とありのままの未来を選んだ飼い主さんのお話。

ドアを開けると「ぐわー!ぐわー!」と元気な鳴き声が聞こえてきました。特徴的なその声は「甲状腺機能亢進症」という病気が要因のようです。なんと御歳22歳のキジトラ「ぴーちゃん」はそんな病気ともうまく付き合いながら、今日も元気に歩き回っております!

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ぴーちゃん(正式名ピグ)、22歳おきゃんな子。



東京発→種子島経由→東京行き


「種子島」といえばロケットの発射などで有名な宇宙センターが頭に浮かびますが、そんな遠く離れた鹿児島県の種子島からぴーちゃんを東京の自宅に連れて帰ったのが飼い主の井上紫織さんです。
元々、ぴーちゃんは紫織さんの友人が地元の種子島に戻る前、東京で保護した猫でした。だから紫織さんは子猫時代のぴーちゃんにすでに会っていました。里親募集により、ぴーちゃんには新しいおうちが決まったのですが、その里親さんから突然「飼えなくなったから保健所に連れて行く」と耳を疑うような発言が飛び出し、結局ぴーちゃんは友人と一緒に種子島へUターンすることになったのです。そして、種子島への長期旅行中にぴーちゃんと友人宅で再会した紫織さん。そんな残念な事情を知って、使命感が湧いてきたのは言うまでもありません。一緒に過ごすうちに離れ難くなり、とうとうぴーちゃんを譲り受けたのでした。「私がこの子の面倒を見ます!」(ぴーちゃん2歳の夏)

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お膝大好きなぴーちゃん

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撫でられることも大好き。

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だから腕をロックするのさ!永遠に撫でろ!


東京に戻った紫織さんは、すぐに1人と1匹暮らしを始めました。猫と暮らすのは初めてでしたが、新生活への不安はなく、喜びと自信に満ち溢れていたそうです。それから20年という歳月を過ごす中で、ぴーちゃんが病院に掛かったのも数回、超健康優良児で本当に手のかからない子だったようです。

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暮らし始めた頃のぴーちゃん。いっぱい写真を撮ってもらったんだね。



ご飯と健康について


気分次第で時間のムラはありますが、今でも1袋35gのウエットフードを1日4袋平らげ、さらにドライフードも要求。元々ぴーちゃんはぽっちゃり体型(6kg台)で食べることが大好き。シニアになり食べやすいようにとお皿を高くしたのですが、がっつき過ぎてお皿ごと前進する始末......。本当に食欲旺盛なんですね!

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ごはん?

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今日は取材だからお上品に食べるとしよう。

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お気に入りのウエットフード。




病と決断


これまで大病のなかったぴーちゃんですが、15歳のときに血尿が出てしまいました。この時の血液検査で腎臓機能の低下を知った紫織さんは、初めてぴーちゃんが年老いていたことを実感します。それはあまりにも突然のことで、今まで何もなかったぶん紫織さんの精神的ダメージは大きく、この頃からぴーちゃんの将来について心構えをするようになったそうです。
それからさらに6年という歳月が流れ、「まだまだ生きるんだろうなぁ」と少し楽観的になれたのは、結婚をして家族が増えたからなのかもしれないと、紫織さんは言います。実はもうすぐ3歳になる息子さんもいる紫織さん。母は強し!ってことですね。

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ブラッシング中のぴーちゃん。

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視力も聴力もすごーく落ちたというが、ちょいちょいカメラ目線をいただけます。


ぴーちゃんは現在、「甲状腺機能亢進症」にかかっています。その病気がセカンドオピニオンで診断されたのが約2年前のこと。年齢的にも外科的治療は困難なので内科療法を選択し薬を与えていました。しかし、薬の副作用で食欲が落ちてしまい、歳のせいもあってみるみる痩せていってしまいました。ぴーちゃんがまだ10代半ばであれば薬を飲ませ続ける選択もできたのですが、痩せていく姿を見るのは飼い主としてとても辛く、今年から薬を止める決断をしました。どちらを取るかの判断は難しいものです。そこは獣医さん任せではなく、我々飼い主の範疇(はんちゅう)なのかもしれません。もうぴーちゃんの自由にさせてあげたいと紫織さんが強く願ってのこと。
「鳴きたい時に鳴いて、食べたい時に食べて、寝たい時に寝る」
これからも、ずっとぴーちゃんに寄り添いながら、そっとサポートしていく覚悟が見て取れたのでした。

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この日はぴーちゃんを紹介してくれた水谷さんも取材に同席。

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人見知りがない猫なんですねー。


これまでのことを振り返り、家事や育児でぴーちゃんと過ごす時間があまりなかったなぁと反省する紫織さん。この取材を機にまた2人でべったりする時間が増えるといいなぁと私も思います。きっとぴーちゃんも喜ぶことでしょう。
22歳のご長寿猫と、ありのままを受け入れる未来を選択した飼い主さん。猫にも人にもリスペクトしかありません。



「猫又トリップ」が書籍になりました。

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ご長寿猫がくれた、しあわせな日々

15歳以上のご長寿猫と、その家族が奏でる28の物語をお届けします。

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猫又トリップライター紹介

ケニア・ドイ

1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。

http://kenyadoi.com

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カテゴリ: 猫又トリップ
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みにゃさまのコメント

ピーちゃん、紫織さんと楽しく、できるだけ長生きしてね
22歳ですが、毛並み良さそうですよね

by ペンギン 2018-08-22 13:16

ペンギンさん
毛割れがないのはぴーちゃんがブラシ大好きっ子だから!

by ケニア・ドイ 2018-08-22 18:46

うちも22歳のキジトラです!
腎不全がだいぶ進んでますが、元気に夏を越えてくれそうです(´∀`)
我が子も自慢したいけど、何より部屋を見せるのが恥ずかしくてドアップな写真ばかりになってしまいます(笑)

by まいまい 2018-08-24 03:57

ぴーちゃん、うちの子と一緒に頑張ろうね♪

by まいまい 2018-08-24 04:00

ぴーちゃんと紫織さん見てると、うちの猫たちも当たり前のように20歳超えてくれる気がしてくるんですが、そこに至るまで長生きしてくれることが、そもそも大変な奇跡なのですよね。
でも、だからこその病だったり衰えと、一緒に向き合う必要があるのだな、と、猫飼い先輩として紫織さん&ぴーちゃんをますます尊敬します(*´`)♡

by みずたにさん 2018-08-24 17:20

まいまいさん
部屋の中で見せたくない場所ってありますね。アップ目の写真になるっていうのも理解できます。
22歳!ってすごいですね。がんばろー

by ケニア・ドイ 2018-08-28 18:52

みずたにさん
今の時代に20歳越えは本当に奇跡!だと私も思います。
あまり苦労を語らない紫織さん、それよりも今後楽しさを求めているよう。
まさに「苦楽をともに」ですね。

by ケニア・ドイ 2018-08-28 19:04

うちの猫 うぶちゃんは今年で 26年です。
2年前に甲状腺機能亢進症になり薬を飲ませたら発作が起きて2回も死にそうになりました
なので薬はやめてその代わり メルカゾールを 粉にしてワセリンを入れて軟膏作り その軟膏を耳に塗ることにしたのです
そしたらみるみる数値が下がって 正常値の 最高ですが 正常値になりましたやってみてください

by うぶ 2021-08-13 01:53

うちの猫 うぶちゃんは今年で 26年です。
2年前に甲状腺機能亢進症になり薬を飲ませたら発作が起きて2回も死にそうになりました
なので薬はやめてその代わり メルカゾールを 粉にしてワセリンを入れて軟膏作り その軟膏を耳に塗ることにしたのです
そしたらみるみる数値が下がって 正常値の 最高ですが 正常値になりましたやってみてください

by うぶ 2021-08-13 02:00

うぶさん、それは本当ですか?
ネットで調べてみてもそのような内容の治療をしている記事が一つもなかったので…。
うちの子も甲状腺機能亢進症でメルカゾールを飲んでいるのですが、副作用か食欲不振が酷く、体重もかなり落ちているので、もしその方法が効いて、体重も増えるのであればぜひ試したいのですが…。

by みるく 2021-10-29 03:58

ちなみにメルカゾールはワセリンにどれくらいの割合でいれましたか?

by みるく 2021-10-29 04:05