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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2018年03月20日

救われて・・・その①「グンちゃん」

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「グンちゃん」ことグンバくんは、15歳。
メインクーン系でしょうか。不思議な色の目をした、ダンディーな長毛猫さんです。

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「グンバ」というのは、飼い主の裕子さんの友人である、イタリア系アメリカ人がつけてくれた名前です。
映画「ゴッド・ファーザー」の中で大物マフィアが友だちのことを「グンバ」と呼ぶシーンがあったからだそう。

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グンちゃんは、米国カリフォルニア州・サンフランシスコのノラの子でした。
犬に噛まれたのか、穴のあいた首筋から空気が漏れて、パカパカと音を立ててさまよっているところを、裕子さんに保護されました。
14年前のことです。裕子さんは当時、アメリカ人数人とシェアをした家に暮らしていました。

SPCA(動物虐待防止協会)の病院に運びこんだところ、肺に穴が開いていて、一日もつかどうかの状態という宣告。
「手術しても助かる見込みは少ない。肋骨も折れているので手術にはかなりのお金(民間の病院の半額ほど)がかかる。どうしますか?」
そう獣医師から訊かれた裕子さんは、手術を頼みました。

どうしても、この小さな命を見捨てることができなかったからでした。

そして、手術は成功。生還した子猫は「ものすごい生命力だ!」と病院のスタッフを驚かせました。
退院後、裕子さんたちの家に迎え入れられ、「黒いし、ひげも立派だし」と、マフィア用語の「グンバ」という名をもらったというわけです。

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そのすぐあとのことです。グンちゃんよりちょっと小さいキジトラの子猫が窓際に通ってくるようになりました。
グンちゃんも、その子に寄り添うように窓際に座っています。
「もしかして、グンデのきょうだい?」ということになり、子猫は家の中へ。
子猫は、女の子で、「リリー」と名づけられ、裕子さんと同居する友人の猫になりました。
1年後、裕子さんの帰国で離ればなれになるまで、2匹はとても仲良く暮らしたそうです。

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今、グンちゃんが裕子さんと暮らしているのは、裕子さんの実家です。
加齢による腎不全と、大型猫に多い「肥大性心筋症」を持っていて、毎日薬を飲んでいますが、穏やかにのんびり過ごしています。
日の当たる場所がお気に入り。

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日本での家族も増えました。
8年前、子猫の時に保護された、白のオス猫サンバ。
その翌年に、猫風邪で弱っているところをお母さんの友だちに保護されてやってきた、三毛猫のミーちゃん。
そのまた2年後に、目ヤニと鼻水とでぐちゃぐちゃのお顔で車の下でうずくまっているところを、ゴミ出しに出たお母さんに見つけてもらった、白猫のスワン。
3匹ともそろってビビリさんで、お客さんが来たら、全員みごとに姿を隠します。
サンバとミーちゃんはグンちゃんのそばによくいますが、スワンは単独行動が多いそうです。

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「グンバと離ればなれになったリリーに、三毛のミーちゃんがどこか似ている気がしていたんですが、このミーちゃんがグンバにとてもなついて・・・。不思議な巡り合わせを感じます」と、裕子さん。

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じつは、裕子さん一家は、もともと「犬派」だったとか。
旅立ってしまいましたが、一昨年までは犬2匹もいて、猫たちと仲良く暮らしていたそうです。

グンちゃんのおうちが、猫たちにとってストレスフリーで快適であろうことは、見ての通り。
清潔なお水と、清潔なトイレと、猫草と。

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猫たちが思い思いにくつろげるよう、こんな「猫の部屋」まであります。愛情いっぱいですね!

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次々やってきた保護猫たちを仲良く束ねているのは、やはり穏やかで優しい長老グンちゃん。

「グンバがいなかったら、その後うちに来る猫たちに出遭うことはなかった気がします。なぜか、救いを求めている猫に出遭ってしまう(笑)。きっと、それまで見過ごしていたそんな猫に気がつくようになったということだと思うんですけど」

もしかして、グンちゃんはアメリカのSPCAから「命を救ってもらった裕子さんの国に行ったら、恩返しにその国の猫を救いなさい」という秘密指令をもらってやってきたのかな。

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「まだまだグンバには長生きしてもらわないと」と、裕子さんも言っています。
体も心も大きな「ゴッドファーザー」として、草の根の国際交流で日本の「友だち」を大事にして、うんと長生きしてね!

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「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

はるばる、海の向こうから来たんですね。
日本の生活は楽しいでしょうか?
ちゃちゃ子を連れてきたボス猫が先日、亡くなりました。偶然にも動けなくなっている所を、ちゃちゃ子を託した方に見つけてもらい、最後を看取ってもらいました。過酷な生活を送ったと思うけど、せめて最期は優しい人に看取ってもらい、幸せだったと思います。もしかしたら娘かもしれないちゃちゃ子を幸せにすることが彼への恩返しになると思います。

by ふみちゃん 2018-03-20 14:22

どっしりしたゴッドファーザーのごとく、何事もおおらかに包み込む雰囲気がありますね。
日本にきてもたくさんのにゃんこに囲まれ、穏やかな日々を過ごして長生きしてね~~

by あずにゃん 2018-03-20 15:45

グンちゃん、助けてもらった命の恩返しをしているんでしょうね。素敵なお話です。どうか、もっともっと長生きしてみんなを幸せにしてくださいね。

by ぺったんの母 2018-03-20 16:54

グンちゃん、優しいボスといった感じですね。長い毛と白い手袋をしているようなお手てがまたチャーミングですね。お部屋もとーっても素敵ですね。他の子たちもみんな可愛いなぁ。今回も心温まるお話をありがとうございました!

by とも 2018-03-21 09:19

ラストの一文!ワールドワイドですね!『草の根の国際交流』グンバ君の重要任務、ひだまりを感じるお部屋で育ったワサワサの猫草のごとく、まだまだしっかり根を張って現役で活躍してほしいです!
大型長毛種のオス猫さんが自分より弱い立場の猫さんの面倒を見たり、仲良くしている様子は我が家の元野良イークと被り、感慨深かったです。

by マム 2018-03-21 12:46

>ふみちゃんさん

ボス猫くん、やさしい方に看取られて旅立ったんですね。どんな猫生だったのか・・・。
ちゃちゃ子さんのことは、安心して。安らかに。

by 道ばた猫 2018-03-22 13:29

>あずにゃんさん

大きな猫は、穏やかで寛容な子が多いですね~
ゴロンとした太い足が、とっても魅力でした!

by 道ばた猫 2018-03-22 13:33

>ぺったんのお母さま

いろんな猫を見てきましたが、猫たちには、ごくごく自然体の「恩返し」というか「愛の循環」が備わっているように思えます。大した生き物です。

by 道ばた猫 2018-03-22 13:37

>ともさん

「子供部屋」ならぬ「猫部屋」。とっても楽しそうで、至れり尽くせりでした。
しあわせな猫さんたちですね!

by 道ばた猫 2018-03-22 13:43

>マムさん

大型長毛猫さんは、ほんと、やさしくて器の大きな子が多いですよね。
イークさんも、ずっと元気に優しいボスでいますように!

by 道ばた猫 2018-03-22 13:49