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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2016年08月02日

子猫がやってきた!...その①「肩乗り猫イチくん」

「ミルクボランティア」という言葉をご存知でしょうか?
捨てられたり、母猫とはぐれたりして保護された子猫がまだ授乳期だった場合、里親に手渡すまでのお世話をするボランティアのこと。仔猫は容態が急変しやすく、生後数週間は授乳も3時間おきなので、知識や経験も必要ですし、気を抜けない日々となるため、人手がまるで足りない現状です。
行政で殺処分される猫の6割は仔猫。里親が見つかるまでのミルクボランティアさえいれば、つないでもらえるいのちがどんなにたくさんあることか。

道ばた猫日記「セラピー猫ニケ」でご紹介した由梨さんは、その数少ないミルクボランティアです。由梨さんの元から巣立っていき、しあわせになった仔猫たちは数知れず。
初めて猫を迎える家、13歳の先住猫のいる家、保護猫2匹が迎える家、愛猫を亡くしてもう飼わないつもりだった家。4つのケースをシリーズでご紹介していきます。

最初は、三好家の初めての猫として迎えられたイチくんのお話。

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パパにくっついて、甘えんぼしている休日のイチくん。三好家の子になって、ちょうどひと月たちました。

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ほんのり口周りなどがベージュっぽい白猫さん。グレイッシュな青い目がちょっと憂愁をたたえて(顔に似合わずやんちゃさんですが)、将来かなりのイケメンになるのでは。

イチくんは、生後2週間くらいの仔猫のとき、W市で保護されました。
崖の下で、声を限りにミイ~ミイ~と泣き続けていたのです。たまたま犬の散歩中の若夫婦に発見されて保護してもらいました。
若夫婦は赤ちゃんも犬もいるので、仔猫を預かるのは無理でした。仔猫ラッシュで手一杯にもかかわらず、受け入れてくれたのが、ミルクボランティアの由梨さん。すぐさま、はるばるとW市まで迎えに来てくれました。

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由梨さんのところに来たら、もう安心。仔猫用哺乳瓶でミルクを与えると、最初は「違う、違う!ママのおっぱいじゃない!」と首を振って拒否したものの、すぐにゴムのおっぱいやシリンジ授乳に慣れました。崖下の草むらで這い回ったせいか、お鼻の黒い染みがなかなかとれません。救出直後、土砂降りの雨になったそうですから、発見が遅れていれば仔猫の命はなかったでしょう。
W市から一文字とって「ヒカル」くんと仮の名をつけてもらった仔猫は、由梨さんちの先住猫ニケくんたちに面倒を見てもらい、他の保護猫同士でじゃれ合って、社会性を身につけ、健康でやんちゃで人見知りしない子に育ちました。

保護されてひと月が過ぎた6月末。初めての子猫として、三好家に迎えられました。
「1」のかたちのかぎ尻尾だったので、「イチ」くんに。

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やってきた日のイチくんは、スマホよりちょっとだけ大きいくらいでした。
そしてすぐさま、持ち前のやんちゃぶりを発揮。

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ママにネズミのおもちゃを振って遊んでもらったり、

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怪獣ごっこではハッスルして、ファイティングポーズになってしまいます。

そして・・・イチくんの一番好きなこと。それは、大好きなパパやママによじのぼること!

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ママの体に、よいしょよいしょ。

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パパの体にも、よいしょよいしょ。パパのほうが登りがいがあって、達成感があるみたいです。

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はい、登頂できました!
肩乗り猫イチくん、得意そうです。

「イチが来てから、休日に出かけなくなりました。出かけても、ふたりともそわそわしちゃって、すぐに帰りたくなる(笑)。帰ると、イチはたいていソファで寝ていてねぼけまなこで迎えてくれるんですけどね」と、ママ。

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この頃は、出かけるために服を着替えていると飛んできて、よじ登り、「出かけちゃだめだよ~」とばかりにゴロゴロゴロゴロ言い始めるのだとか。平日の朝、パパが出勤する時もそう。
「おかげで、私たち、足も背中も傷だらけ(笑)。イチのおかげで、楽しくにぎやかに暮らしています~。川の字になって寝てるときがいちばんしあわせを感じます」と、可愛くてたまらない様子のふたりです。

ママとはぐれて崖の下で鳴いていたイチくん。やさしいパパとママができてよかったね!

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写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

イチくんのように、幸せになる子がどんどん増えて欲しいですね✨我が家では、そらを迎える数日前に迎えた子がいました。その子は娘の病院の駐車場に兄弟三匹で置き去りにされていました。信じられないことに、へその緒も体毛もまだ乾ききらない状態だったそうです。まさに生まれおちるのを受け止めたように捨てられたようです。獣医さんも驚かれていたそうです。そして二匹の子は早々に衰弱して死んでしまい最後の一匹を我が家で引き取りました。(つう)と名付け、手を尽くしましたが兄弟の元へ翌日に行ってしまいました。そらもちゃちゃ子も本当に可愛いです。そのきっかけをつくってくれた(つう)に感謝しています。

by ふみちゃん 2016-08-02 17:49

今週も涙涙で読みました。
いちくんが優しいパパとママに出会えて、本当に良かったなーと( ; ; )
一人ぼっちで崖の下で声の限りに泣いていたいちくん、どんなに心細かったことでしょう。雨が降り出す前で本当に良かった。保護して下さった若夫婦、迎えに来てくれて、世話をしてくれた由梨さん、家に迎えてくれた優しいパパとママ、みんな素晴らしい〜〜
道ばた猫さん、みー太は夏バテなのか少し痩せましたが、元気です。
夕方、涼しくなるとディナーにやって来ます。一汁二菜(カリカリ2種類とお水)を半分食べては、ミョウガ畑のコンクリートの上で暫く休んでから、残りを食べては又、何処かに行ってしまいます。やはり、みー太は外が良いのでしょうか。

by 佐藤 眞弓 2016-08-02 19:50

>ふみちゃんさん

そうだったんですか。つうちゃん、お空で3兄弟で遊んでいるかな。つうちゃんのために手を尽くしてくださってありがとうございます。「猫を可愛がる」って、その子の中にいる、可愛がれなかった子の分まで可愛がるってことですよね・・・。

by 道ばた猫 2016-08-03 04:06

>眞弓さん

夏猫はみな少しスレンダーになりますよ~ みー太くん、今の通いの暮らしが快適みたいですね。そのうち、年をとってくると、おうち猫になりたがるかも。ずっと健康でいてくれるといいですね。

by 道ばた猫 2016-08-03 04:10

返信ありがとうございます。(つう)は獣医さんによると、母乳を一度も飲んでいないのではとのことで、体重も僅か90グラム前後しかありませんでした。スポイトでミルクを一滴づつ飲むのがやっとで、おしっこもほとんど出ませんでした。いくら温めても体温が上がらす、ひんやりしたままでした。それでも生きようと本当によく頑張りました。ほんの少しだけ鳴き声をだせるようになってはいました。でも兄弟の元が良かったのか、夕方遅くに追いかけて行ってしまいました。我が家の庭先より兄弟一緒にとみんな同じ所に眠っています。そしてその数日後、生後約3週間のそらがやって来ました。つうがほとんど手付かずに残していったミルクをあっという間に飲んで元気いっぱいに育ちました。今ごろは天国であの時のミルク、おいしかったよと言ってるかもしれません。

by ふみちゃん 2016-08-03 11:10

>ふみちゃんさん

生まれ落ちたところを捨てるとは、ニンゲンのすることでしょうか・・・。母さん猫の切なさを思うと胸が痛くなります。兄弟一緒の場所で眠らせてくださって、ほんとうにありがとうございます! 「あの時のミルクおいしかったよ~」って、きっと言ってると、私も思います~

by 道ばた猫 2016-08-04 01:03

はじめまして、イチくんを見て我が家の そら にそっくりでビックリしました!先代の猫が21才で亡くなってすぐに、保護され妹 はな と一緒にやってきました。毎日笑わせてくれ、おかげで、寂しさを感じる暇をくれませんでした。三好家のパパさんママさんも、笑顔をたくさんもらってくださいね。

by おてて 2016-08-17 00:12

>おててさん

そらくんとはなちゃん。かわいい名前ですね!
きょうだいで保護されて、おててさんちにもらわれて、しあわせになって、しあわせをお返ししてるんですね~ 

by 道ばた猫 2016-08-18 01:56