[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

埼玉県加須市への小さな旅。先週の続きです。
加須のおみやげといえば、きなこをまぶした米菓子「五家宝（ごかぼう）」が有名です。売っているのは、関東三大不動のひとつである不動ヶ岡總願寺の門前にある和菓子屋3軒のみと聞き、やってきました。
お不動様の正門横の、見るからに古くからの店構えが気に入って、「青木屋本店」に入ります。

「いらっしゃいませ！」



なんとまあ、凛々しい店員さん。
「この子はいちおう店長でして」と、ご店主。
聞けば、この店、江戸末期創業で140年続く古い和菓子店で、笑顔のやさしいご当主は6代目になるそうです。



「この子は、よその町でノラをやってたのを、生後半年くらいの時に保護されて、たまたまうちの女房が見て一目ぼれして連れ帰りました。もう5歳になります」
名前は「まろ」くん。元ノラとは思えないお名前です。

なんでも、奥さまは、ひと目見てまろ君の愛らしさと、カギしっぽにほれ込んでしまったのだとか。もらわれてきた日からゴロゴロなつき、ほどなく気が向くと店にも顔を出すようになり、猫店長さんとなりました。人見知りしない節度ある接待が見込まれたようです。
「かぎ尻尾でお客さんを招き入れてくれるでしょう？」と言えば、
「かぎ尻尾はかぎ尻尾でも、ふにゃっとしたかぎ尻尾ですから」と、6代目。かわいくてたまらないご様子です。



店内には、なんとちゃんと店長椅子があるのです！　待遇いいですね～
「4歳です」の但し書きははちょっと古くて、もう5歳になっていますが。
まろくんは、ここで、往来の様子を観察したり、



まったりと毛づくろいしたり。



夏場は、お不動様への出足も鈍りますが、初詣でや節分、火渡りの行事などの時は門前は大賑わい。
広い境内を含め、この辺りはまだ自然が残っていて、まろくんは裏口から夜の見回りに出かけたと思うや、カエルやトカゲは序の口、ヘビやヒヨドリまでお持ち帰りすることもあるのだとか。
「家の中では、おとなしくてお利口で、、ほんとうにいい子なんだけど、外出先からおみやげをもってくるのだけは、勘弁してほしい・・・」と複雑な表情の奥さま。
きっと、まろくんは、恩返しのつもりなんだろうなあ。



まろくんの出入りはいつも裏口。けっして、表からは出て行かないそうです。
心得たものだと、感心したら、じつは・・・。
「いちど、顔を自動ドアに挟まれましてね。それ以来、ぜったいにドアから出て行きません！」とのことでした。



夏場は、奥の事務室で涼んでいることが多いそうですが、秋～春は、通りがよく見える店長席でくつろいでいることが多いというまろくん。外からもよく見えるので、手を振る人、のぞき込む人、みんなを笑顔にさせています。

あれ、まろくん、くつろぎすぎじゃあないですか？



それじゃあ、店長さんというより、老舗の名誉会長さんって感じですね！狙っているな。



由緒ある和菓子屋さんにぴったりの「味のある」猫、まろくん。
買って帰った「五家宝」・・・・もっちり具合が絶妙で、きなこも香り高く、とっても美味しかったです。



これからも年季を積んで、いっそう味のある名店長さんになってくださいね、まろくん。



■青木屋本店
埼玉県加須市不動岡３－１３－１（区画整理により新番地）　　[ 月曜定休 ]