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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2015年05月12日

巡りあい

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ぬいぐるみと並んでも負けないクリクリの瞳を持つ茶トラくん。まるでビー玉をパチッとあてはめたようです。
その名も「クリちゃん」、12歳すぎの雄猫です。
クリちゃんのそばには、いつもエツコママの笑顔があります。

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ふたりは、大の仲良し。クリちゃんはママの後を甘えてついて回り、トイレにもするりと一緒に入ってしまうほど。
ママがお出かけするため、玄関から出たとたん、家の中から「うおおおおお~~~ん」という 悲しそうな声が外まで聞こえてくるそうです。
だから、いつもさっさと用事を済ませて、急いで家に帰ってくるエツコママなのです。


ふたりは、5年前に巡りあいました。ママが70歳、クリちゃんが7歳の時に、動物病院で。

そのときのママは、もう立ち直れないと思えるほどのダメージを受けていました。 それまでご主人と愛猫の仲良し家族だったのが、ご主人を失い、 続けて不治の病の愛猫まで失おうとしていたのです。
エツコさんの心身耗弱ぶりを見たかかりつけのK動物病院の先生は、 「あなたがどうにかなってしまうから、猫の最期は、僕が引き受けた。心を込めて看取りますから」と 言って、病院で看取ってくださいました。

そして「猫を失った悲しみは、猫でしか補えません。あなたに紹介したい猫がいる」と言って、 病院で1匹の猫に引き合わせてくれたのです。それが、クリちゃんでした。
診察台の上につれてこられてクリちゃんは、初対面なのに、エツコさんを見ると、 ふところにまっすぐ飛び込んできました。
それで、そのまま、エツコさんの家の猫に。

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クリちゃんも、飼い主と家をなくしたばかりの猫でした。
大家さんに内緒でこっそり猫を2匹飼っていたひとり暮らしの女性が、 脳こうそくで倒れたとき、2匹のかかりつけだったK動物病院の先生は、 すぐさま合鍵を預かり、部屋に駆けつけて、大家さんに処分される前に、2匹を救い出しました。

70歳でひとり暮らしのエツコさんは、新たに猫と暮らそうと思っても、ネットなどの 里親募集では、条件から外れてしまいます。でも、先生は考えました。 エツコさんは健康だし、猫好きの子どもたちや孫たちのセーフティーネットもちゃんとある。 7歳を過ぎた穏やかなクリちゃんなら、きっと良いパートナーになるだろう、と。
クリちゃんと一緒に救い出した雌猫は、先生の自宅猫となりました。2匹は、 相性が悪かったので、弱い立場だったクリちゃんは、1匹飼いでストレスから解放されたようです。

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「初めて会ったのに、私たち、意気投合しちゃって。ほんとうに、巡りあいだわねえ」と、 エツコママは、クリちゃんを愛おしそうに見やりながら、言います。
フラダンスをやっているママは、若々しくて、とってもきれい。
「クリの肉球は、マシュマロみたいに、ぷっくりしてるのよ。ほら。お外が怖くて出たことがないから」
ほんとうだ!お坊ちゃまの肉球です。

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クリちゃんに触りたくて毎週遊びに来る、孫のヤマトくんが、学校の工作の時間に、 「クリの椅子」を作って持ってきてくれました。三角の可愛い椅子です。

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クリちゃん。よく食べ、よく寝て、ママにいっぱい甘えて、うんと長生きしてね。
そして、ママをいつも笑顔にして、巡りあった人生を末永くふたりで楽しんでね!

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みなさまに、ひとつ、お知らせ。゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。.。:+* ゚ ゜゚

FM山口の「NEWS DELIVERY」という番組の中で、明日13日17時35分から12分間、 パーソナリティ―のかたと、猫ばなしをします。
生放送ですが、東京FMスタジオから。
山口県の方、よかったら、聴いてくださいね~。緊張するでしょうが、 フェリシモ猫部の活動のことも、しっかりお伝えしてきたいと思います。


写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

ほんとうにくりくり眼のくりくん、よかったです。ねこに選ばれて相思相愛とはこのことなんでしょうか。エツコさんのやさしい愛をたっぷり受けてしあわせいっぱい、うんと甘えてね。こういう話をきくとほんとうにあったかいきもちになります。

by あずたん 2015-05-12 14:02

クリちゃん、エツコママさん、元気をありがとうございます(*´∀`*)
ぴったりパーツが合わさるような出会い…素敵です!

by きゃぐ 2015-05-12 15:46

佐竹さんの道ばた日記いつも欠かさず楽しく拝読してます(^o^)
毎回素敵なお話で毎回涙しております(´;ω;`)
FM山口毎日聞いてますよ。
佐竹さんが身近に感じるようで楽しみにしております!頑張ってください!

by ねこ丸 2015-05-12 18:34

佐竹さんの道ばた日記いつも欠かさず楽しく拝読してます(^o^)
毎回素敵なお話で毎回涙しております(´;ω;`)
FM山口毎日聞いてますよ。
佐竹さんが身近に感じるようで楽しみにしております!頑張ってください!

by ねこ丸 2015-05-12 18:34

今回も素敵なお話をありがとうございます。
つらいことや苦しいことも多い世の中だけど、人間も猫もまだまだ捨てたものじゃないと、「道ばた猫日記」を読むたびに思います。
「幸せになった猫 幸せをくれた猫」も早速拝見しました。前々から書籍化を熱望していたので大感激。第二弾、三弾もあるといいなあ。
私のココロのオアシス。どうかこれから先もずっと続けてくださいね。

by たこやき 2015-05-12 21:21

巡りあいって本当にあるんですね。

クリちゃんとエツコさん。
ベストカップルの様ですよ♪

お互いに必要とし、されているのが写真からも伝わって来て、見ているこちらの方も、ほっこりします。(=^・^=)

ありがとうございます(#^.^#)

by まるっと猫 2015-05-13 00:02

>あずたんさん

5年前、まったく笑顔をなくしていたエツコさんが、今、とっても素敵な笑顔。
猫のチカラってすごいです。

by 道ばた猫 2015-05-13 06:26

>きゃぐさん

こういうのを「運命の猫」と言うのでしょうね。
きっと、先生が看取ってくださった猫も、天国で、ママの笑顔にほっとしていると思います。

by 道ばた猫 2015-05-13 06:27

>ねこ丸さん

おお、FM山口、毎日聴いていらっしゃるとは!  
私は山口生まれなので、故郷のかたに猫ばなしを聴いてもらえてうれしいです~

by 道ばた猫 2015-05-13 06:30

>たこやきさん

ありがとうございます。「世の中捨てたもんじゃない」という思いは、このブログを続ける原動力です。これからも、いろんな町、人、猫の物語を拾っていきます~

by 道ばた猫 2015-05-13 06:39

>まるっと猫さん

まさにベストカップルですよね! 私の知る限りでは、茶トラの猫さんは、温厚で甘えんぼうが多いような気がします。

by 道ばた猫 2015-05-13 06:44

クリちゃんクリクリの目とぷっくりしたマズルωがかわいいですね〜。
マシュマロみたいなお坊ちゃま肉球もニギニギしてみたいっす。ホントにまるで子猫の肉球みたいな箱入り息子な肉球ですね。
エツコママさんの幸せそうな笑顔がすべてを物語ってますね。❤︎
こちらも幸せな気分になります。

こんな素敵な出会いをくださったK動物病院の先生もすばらしいです。猫たちへの愛情を感じます。
動物病院の先生やスタッフさんたちが皆さんこの先生のような動物への愛情を持って接してくださることを願ってやみません。受診する時ってけっこう緊張しちゃうこと多いと思うんで・・・

by 才蔵 2015-05-14 14:13

いつも楽しみに 読ませて頂いています。
何だか ほっこり優しい気持ちになれるので…

幸せな 二人?の顔に 一杯の愛を感じますね♪
すばやく ご尽力下さった病院の先生も凄いッ!
良い先生に出会えて ホントに良かったですね。

by クロの継母 2015-05-14 15:25

>才蔵さん

はい、ぷっくり弾力があって、桜貝の色で、我が家の猫たちの使い込んで黒ずんだ肉球とは大違いでした~)(笑)。マズルも可愛くて可愛くて。

by 道ばた猫 2015-05-15 01:14

>クロの継母さん

ほんとうに。人間目線、猫目線の両方を兼ね備えた、いい先生ですね!
こんな風に、受け皿が確保できれば、老年期でも猫との生活を楽しんで元気でいられるし、救える命も増えますよね~

by 道ばた猫 2015-05-15 01:22