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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2014年10月14日

ニャジラの愛情

 ニャジラ再び。「バラの森の猫たち その2ニャジラ」でご紹介した、あの「荒野の暴れん坊」の異名をもつ男。「ペット」猫には見ることのない、切れ長の目が持つ野性が、これまで山で生き抜いてきた猫人生を物語っています。

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5年前、房総の山奥にある手作りのバラ園「ドリプレ・ローズガーデン」に、山からやってきて居着いた時のニャジラは、人にも猫にも心を許さない、それは凄みのある狂暴猫でした。ガーデンや仲間たちを守るチロと、何カ月も抗争を繰り返した挙句、いつのまにか男同士の友情で結ばれていたチロとニャジラ。でも、ニャジラが初めて得た親友チロは、仲間を守るべくイノシシと戦って命を落としてしまいました。その日以来、ガーデンパトロール隊長の任務をチロから引き継いだニャジラの顔には哀しみと孤独がはりついたままでした。

そのニャジラが、最近バラ園に前後して引き取られてきた2匹の子猫たちに、惜しみなく愛情を注いでいるという話を聞き、会いに行きました。

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テラス入口の黒板に、たしかに、外猫たちによるガーデンパトロール隊新入り猫の名が。黒猫の男の子コジジと、茶白の女の子リリーちゃん。(黒板に、ポタじいさんの名がないのは、春にふっと天国へ旅立ってしまったから)

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あっ、本当に、テラスでニャジラが子猫を愛おしそうになめてやっているではありませんか。
甘え切った表情の小さな女の子はリリーちゃん。ユリの花の咲くころにここに引き取られてので、この名がつきました。ニャジラの無頼ぶりを知っている人は「あのニャジラが・・」と驚き、知らない人は毛色も似ている2匹をてっきり親子だと思い込む光景です。

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リリーちゃんは、外国で人気のジャパニーズ・ボブテール(短尾の日本猫)のオッド・アイです。おっとりしたやさしい子で、さぞかし綺麗な猫に成長することでしょう。

テラス席で、ケーキのクリームのおすそ分けを狙って舌なめずりしていたのが、もう1匹の新入りコジジ。

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山から這い出てきたところを里に住む女の子たちに保護され、バラ園に引き取られた時は、片手に乗る大きさでした。以前バラ園にいた黒猫「ジジ」に似ているので、「コジジ」の名前をつけてもらいました。
愛すべき食いしん坊のポタじいさんがいなくなったあとのテラスは、ぽっかり寂しくなっていましたが、食いしん坊のコジジが、しっかり後を引き継いでいます。
そんなやんちゃなコジジのことも、ニャジラは舐めてやったり遊んでやったりと、息子のようによく面倒をみています。コジジとリリーちゃんが仲よく遊んでいるときは、外敵から守る父親のようにそばにいるニャジラ。
もう1匹のオス猫コチロも、新入りを可愛がっているのですが、ニャジラの愛情にはとてもかないません。

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コジジはこのごろ、大好きなニャジラについて園内パトロールにも出かけます。パトロールから帰ってきたコジジ、テラス席の食いしん坊顔とはちょっと違ってりりしい顔つきになっています。ニャジラ隊長のそばで、これから一人前のガーデンパトロール隊員に育ててもらうのでしょう。

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きっと、物心ついてからずっと「家族」も「仲間」も知らず、体を張って生き抜いてきたニャジラ。バラの森に来た時は顔面傷だらけだったニャジラ。やっと心を開いた親友も失ってしまったニャジラ。コジジとリリーに、親とはぐれた遠い昔の自分をニャジラは見たのかもしれません。
いま、ニャジラには、血は繋がっていないけど愛情を交わし合う「家族」と、たくさんのファンがいます。鋭い目が心なしか丸くなったようです。


写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

佐竹さん
ご無沙汰しています。
毎回、楽しみで楽しみで。
佐竹さん、ニャジラはほんとに男気と優しさと。こんな男性がいたら惚れてしまいますね。
佐竹さんの目線が本当にあたたかく、生きているだけで、すごいんだなあって感じます。
14歳になるトラが9月から膵炎と糖尿と腎臓と、数値が悪くて。ご飯を食べなくなりました。10月から強制給餌をしています。
クスリを無理やり飲ませて、ご飯も強制的に与えて。皮下補液の点滴も押さえつけて。
頭ではやるべきことだとわかっていても、こころが痛くて。
生きて欲しい。元気になってご飯を喜んで食べて欲しい。
だから続けるんだって。言い聞かせても。つらくて。
いつも、つらい時にコメントさせてもらってごめんなさい。
ずっと佐竹さんに聴いて欲しかった。
やっとコメントにしています。
いつも、ありがとうございます。

by じゅんこ 2014-10-14 16:35

前のブログを見た時からニャジラが大好きです。ニャジラの近況が知れてよかったです。また教えてくださいね!!

by あかちゃん 2014-10-14 20:43

にゃじらε=ε=(ノ≧∇≦)ノ
優しいお目めになりましたね(*⌒▽⌒*)
心洗われましたよε=ε=(ノ≧∇≦)ノ
前の鋭いお目め風格も大好き(*⌒▽⌒*)

by ちゅうちゅう 2014-10-14 22:43

茉莉子さん、こんばんは!
にゃじら君、頼もしくて素敵です。
ホントに強い男は、優しいんですよ(^_-)-☆
ぜひ、ローズガーデンにもお邪魔したいです!

先週末、台風が来る前にと湯河原一泊旅行に行き、小田原の魚市場食堂で食事して、辺りを散策して猫探しをしてきました。
5~6匹の猫たちがのびのびと、それぞれ寛いでいて、漁港って良いなと思いました。
私の小さな旅は、つい猫探しになってしまいます~

いつも、あったかくて、ほっこりするお話、楽しみにしています。

by るな 2014-10-14 23:28

>じゅんこさん

トラちゃんのこと、ご心痛お察しします。トラちゃんは14歳ですから、まだ基礎体力がありそうなので、持ち直すといいですね。
これまで私が見送った猫たちのうち、20歳近い高齢猫や白血病などの病をもった猫たちは、ある時点で「もういいよ」というサインを私にくれました。死をさとった猫たちは実にみごとで、彼らなりに旅立ちの準備期間に入っていくようでした。
それでも、最後まで「奇跡が起こるのでは」と信じたいのが飼い主の常ですよね。ほんとうにつらい。目をそらしたちょっとの隙にふっと行ってしまいそうで・・・。
何度もそんなつらさを味わいましたが、それも考えたら猫と暮らすという至福とひきかえのもの。
うちの最年長は21歳で、次が19歳。別れはふっとやってくると覚悟してます。
「ありがとう、めぐりあえてしあわせだった、出来る限りの手当てはするけど、もし「もういいよ」と思ったら、教えてほしい。そっと旅立ちを見送ってあげるからね」・・・そんなふうに送れたらいいな、と思ってます。
トラちゃん、じゅんこさんが自分のためを思ってやってくれてること、みんなわかってると思います。強制給餌でも食べてくれてるってことは、トラちゃんも立ち直りたいから。どうぞ、また元気になりますように!!!

by 道ばた猫 2014-10-15 01:44

>あかちゃんさん

どうやら、私もニャジラに惚れてしまったみたいです(笑)。その後のニャジラ、コジジ、リリーの様子、またぜひリポートしますね!

by 道ばた猫 2014-10-15 01:49

>ちゅうちゅうさん

 こういう切れ味の目つきの猫は、あまり見かけなくなりましたよね~  そんなニャジラが見せる優しさに、ほろりとしました。

by 道ばた猫 2014-10-15 01:57

>るなさん

小田原魚市場いらしたんですね~ しばらく行ってないから、ああ、行きたくなりました! 東海道線は、猫と会う小さな旅には最適路線ですよね! 

by 道ばた猫 2014-10-15 02:04

こんにちは、毎週ドキドキハラハラしながら見ています(^^)
先週、相方が一時帰国をしていたので中々見れなかったのですが、まとめて読みました♪
にゃじら君、格好良いですね。荒野の暴れん坊さんも落ち着いたのでしょうね^^

我が家に、猫エイズのキャリア持ちのオス猫が居ます・・・生まれつき持っていたみたいで病院でワクチンの時に診て貰いキャリア持ちが発覚したのですが、今7歳の親父くさい猫になっています。
通称「お父さん」と呼ぶと直ぐ来る超甘えん坊で、私が家の事や買い物や雑務に追われていても・・・座れば直ぐに膝の上に来て湯たんぽになってくれます♪

相方も「お父さん」と呼んで沢山遊んでくれましたが、また中国へ行く時にお父さんを撫でて行こうとすると寂しそうな顔をしていました・・・猫も遠くへ行くのが判るんだなぁと思う出来事でした。

ちなみに、中国の三毛猫さんこと「みっちゃん」は相方が日本に居る時でも相方の事を忘れなかったみたいで、マンションに戻ろうとすると何時ものようにひょこっと出て甘えたそうです(^^)

by キリ 2014-10-15 10:19

ニャジラくん、哀愁あふれるお顔ですね~(=^・^=)歳を重ねて少しまあるくなったニャジラくん、いえきっとチロだったらこんなふうにしていたはず・・とチロの分まで子猫たちを面倒みてくれてるような・・。ニャジラくんの一本筋が通ったような風貌が・・素敵です!良い兄貴分でいてほしいな・・。
それから、コメントされているじゅんこさん・・・辛いでしょうね・・。どうか少しでも長くトラちゃんがじゅんこさんと暮らしていけたら良いですね・・・。トラちゃんもじゅんこさんの気持ちは分かっているはず!頑張れ~!

by りんりん 2014-10-15 14:13

 写真の黒板でニャジ(本名:ニャジラ)と本名と呼び名(?)を使い分けてるのが印象的です。
 ニャジラは、一枚目の写真でなかなかの男前ですね。美猫です。

by クックロネコ 2014-10-15 21:20

 写真の黒板でニャジ(本名:ニャジラ)と本名と呼び名(?)を使い分けてるのが印象的です。
 ニャジラは、一枚目の写真でなかなかの男前ですね。美猫です。

by クックロネコ 2014-10-15 21:20

呼ぶとすぐ来る甘えん坊の「お父さん」。カワイイですねっ。のんびりストレスなく暮らして、発症せずにいいニャン生をおくれますように。「お父さん」も「みっちゃん」も、ちゃんと心が通い合ってるんですね~

by 道ばた猫 2014-10-15 21:43

何度読んでも、涙ぐんでしまいます。
人間の思いとは別に彼らは自分たち猫人生を歩んでいるのだと思います。それに触れるだけで幸せに感じます。今こうしている瞬間でも懸命に生きているのですね。
ニャジラの思いを継承するものが現れて、家族ができて良かったです!

by ぐり 2014-10-15 21:47

>りんりんさん

 そう、きっとチロの遺志をニャジラは引き継いだんだと思います。志のあるいい顔してますもん。
 じゅんこさんに、あたたかい励まし、ありがとうございました。

by 道ばた猫 2014-10-15 21:47

>クックロネコさん

 ニャジラは、ほんと男前です。それに、目がとっても澄んでいるんですよ! 惚れ惚れします(笑)。

by 道ばた猫 2014-10-15 21:53

>ぐりさん

ほんとうに同感です。人間の思い込みや価値観や管理とは違う世界で生きているのが、猫本来の姿で、人間よりずっと真っ直ぐでひたむきなのだと思います。そのことを伝えたくて、この猫日記を書いているようなものなんです・・・。

by 道ばた猫 2014-10-15 22:00

佐竹さん
こんなにこころ深く響く言葉はありません。
ぐっと固まっていた感情が溢れました。
今日も病院に連れて行きました。
数値はまだあまり良くなくって。続けて強制給餌とクスリをのませることと。
でも、どんなに嫌がっても。トラも生きようとしてるんだって。そう思えたら、何度も何度も立ち上がれます。
本当にありがとうございます。
そして、りんりんさん。ありがとうございます。
トラと一緒に頑張ります。

by じゅんこ 2014-10-15 22:45

佐竹さん こんにちは
nyaaがまた肉球に怪我をしてきて、現在外出禁止状態で、猫も人もノイローゼ状態です (=_=)
なんかいいものないかなぁと検索したら、フェリシモの猫絆創膏の文字が目に入り、開いてみたら・・・そーか人が使うやつか・・・そーだよな・・・(-.-)とがっかり・・・
でも
あっ佐竹さんのブログまだみてなかった!っと気を取り直して開いてみたら
なんかnyaaによく似た風貌のニャジラが (^_^;)
nyaaも誰かと仲良く暮らしてくれないかなぁなんて、甘い夢をみてしまいました
そして
じゅんこさんのコメントを読み、わたしも今心を鬼にしてnyaaを家に閉じ込めている身なもので、気持ちがわかるなぁとウルウル (T_T)
落ち着いたらブログに記したいと思います

by にゃにゃ 2014-10-16 10:25

>にゃにゃさん

たしかに! nyaaくんとニャジラは風体(笑)がそっくりですね~  肉球のケガは、nyaaくんにとってはオトコの勲章かもしれないけど心配ですね。赤ちゃん用のソックスをはかせていた(足首をしばる)飼い主さんもいました。nyaaくんは速攻とってしまうでしょうね・・・。治癒を祈ります。

by 道ばた猫 2014-10-17 12:23