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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2013年12月10日

馬と猫とドーベルマン

 ここは、Fazenda CK牧場。オーナー夫妻と3人の娘さんとで開墾した、(営利を目的とはしない)牧場です。

 あれっ、猫さんが乗馬している!! そして、そばにいるのは、ドーベルマン!
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 馬の上でも、そばにドーベルマンがいても、へっちゃらなこの黄色い猫さんの名は、「ネコ助」。 1歳半の雄猫です。
「牧場」「ドーベルマン」で、気づいた方もいらっしゃるかもしれませんね。そう、ネコ助は、道ばた猫日記「犬と猫の不思議な仲」「続・犬と猫の不思議な仲」でご紹介した、あのみおちゃんと一緒に捨てられていたお兄ちゃんです。
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 去年のゴールデンウィーク前に、生まれたばかりで目も開いていない二匹の仔猫は、空き地の木の枝に、ビニール袋に入れられて吊るされていたのでした。なんという酷さでしょう。見つけたのは、牧場一家のお母さん。

「町道を外乗しているとき、空地から、二―二―とかすかな啼き声が聞こえたんです。見ると、ビニール袋の周りをカラスが飛び回っていた。危機一髪でした」

 連れ帰った子猫たちのお守りをしたのが、ドーベルマンのジャクソンくん。ジャクソンは、4年ほど前に保護団体が保健所から引き出した犬。前の飼い主が「人に飛びつく、よく吠える」といった理由で保健所に持ち込んだのだそうです。当時3歳のジャクソンは、人が大好きで、遊び盛りだったのに...。

 そのジャクソンの里親募集をネットで知って、もらい受けたのは、「前の犬を病気で早く死なせてしまったことに、ずっと悔いがあったんです。今度犬を飼うときは、一生を全うさせてやりたい」と思っていた、一家のお母さん。お父さんは、ジャクソンに愛情深くしつけをして、はしゃぎ気味だけど(笑)、ちゃんということをきく、誰にでもフレンドリーな優しい犬に育てました。

 ジャクソンとネコ助は、自宅から車に乗って、この牧場にほとんど毎日連れてきてもらいます。広い牧場でふたりがいつも熱中する遊びとは・・・・。中継します。

 ネコ助、待ち伏せして、通りかかったジャクソンの足に飛びつく。
「わあっ、やられた。待てえ~」と、ジャクソン。つかまるもんか、と、ネコ助。
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 ずっこけるネコ助。「へへっ、転んでやんの」と、ジャクソン。
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 ガブガブガブっと、ジャクソン。シャッ、シャッ、シャッと爪を出すネコ助。舞う土ぼこり。
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 なんというハードな遊び。でも、ご心配なく。ふたりとも、遊びと心得て、ちゃんと手加減しています。ジャクソンは、甘噛み、ネコ助のひっかきはジェスチャーです。その証拠が、いつもふたりは無傷。ただ、ネコ助はジャクソンのよだれまみれになるのですけどね。
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 たっぷり遊んだあとは、並んで、「おなかすいたね~、おやつまだかな~」。
でも、末っ子のNちゃんに投げてもらったおやつはのほとんどが、はしっこいネコ助の口に。ジャクソンはおこぼれをもらいます。

 Nちゃんが、教えてくれました。
「ネコ助は、ジャクソンの餌を盗み食いして太ってしまったから、獣医さんにダイエットしなさい、と言われたの。この前、みんな寝静まったときに、食卓の食べ物をジャクソンと一緒に全部食べて、翌朝、罰で2匹とも朝ごはん抜きだった。ネコ助が食卓からモノを落として、ジャクソンが袋を咬みちぎって、共謀したの」。

 妹のキジトラのみおちゃんは深窓の令嬢に育っているのに、お兄ちゃんはかなりのワイルド派。この一家が猫を飼うのは初めてだそうですが、Nちゃんは「犬派だったんだけど、猫派になりました。だって、犬はしつこいところがあるけど、猫はお互い自由で、いい感じ」。
 ネコ助、自由猫過ぎて、ときどき自宅に帰るときに行方不明。しかたなく、牧場においてけぼりにしていくそうですが、翌朝、「なんで置いていくんだよう」とばかり、すっとんできて、まつわりつくのだとか。「可愛くってたまりません」と、お母さん。
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 ネコ助は、生後6日くらいで、お父さんの手で、馬に乗せてもらいました。1枚目の写真の乗馬姿がサマになっているのもうなずけます。

 ご自宅では、小鳥も飼っているそうですが、ネコ助はそばに小鳥がいても、意に介せず。お父さんは言います。「動物って、小さい時からいっしょにいると、みんな仲間なんだねえ」。
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 久しぶりに会ったネコ助、「牧場の猫」にぴったりの自由猫になっていました。赤ちゃんの時から、左目の眼球がちょっと上向きだそうですが、それもいい味出しています。
 最近では、界隈のボス、極道猫の「親分」に気に入られて、見回りのお供もしているそうです。もしかして次期親分候補?
 それぞれに、幸せをつかんだ兄妹。逆の境遇だったら、どうだったのかなあ~と考えたら、思わずくすっと笑ってしまいました。

写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

ブレーメンの音楽隊 実写版できますね(^.^)

by にゃにゃ 2013-12-10 16:47

素敵♪犬も馬も猫も大好き♡
こんな場所近くにあったら・・・。
みんなほんとに幸せそう☆

by ティナ 2013-12-10 20:26

 こんばんは。
 いつもいつも良いお話し・良いお写真、楽しく拝見させて頂いてます。

by クックロネコ 2013-12-10 21:39

こんばんは。
いつも、いつも良いお話ありがとうございます。
ピュアな心の生き物をきっとこうだから・・多分そうだからって決めつけてしまう人間って・・・
ちょっと悲しいですね。
命が平等なら、心も平等・・って思います。みんなが仲良しって良いなってそう思います。
みんなが幸せ

by こまめ 2013-12-10 22:49

お兄ちゃんを久しぶりに拝見!ワイルドで楽しそうでいいわー

by 妹のみおの家族 2013-12-11 12:56

ネコ助 大きくなって 乗馬姿も様になって 。。。良かったね~☆

楽しい中継 ~ ありがとうございました~☆

by ruineko 2013-12-11 13:11

二匹とも 幸せになれて良かった(^^)

しかしビニール袋で木に吊るすって…
酷いです。


ワイルドなネコ助 可愛い(*^^*)

ほっこりを ありがとうございます

by らすかる 2013-12-11 14:15

お題と写真を見て、お馬さんにちゃんと乗れてるじゃなぁ~い!と(^O^)
ジャクソン君も、ネコ助も過去に辛い思いをしたけれど、今はもの凄く しあわせそう♪
よかったね~~~!

by りょう 2013-12-11 17:12

>みなさま

 ワイルドネコ助にメッセージありがとうございます。

 そうそう、書き忘れたこと。ネコ助は、自宅の2階ベランダの手すりの上で、毎晩、遠吠えをするそうで す。

 「えーっ、にゃあああああああ~ん、ですか?」と聞くと、
 「いいえ、うおおおおおおおお~ん、です」って!

 犬と一緒に育ったからでしょうか・・・・。

by 道ばた猫 2013-12-11 22:52