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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2013年06月04日

農学部の猫たち

まず、先週ご紹介した交番からやってきた子猫ニコちゃんのその後をー。
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 金物屋さんのノリコさんに「ニコちゃん」という仮の名をつけてもらった子猫は、里親になるM家から「メイちゃん」という可愛い名前をもらいました。5月に交番からやってきたからです。動物病院の検診で「健康そのもの」とお墨付きをもらい、今週末にM家の子になります。すでに先週末、M家にお泊りしてきて、よく食べ、よく遊び、よく寝てきたそうですから安心ですね。
 土曜日までは、金物屋さんの店内で、ボルト君と追っかけっこしたり、あちこち探検しては、好奇心に満ちた目をピカピカ光らせています。猫がいると知らずに入ってきたお客さんが、棚にメイちゃんを見つけ、「ああ、びっくりした!」と笑顔になることもしばしば。
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 交番のお巡りさんも、先週の「道ばた猫日記」のコピーをノリコさんが見せにいくと、「よかった、よかった」と、喜んでくださったとか。お巡りさん、あなたがメイちゃんの命の恩人です。ありがとうございます! できるものなら、メイちゃんを生んだお母さんに「離れ離れになったけど、この子は幸せになりましたよ、安心してね」と伝えたいものです。
 
 ノリコさんは、ひと月メイちゃんの面倒をみて、可愛くて可愛くてたまらなくなっていたので、送り出す日が近づくにつれ、さびしさもつのっていますが、ノリコさんには、面倒を見ている猫たちがまだまだいっぱいいるのです。近くのT大農学部の広い構内に住む猫たちの餌やりを、地域のボランティアさん3人と協力して、3年前から続けているのです。ノリコさんの当番は、月・木・土の夕方です。
 
 T大の構内は、部外者立ち入り禁止ですが、ノリコさんにとっては、子供時代に遊びまわった場所。いまも餌やりを黙認してもらっています。猫たちの避妊去勢手術は、数年前に大学側で一斉に施し済みです。
 
 餌やりに同行させてもらいました。猫たちは、ノリコさんの来るのをあちこちで待っています。
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 これは、三毛の福美さん率いるグループ。「福美さんは、凛としたいいオンナ。若い雄猫も猫パンチで従わせた気っ風 はすごい!」と、ノリコさんも一目置いています。
 
 茶々丸と2匹で一緒にいるサバトラの「砂山くん」は、食べ残した餌を、砂をかけて食べられなくしてしまう癖があり、「すなやまァ!」としょっちゅう怒られていますが、気のいい人気者です。
 
 「やよいさん」は、小ぶりの雌猫で、研究室でも可愛がられているようで、ノリコさんの姿を見つけると、研究棟から走ってきます。
 
 農学部だけに、桑畑も茂り、そこは、黒猫の「ネイラ」を女ボスとする一団が暮らしています。ネイラは恰幅のいい猫ですが、心優しく、若い猫たちに先に食べさせ、自分はゆっくりと桑畑を横切ってきて、最後に食べます。
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 最近も、三毛猫母さんが3匹の子供たちを引き連れ、ここにひっこしてきたのを、鷹揚に受け入れました。
「農学部の猫たちはみなお人好し。浮世のいやなことを忘れさせてくれます」と、ノリコさん。
 
 仲間を作れない一匹オオカミのコもいます。しゃーしゃー威嚇するけど、気の弱そうな「シャーくん」や、甘えたいのに甘えかた知らずの「ジローくん」。それぞれに個性的な19匹(ノリコさんの知るかぎり)の農学部の面々です。
 
 木の上でいつもノリコさんを待っているのは、黒猫キキちゃん。
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 ノリコさんを見ると、必ずひとつ大きなのびをして、木から降りてくるのですが、降り方が猫のくせにへたっぴーなところがご愛嬌です。
 
 このT大のように、自然の残る広い敷地のある場所は、率先して、地域猫の住処を提供してほしいですね~  メイちゃんを助けた交番やノリコさんの金物店、T大農学部のある文京区では、区の「動物との共生社会事業」と連動して、「人も猫も穏やかに共生できる街」をめざした「ぶんねこの会」というボランティア活動が、「できることを少しずつ」と広がりを見せているところです。

写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

ニコちゃんの旅立ちも、もうすぐなのですね。
新しい名前もつけてもらって、これからも幸せな日々を過ごしていくのでしょうね(^O^)
メイちゃんおめでとう~*

by りょう 2013-06-05 09:49

地域猫に対して、避妊手術の実施や住居を提供を大学側から取り組まれているのは、農大という動・植物と関わりある大学だからでしょうか。考えが柔軟であり、進んでいるように思えました。

by ぽんぬ 2013-06-06 19:12

メイちゃん、良かったね~☆ おめでとう! 

地域猫の活動、少しずつ、いろんな場所で広がっているんですね~!

うれしいな~。 励まされます。それぞれが出来ることを やっていきたいですね。 

道ばた猫さん、うれしくて幸せな気持ちになれる記事を ありがとう!

by ruineko 2013-06-07 09:39

>りょうさん
 メイちゃんはきっと綺麗な猫さんに成長するでしょうね~ できれば、その後のメイちゃんの幸せぶり もブログで 紹介したいと思っていますので、お楽しみに!
>ぽんぬさん
 なかなか一気には進みませんが、いい前例がどんどん各地でできていくといいですね。
 この大学は、農大 ではなく、農学部のある、あの有名なT大なんですよ~
>ruinekoさん
 思いをひとつに、それぞれができることをやって、たんぽぽの綿毛のように、幸せ猫のエピソードが各 地にふえていきますように!

by 道ばた猫 2013-06-09 23:06

ぶんねこの会について触れていただきありがとうございます。
猫たちを取り巻く環境は厳しいものがありますが、いつもこのブログを読んで、紹介される猫たちの穏やかな暮らしにホッと息をついています。
厳しさを訴えても多数の人は目を背けてしまいます。猫のいる風景を温かく伝えることで、猫に向けられる社会の眼差しが少し優しくなっていく。そんな猫日記をこれからもお願いします。

by ぶんねこの会(広報担当) 2013-06-11 01:15

>ぶんねこの会さま
 うれしいコメント、ありがとうございます! これからも、「猫が暮らしやすい町は人も暮らしやすい」メッセージをこめて、猫のいる風景をお伝えしていきたいです。

by 道ばた猫 2013-06-15 02:12