ページ内を移動するためのリンクです。
ここからメインコンテンツです

[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2013年04月23日

猫のいる美術館

 「うーん、今年も力作ばかりだにゃ~、私たち猫の気持ちがよくわかってるにゃ~」とばかり、ずらりと並んだ猫作品を眺めているのは、この美術館の看板白猫娘、みいちゃんです。
 
129-1.jpg
 今年も、千葉県匝瑳(そうさ)市の、田んぼに囲まれた小高い丘の上にある松山庭園美術館で、恒例の猫ねこ展が始まりました。われこそは猫好き中の猫好きと自認する全国の作家130人が、趣向を凝らした猫作品を持ち寄ります。なにがワクワクするって、300近い作品ばかりではありません、この美術館では、猫さんたちが張り切ってお出迎えしてくれるのです!
 館内でごろにゃん接待をしているのは、お客さん大好きのキンタローです。
 
129-2.jpg
 美術館は、画家の此木三紅大(コノキミクオ)さんの個人美術館で、広い館内の石彫もガンダ(鉄くず)作品も陶器もすべて此木さんの作品です。此木さんは、少年時代から無類の猫好きで、猫が飼えなかったその頃の夢をかなえて、いまは猫に囲まれています。「猫になりたい」が、目下の夢で、奥さまから「猫オトコ」と呼ばれているほど。
 そんなかたの美術館ですから、猫好きが集うのは当たり前。サロンでは、猫たちと戯れたり、猫談義に花を咲かせたり。居心地よすぎて、みんな長居をしてしまうのです。
 
  去年の猫ねこ展の会期中には、駐車場に仔猫が捨てられていたり持ち込まれたりで、館長さん(奥さま)はてんてこまいでした。里親が次々に見つかって、2匹が残り、7匹目と8匹目の美術館猫になりました。長毛のももちゃんと、白黒牛柄のうーちゃんです。
129-3.jpg
 そのももちゃんが、早くも先週、ママになりました。初産だったせいか、生まれたのは、しっぽの長い黒猫1匹だけ。これで、総勢9匹です。今年の会期が終わる頃には、黒チビちゃんも館内を走り回っていることでしょう。
 
 モモちゃんと同じ1歳のうーちゃんはといえば、男の子なので、まだまだやんちゃざかり、庭に置かれた壷に興味しんしんでした。
 
129-4.jpg
 9匹の猫たちは、何に束縛されることもなく、自由きままに、「猫であること」を謳歌しています。キンタローくんがそっと教えてくれました。「この美術館のほんとうの主は、ぼくたち自由猫軍団なんだ。此木画伯には、いま、猫になる修行をみっちりとさせているところさ。これからの時代のキーワードは、猫的平和観だからね。余計な争いはしない、お互いの自由を認め合う、生活はつつましく心は贅沢に生きるってことさ」って。
129-5.jpg
 やはり画家の横尾忠則さんが、自分の美術館に猫を住まわせたいという構想をお持ちで、スタッフの反対にあっているとか。スタッフのかたたち、ここに見学にいらっしゃったら目からウロコがおちるのに。 横尾さん、ぜひ、猫のいる美術館を実現してください。猫好きの心が集まって、きっと平和の綿毛が飛んでいきます!
 
 猫ねこ展覧会2013は、6月30日まで。金・土・日・祝日のみ開館。10時から17時まで。私も、漁村の猫の写真を2枚出品しています。ちょっと不便な場所にありますが、吹き渡る風は心地よく、たっぷりと猫三昧できます。

写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

Instagram

カテゴリ: 道ばた猫日記
  • ツイート
  • いいね!

みにゃさまのコメント

仲間が居た!!って感じです。私の夢も「猫になりたい!!」家に居る1人息子の準之助に「ママと変わらない?」ってよく言ってます。多分うちの子は、自分が人間と思ってるけどね。

by 準之助のママ 2013-04-23 16:55

うふふ。実は私、猫なんです。その証拠に尻尾を隠しているの。いつか見せてあげるね! でも内緒ですよ!まだ何人かにしか打ち明けていないのですが、友人の子供(小学生)が会うたびに、誰にも言わないからちょっとだけ見せて!と言います。
茉莉猫さんは、猫と人間に自由に姿を変えられるにゃんげんですね。
自由猫軍団の広報部!猫たちの間でも、このブログは大評判よ!
美術館に行くのが楽しみです。

by ruineko 2013-04-24 09:59

>準乃助のママさん

 準乃助(カッコいい名前!)くんにしたら「ニンゲンなんてやーだよ」ってとこでしょうか(笑)。私も猫になるとしたら、ノラだったら下町か漁村住まい、飼い猫だったらアバウトな飼い主がいいですね~~

>ruinekoさん

 あらあら、そんなたいへんな秘密、ここでみんなにバラしちゃっていいんですか! 私も、じつは、酔っ払ったり、焚き火にあたったり、満月の海辺では、しっぽが・・・・。

by 道ばた猫 2013-04-24 11:29

何時もお世話様です。「猫の美術館」最高です。

by 花澤三津子 2013-04-26 14:55

はじめまして。この記事を読んでブログで紹介させていただきました。そして どうしても行ってみたかったので、昨日おじゃましました。でも 家を出た時間が遅く、作品をじっくり見る時間がなかったので、日を改め もう一度伺う予定です。体験でトールペイントをしてきました。コノキ先生、奥様、スタッフの方々、気さくでいい方ばかり。コノキ先生は「赤ちゃんいるよ」って 見せてくださいました。また 行きたくなる 心のあったかいところですね。

by マフィントップ 2013-04-28 04:27

>花澤三津子さん
 コメント、ありがとうございます!ゴールデンウィーク、丘の上は、大賑わいでしょうね。5日あたり、また伺う予定です。
>マフィントップさま
 ブログで、ご紹介ありがとうございます! そうなんです。ここは、一度行くと、居心地がよくて、遠いのもものかは、また行きたくなるんです。この次は、ゆっくりと、ぜひ。

by 道ばた猫 2013-04-29 00:00

 >猫日記読者のみなさま
 このブログでお披露目した、ももちゃんの産んだただ1匹の仔猫、チビ黒ちゃんは、残念ながら、育ちませんでした・・・。そもそもお乳を吸う力が弱く、風邪をこじらせました。ももちゃんもそれはいいお母さんでしたし、美術館のかたがたも手を尽くされましたが、空の星になりました。美術館の9番目の猫として、みんなをしあわせな気持ちにしてくれた黒チビちゃん、キミの事はけっして忘れないよ! そして、黒ちゃんがいなくなったあと、美術館に、奇跡のようなドラマが・・・。どんなドラマか、近々猫日記でご紹介します。

by 道ばた猫 2013-05-09 22:32