[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2012年06月12日

仔猫の季節　その２

　猫びより７月号が、きょう発売です。猫のいる宿特集の、神楽坂和可菜のモモちゃんの取材記事を書いています。じつは、撮影うらばなしがあって、モモちゃんは、大のオトコ嫌い、カメラ嫌い。だから、これまで雑誌などに登場していず、「和可菜には可愛い猫がいるらしい」という噂の猫。

　取材のとき、モモちゃんはカメラマンの姿をみるや、網戸を体当たりで倒して逃走。アップの写真が撮れず、私が和可菜の泊まり客になって、仲良くなって、アップ写真を撮らせてもらいました。モモちゃん、世間ずれしてなくて、本当に可愛い子です！

　さて、千葉県匝瑳（そうさ）市の松山庭園美術館で開催中の『猫ねこ展２０１２』も、あと２週間。日曜日に訪れると、サロンのケージのなかですやすや眠る２匹の仔猫が、来館者の人気のまとでした。

　猫展初日に駐車場に捨てられていた仔猫たち、よそから持ち込まれた仔猫たち、あわせて７匹の仔猫の面倒を、館長さんの此木画伯夫人が、スポイト授乳で、育てあげたのです。さいわい、７匹ぜんぶ里親が決まり、すでに５匹はもらわれていき、残る２匹もきまっていて、もうすぐもらわれていきます。美術館オーナーの此木夫妻は、ほっとするやら、さびしいやら、でしょう。まさに猫ねこ展は、猫を愛するひとたちの場となったのでした。

　この日は、自作の猫の詩を朗読する会が開かれ、私も参加しました。やっつけで（笑）３つ詩を作ったのですが、やはり自分で読むのは恥ずかしかったので、ほかの方に読んでいただきました。「ケンジ」を読んでいただいたときには、保護されたときからいままでのケンジの写真を紙芝居風に見てもらいました。

　左が、保護されたばかりの仔猫時代のケンジ。みぎは、ビビリのくせにえらそうな最近のケンジです。ケンジにも、こんないたいけな仔猫時代があったのです（笑）。すべての仔猫がいじめられることもひもじいこともありませんように！

　『ケンジ』

　東京の西の町で　ノラの母さんから生まれた

　商店街をうろつきちゅうに　保護された

　しっぽのまがった　へんなもようの仔猫

　ある家にもらわれたけど、ひと晩で帰された

　先輩猫をいじめた、と

　ビビッて　フーって言っただけなのに

　また　ある家にもらわれたけど　また帰された

　ちっともなつかない　いじけてる、と

　可愛げのない仔猫は　里親会に出してもいつも売れ残り

　うちにおいで　そういわれて　もらわれていった家には

　婆さん猫が３びきいた

　ロック歌手のケンジのように　カッコいい男におなり、と

　ケンジという名前をつけてもらった

　だけど　ケンジはいつまでたってももいくじなし

　ケンカも木登りも苦手　虫捕りもできない

　極道猫のノラオに　道で遭遇すると　おしっこをちびってしまう

　ナツコ婆さんが　教育のために　ネズミを咥えて足元にポトリと置いてくれたときも

　抱っこして　ひと眠り

　しっぽのまがったケンジ　へんなもようのケンジ　いくじなしのケンジ

　へんな寝相のケンジ　なさけないケンジ　内弁慶のケンジ　ビビリのケンジ

　このごろやっと木登りできるようになったケンジ　おっさんっぽいケンジ

　だけど　飼い主はいう

　おまえほど可愛い猫は　めったにいないよ

　カッコいいねえ！　ケンジ　　　ずっとずっと一緒だよ！

写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹茉莉子（さたけまりこ）

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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