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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2022年12月13日

ナツコのヒミツ

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ナツコは、28年前の夏に生まれ、5年前の夏に23歳の生涯を終えたわが家の猫です。
見ての通りの濃い三毛で、その特質「気が強い。わが道を行く。情が深い」の3つをしっかり併せ持つ三毛女子でした。

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これは、19歳の時。美貌も目ヂカラも、衰えることはありませんでした。

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ナツコが来た当時、私はスマホもカメラもパソコンも持っていなかったので、13歳くらいの、この原っぱに寝そべる写真くらいしか若い時の写真はありません。
ナツコは、釣り堀で釣り師の釣った小魚をかっさらって生きていた「モモ」を引き取って間もなく、若くしてモモが産んだ子です。
モモはキジトラでしたが、生まれた3姉妹はサビ2匹、三毛1匹で、サビのスーちゃんは19歳までお達者でした。

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これは、15歳くらいの時。
一見、和服が似合いそうな大和なでしこに見えるのですが......。かなりの激しさを秘めた子でした。
この頃は、自由出入り飼いがほとんどで、ご近所さんも猫好きぞろい。空き地や原っぱがたくさんありましたから、ナツコは、出かけてはいろんなお土産を持ち帰りました。
バレンタインデーの夜中に枕元に持ち帰った大きなクマネズミは、驚愕のプレゼントでした。「どうよ」と見下ろすナツコの誇らしげな目。「なっちゃん、ありがとう。気持ちだけで充分」と礼を言い、クマネズミさんは気絶していただけなので、放してやりましたが。

そんなナツコも、18歳を過ぎたあたりから遠出をしなくなり、もっぱら庭やベランダで日向ぼっこを楽しむようになりました。
後からやってきた元ノラケンジや菜っぱさんとは、絶対につるまず、孤高を通しました。

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年齢と共に目つきがますます精悍になり、あたりを払う雰囲気がありました。
私が深夜までパソコンの前で作業をしていると、「なに、いつまでダラダラやってんのさ」とばかり、わざと邪魔しに来るのです。

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そして、足をパソコン上に投げ出し、果ては大あくび。
「さっさと寝ましょう」の誘いです。

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きちんと畳んだ毛布より、自分でしわくちゃにした毛布の上がお気に入りでした。

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20歳を過ぎると、ちょっと口元の辺りに緩みが出てきて、しぐさもおとなしめになりましたが、夜仕事の邪魔は相変わらず。

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22歳の時。ベランダで、朝日を浴びて、とても気持ちよさそうなこの表情。ナツコはもしかして25歳、26歳と生き続けるんじゃないかと思うくらいお達者でした。

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22歳の秋。窓辺にいたナツコにカメラを向けたら、すっとすまして、凛々しい写真を撮らせてくれました。
そんなナツコは、23歳の7月に、ふっと旅立ちました。前日まで、庭で夕涼みをして。
こんな魅力的な猫には、2度と会えないという気持ちでいっぱいでした。もちろん、どんな猫もそうなのですが、ナツコほど、猫の野生と情の深さを見せてくれた猫はいません。

さて、皆さんは、「新宿東口の猫」をご存じですか?
そう、昨年7月1日に、新宿東口交差点そばのビル3階に突如住み着いた、飛び出す巨大猫です。

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この三毛さんは、登場するや、日本中の話題をかっさらい、外国でもニュースになったほど。会いに行く人が後をたたない人気者です。

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ある日、このプロジェクトを手掛けた、世界的に活躍する映像作家でプロデューサーの方が、私が参加していた作品展会場にお見えになり、こうおっしゃったのです。
「あの猫は、佐竹さんのおうちのナツコちゃんを、イメージモデルにしたんです」と。
驚きましたとも!!
会いに行くと、警視庁と防犯コラボして、警帽をかぶった凛々しい三毛猫は、私の顔をじっと見つめました。
「今頃、気づいたの?」と。

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この三毛さんは、三毛のオス猫の設定だそうです。
ナツコはあくまでもイメージで、三毛柄や顔立ちがモデルになったわけではありませんが、 豪快な大あくびが、かつてのナツコにそっくりです。

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ナツコと東口の猫のヒミツは、今発売中の「猫びより1月号」特集最後に詳しく載っています。新海誠監督のインタビューも担当しましたので、ぜひお読みください!

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それにしても、やはりただものじゃなかった、ナツコ。
東口の猫は、そこに住み続けるそうなので、行けばいつでもナツコの面影に会えます。凛々しく愛らしく、道行く人を笑顔にしてくれます。なんて粋な贈り物を、ナツコは最後に遺してくれたのでしょう。いま写真を見返して、ナツコにどんなに愛されて暮らしていたのか、痛いほど感じます。
文化庁から「インパクト賞」までもらった東口の猫。このイメージとしてディレクター氏のお目にとまったナツコのSNS写真とは、ここに挙げたうちのどれだと思いますか?
私はてっきり2枚目の90度開脚写真と思ったのでしたが......。なんと!5枚目のほくそ笑む写真と聞いてびっくり。その理由を聞いて大いに納得。詳しくは猫びよりで。


「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

ナツコさん、歳を重ねても、なんて凛々しくカッコいいネコさんだったのでしょう!
涼やかな瞳も素敵です(^o^)
文章の端々から、佐竹さんとどれほど強い絆だったのか伝わってきました…
確かに、5枚目のほくそ笑むナツコさんの写真は「ただものではない」感たっぷりですね!
まるで往年の大スター☆
映画の主役が張れる存在感!
しばらくの間、見惚れてしまいました♪
プロデューサーの方がインパクト受けたのも納得です。
これはぜひ、猫びよりでナツコさんと東口の猫のヒミツを読まなくては!(笑)

by ぴっころ 2022-12-13 15:22

ああ!顎が外れる、足がつった、と思ったら、その目力も半端でなく表情豊か、こんな猫と暮らせたなんて佐竹さんは本当に幸せ者。ナツコさんも佐竹さんに深く愛され、ストレスなく自由に暮らせて長寿・大往生出来たのだろう、素晴らしいの一言。更には新宿東口に復活とは、何と恩情豊かなネコさんか。早速雑誌片手に見に行かなければ・・・。

by Y.M 2022-12-13 16:46

なんと! 「新宿東口の猫」のモデルがナツコさんとは。本年最後の大仰天。
言われてみれば、聡明で情の深そうな佇まい、ナツコさんそのものじゃありませんか。
天に戻ってもなお現世に軌跡を残す、さすがはナツコさんとしか言いようがありません。(ステキ!)

by ヤンヤン 2022-12-13 17:54

ナツコさん!
お会いしたかったなぁ。
なんて凛々しくて、高貴!!
小魚かっさらって生き抜いた「モモ」さんの、遺伝子受け継いでるのですねぇ😊

ハッキリ濃い三毛猫に、
❤️射抜かれました。

by のんびりデ○猫・愛ちゃんお母さん

by 名無し 2022-12-13 20:04

新宿東口の猫さんの実物はまだ拝めておりませんが、ナツコさんをイメージして造られたとは!
鋭く光る眼差しで、悪い事をする人がいないか周辺を見渡しているようでカッコ良いですね。

個人的には、22歳秋の凛とした佇まいの写真が素敵だなぁ、と思います。歳を感じさせない位に若々しいですよね!

by シーマン 2022-12-13 23:53

新宿駅東口近くのビルの飛び出す猫をTVのニュースで見て、一目惚れをしてしまいました。

道ばた猫さんが飼っていたナツコさんをイメージした猫だったとは、驚いたと同時に嬉しくなりました。

生前のキリッとしたナツコさんの写真を拝見して、警官の姿をした猫にピッタリだと思いました。
この猫から睨まれれば、悪いことをする人はいなくなりそうですね。

大勢の候補の猫の写真の中から、ナツコさんの写真を見つけた映像作家の方は、本当に素晴らしいと思いました。

早速、猫びより1月号を買って、東口の猫の秘密を読みたいと思います。

by チセママ 2022-12-14 00:49

ナツコさん!!一枚目から存在感がものすごいぁ、昭和の映画スターみたい!昔の加賀まりこさんのようにもみえるなぁーなんて圧倒されながら美人ナツコさんをみていてたら、、そんな凄い素敵な秘密があったのですね!!今夜、仕事帰りに新宿東口ナツコさんの面影に会いに行きます(^-^)猫びより1月号も買って帰ります♪

by とも 2022-12-14 07:19

佐竹さんのナツコさんに心奪われてしまう人はたくさんいらっしゃると思いました❁⃘*.゚
なんと素敵な三毛猫ナツコさんᐡ⸝⸝> ·̫ <⸝⸝ᐡ

ずっとずっと
新宿で生き続けて
羨ましいです✩.*˚

ナツコさんの
眼力にハートを射抜かれたー!

by 銀次 2022-12-14 13:37

ナツコちゃんの豪快なあくび、不敵な佇まい、きれいな三毛柄…
魅力的です。
うちの三毛さんは、縞三毛で色味はどんよりしてます。気質は、王女様。
東口の猫さんは、TVのニュースで見て、楽しくてウキウキしました。モデルが茉莉子ちの猫さんだったなんて!!読みながら、キャーキャーしてしまいました。

by ちぃ 2022-12-14 20:53

>ぴっころさん

ナツコに仕事の邪魔をされた夜な夜なが、今ではとても恋しいです。
今の菜っ葉ちゃんは、ナツコと正反対、けっして邪魔をしないひっそりした子ですから。

by 道ばた猫 2022-12-16 12:11

>Y.Mさん

おっしゃる通りこんな猫と一緒に暮らせた私は果報者でした。
媚びずつるまず「自分を生きる」見事な一生を見せてくれました。

by 道ばた猫 2022-12-16 12:13

>ヤンヤンさん

そうなんですよね、東口の三毛くん、自由奔放に見えて、情が深そうなところがチャーミングですよね!
さすが猫の魅力がよくわかっている方たちの制作と思いました!

by 道ばた猫 2022-12-16 12:16

>愛ちゃんママさん

たっぷり愛ちゃんが、3Dで飛び出してくるのも、見てみたい!!
ものすごいハッピー・インパクト、あると思います(笑)。

by 道ばた猫 2022-12-16 12:19

>シーマンさん

私も、最後の22歳秋の写真、大好きなのです! 撮りながら「あとどのくらい一緒にいられるのだろう」と思ったことを覚えています。思いがけず、若々しい表情でした。

by 道ばた猫 2022-12-16 12:21

>チセママさん

ナツコは、ひざに乗ってきたりゴロゴロ言ったりは、決してしない子で、でも、いつも私を見つめていました。もっと二人きりの時間を作ってあげればよかったなあと、思います。

by 道ばた猫 2022-12-16 12:24

>ともさん

猫写真を撮り始めたとき、いつも玄関先に猫たちがのんびり寝ているおうちがあって、あとで加賀さんのお宅で面倒を見てもらっている子たちと知りました。加賀さん、私も大好きです!

by 道ばた猫 2022-12-16 12:27

>銀次さん

たくさんの方に「ナツコ、かっこいい!」と言っていただけて、飼い主としてうれしい限りです。
ナツコ、聞いてる?「どうよ」と返事が聞こえました(笑)

by 道ばた猫 2022-12-16 12:30

>ちぃさん

シマ三毛さんは、やさしくて気立てがいいですよね。ナツコは、けっして気立てのいい子ではなく、他の猫と仲良くできない猫でした。それぞれ愛しいですよね~~。

by 道ばた猫 2022-12-16 12:32

ナツコさんの記事、猫びよりで拝見しました。
道ばた猫さんとナツコさんのステキな信頼関係、自由な生活感。ナツコさんは、お空に行ってしまったけれど、なんてステキな置き土産を残してくれたのでしょう!
かつてのナツコさんのどの写真にも、強い存在感、意思、生命力を感じます。
東口の猫さんに、会いに行かなくちゃ!
ナツコさんの道ばた猫さんへの深い愛情を感じました。たくさんの猫さんたちが道ばた猫さんを護ってくれているようなあたたかい気持ちになりました♪

by ruineko 2022-12-17 07:28

あの猫さんにモデルがいて、それが佐竹さんのナツコさんとは!
みんな写真撮っていて沢山愛されてます。

by ともこ 2022-12-27 06:39

>ruinekoさん

年を越してのお返事ですみません!
そうですね、いなくなっても猫たちはたくさんの不思議を残してくれますね!

by 道ばた猫 2023-01-11 17:48

>ともこさん

あの交差点に立つと、「聞いて聞いて、みんな。あの猫のイメージモデルはナツコってうちの子なのよ」と言いたくなるのを、グッと押さえます(笑)。

by 道ばた猫 2023-01-11 17:49