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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

わんにゃん支援活動

2022年04月25日

「Perro Dogs Home(ペロ・ドッグズ・ホーム)」さまの活動レポート(2021年度)

フェリシモ猫グッズの販売額の一部である「フェリシモの猫基金」、フェリシモメリーポイントの「動物たちの保護と飼い主探し支援」、 毎月ひと口100円「フェリシモわんにゃん基金」等でみにゃさまからご支援をいただいている団体さまの活動レポートです。

実施場所:東京都、神奈川県、およびその隣接県

2021年10月12日、当会Facebookに訃報が届きました。
亡くなったのは2012年7月に私たちの会から譲渡されたチワワの男の子でした。
東京都動物愛護相談センターでこのチワワの男の子と出会ったのは2011年の7月のことでした。
書類を提出にセンターの事務所を訪れると、働く職員さんたちやデスクのあいだからリードでつながれたチワワの小さな姿が見えました。
犬舎の棟に犬の姿があるのはごく当然のことですが、事務所のフロアに犬がいる光景はあまり見ないものでした。
職員さんの説明を聞いて事情が判明しました。このチワワは、小型犬舎の奥から近づく職員を激しく威嚇した。しかし根の悪い子ではないようなので、事務所に置いて人に慣らすことにしたのだと。

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センターから引き出した直後に撮った写真

その言葉を聞いて、「ああ、センターは本当に変わったのだ......」とあらためて感慨を覚えました。
この10年前だったら、このチワワのような振る舞いの犬は犬舎に入れられたままとなり、見知らぬ人と接する術を学ばぬまま、来訪する人間に威嚇的にずっと吠えかかっていた可能性が高かったと思います。その結果、あるいは「攻撃的」という烙印を押されたかもしれません。
しかしこのときまでに、センターは収容した犬を救う方向で、可能なかぎり手を差し伸べるようになっていました。目の前の光景がその変化をはっきりと証明していました。

私たちはこのチワワをセンターから引き取ることに決めました。
ご存じのように、チワワの男の子には小さく愛らしい外見に似合わぬ手ごわい一面があります。1本の鋼の棒のように真っ直ぐで強く固いが、変に折り曲げてしまうと手に負えないといったふうに。
一方で、チワワの警戒心が解け、その固い外殻が割れると、中から思いもしなかった親密さと心根のやさしさが顔をのぞかせることがあります。その瞬間の幸福感はチワワの信頼を勝ち得た人にのみ味わえる特権かもしれません。

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心を開いた相手であれば、人にも他の犬に対しても愛情豊かだった

このチワワの譲渡先となるご家族を選ぶ際のハードルは決して低いものではないと考えられました。
センターから保護して1年後に、私たちの前に最適の飼い主様があらわれました。
新しい飼い主となったご夫婦は、あふれるほどの愛情を先住犬とこの子に与え、どんな場所にもこの子たちを連れて行ってくれたのでした。
ドッグランは当然として、ドライブ旅行、ドッグスイミング、ボート乗りまで。その都度、画像入りの楽しいご報告をくださいました。
今年になって、病を得たとの連絡があり、治療に手を尽くしているとの報告をいただいていました。しかしそれが及ばなかったことを私たちは知りました......。

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飼い主様から送られてきた写真の一部。あらゆる楽しさを共有していた

このチワワの男の子は最高に幸せな後半生を得ました。
しかし振り返れば、そのすべては、収容されたセンターの職員さんたちの小さな(そして偉大な)心配りから始まったのでした。
威嚇的な振る舞いの背後にあったこの子の潜在的な素質を見逃さず、人に慣れるような環境づくりをしてくれたこと。
年月を経て東京都のセンターがそういう場所になっていたことが、この子に幸せをもたらしたにほかなりません。


<ご支援くださっているみなさまへ>
上記のように、ここ20年の犬や猫に対する保護行政のあり方の変化はきわめて大きいものです。
その変化の背後には、粘り強く行政の扉を押し広げていった先輩ボランティアたちが存在し、また行政サイドやセンターの現場にも、理想を求め、自らの職分を超えて努力奮闘してくださった人々がありました。
しかし最近になって、本当の原動力は別のところにあったと気づくようになりました。
犬や猫の保護に力を尽くしたいと考えている行政の職員や多くのボランティアたちも、その土壌が社会に生まれてこそ、はじめて前に進む力を得ることができるのです。
多くの皆さんの声、声なき声、有形無形の支援の力が、私たちボランティアの活動を後押しし、ついには、あれほど堅固に見えた動物保護行政の扉を大きく開いたのです。
ボランティアが活動できる土壌を耕すことができるのは、市井の皆さんにほかなりません。
日常的な買い物の際に、わざわざ犬や猫の保護活動のために心を砕いてくださる多くの皆さまのご支援も、そうした力の一部です。
その力の集積が、豊かな流れとなって、私たちの後押しをしてくれています。いや、私たちに限らず、すべての保護活動はその流れの中にあるといえます。ありがとうございました。



「Perro Dogs Home(ペロ・ドッグズ・ホーム)」
HP:http://www.perro-dogshome.com/
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