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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

岩津さんに聞く!

2021年06月11日

アニマルコミュニケーター岩津さんに聞いてみよう ~猫にとってのしあわせとは? 家猫になった外猫さんのお話(後編)

今回は、タイガくんが家猫になるまでのお話の後編です。前編はこちら
12月に入り寒くなってきたので、寒さをしのげるタイガくんの寝床を家族総出で作りお庭に設置したYさん一家。手作りする様子をタイガくんは嬉しそうに見学していました。

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底冷え防止の高床式!もちろん暖房完備です

寝床ができた直後のこと、お庭で大きな猫とタイガくんが喧嘩しているのをYさんは目撃したのです。逃げようとする大きな猫を追いかけ、Yさんはこう言いました。
「悪いけど喧嘩するなら来んといてな。ここはタイガのお家やから」
立派な寝床を作ってもらい、大きな猫が現れたことで聞けた「タイガのお家」というYさんのタイガくんへの思い。大きな猫とYさんのやりとりを見ていたタイガくんは、嬉しそうにYさんに駆け寄ってきたそうです。

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お庭でYさんに話しかけるタイガくん

去勢手術の日が近づいていたある日、私はタイガくんに率直な気持ちを聞いてみました。
岩「お家に入りたいって言ってるけど、家猫になりたいの?」
タ「ぼくは家と外を自由に出入りしたいんだ。家猫ってどんなの?」
家に入るということがどういうことか伝えると、タイガくんは一言「考えたい」と言いました。
そしてタイガくんは、こんなことを教えてくれました。
「3丁目の〇〇さんちでご飯貰ってるんだ。でもちょっと道が悪くて、遠回りしないといけないから不便でね。野良猫はね、自分の家があってこそ一人前なんだ。」
「野良猫は自分の家があってこそ一人前」家を持つのが野良猫界でのステータス! 自分の家が無いと野良猫社会では肩身が狭いそうです。
ちなみに「自分の家」というのは、ご飯がもらえて安心して寛げる自分の場所が常時ある家です。だから寝床を作ってもらった時にあんなに嬉しそうに見ていたんですね。「ぼくもこれで一人前の立派な男だ!」って。
去勢手術はこの1週間後に決まっていました。手術の内容と意味を説明しYさんのお家に入るには、そしてこの地域で暮らすには、どうしても必要なことなのだと伝えると手術については受け入れてくれました。勇気と決意と覚悟がいることを、タイガくんありがとう。

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先住のご令嬢たちと

そして去勢手術当日。タイガくんは用意したキャリーにすんなり入り、お家に入るという決心をその行動で見せてくれました。そのまま動物病院へ向かい、血液検査の結果、感染症は無く健康体。年齢は1歳くらいとのこと。手術は無事終わり、地域猫活動元へも連絡し、晴れてYさん一家の仲間入りを果たしたタイガくん。おめでとう! そして、ありがとう。
タイガくんはお家に入ってすぐにリラックスして過ごしているように見えましたが、Yさんによると努力して家族の一員になろうとしているのが、よくよく伝わってきたそうです。

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犬1頭と猫3匹の4姉妹の末っ子になりました。長男だね!

お家に入って1年半。きりっとしていた目はまんまる甘えん坊の目になり、タイガくんはすっかりYさんのお父さんっ子になりました。いつもお父さんに抱っこされ、お布団で毎晩一緒に寝ているタイガくんは犬のお姉ちゃんとも仲良しで、甘えたり慕ったりの日々。そしてテレビっ子になり、世界ネコ歩きはもちろん野生動物の番組も大好きで真剣に観ているそうです。

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人に合わせてちゃんと声に出して受け答えしてくれます

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サラお姉ちゃんと

外の世界は卒業したけれど、男に二言無し。もちろん後悔も無し!
家族というかけがえのない存在を得たタイガくん、お家の暮らしはどうですか?
「1年半っていう期間はよくわからないけど、なかなか良いもんだよ。とにかくあったかいんだ。ほっこりって言うの? みんな優しいよ。だから、男を出す場面があんまりないんだよね。まあ必要ないなら良いけどたまにはね、男だからね。お父さんとお母さんには感謝してる。愛してる。ぼくの誇り。Yちゃんはちょっと特別だね。うーん、なんて言うか末っ子なんだよね。楽しませてもらってるよ。それと、家に入った時のことだけど、手術の説明と家に入る意味を教えてくれたことは、本当に良かったと思う。全然想像つかなかったから。選べたのも良かった。手術はね、思ったより辛くはなかったよ。制限はちょっと辛かったけど。家に入るのは実は緊張したんだけど、案ずるより産むが易しだったね。これから家に入る猫たちに、ぼくが説明できたら良いんだけど......。まぁ、みんなもいろいろあるだろうし、やるしかないよね。今回ぼくを取材してくれてありがとう。ぼく話したかったんだ。こんなに話せて嬉しいよ。運命ってあるんだよ。ぼくは、ここに来ることができてほっとしてる。来るまで大変だったから......。この話はいっか。とにかくありがとう。ぼくは生きてます!」

タイガくん、取材を待っていてくれてたなんてありがとうございます。そしてお待たせしました。率直な気持ちを教えてくれて嬉しいし、勉強になります。本当にありがとうね。
タイガくんの言う「ぼくは生きてます!」という力強い一言。命を謳歌し希望と喜びに溢れているのが伝わってきました。猫も人もしあわせや喜びは個々それぞれ。そのしあわせや願いや望みを、人と猫がお互いに共有し、時に譲り合い、気持ちよく共存できる世界であったらいいね。

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Yさん、タイガくんありがとうございました。


「岩津さんに聞く!」コーナーのブログ更新は、月一回、第二金曜日です。
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アニマルコミュニケーター岩津さんに聞く!

岩津 麻佳

2014年、ひょんなきっかけからアニマルコミュニケーターとしての活動を開始。落ち着いた語り口と外見からは裏腹に、動物たちのエピソードを時にユーモア交えて語ってくれます。

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みにゃさまのコメント

本当に本当に貴重なお話をありがとうございました。偶然にも、明日、野良ちゃんを迎え入れたいという方がおり、捕獲予定です。タイガくん、あさかさん、ありがとうございました。タイガくんのお話も、また聞きたいです!

by もりちゃん 2021-06-11 10:54

野良猫時代と家猫になってからの目が違うのに驚きました。やはり安心できる場所や愛情を受けて過ごせると優しい目になるんでしょうね。年内中に保護猫を受け入れる予定なので、勉強になりました!

by ちび丸 2021-06-11 11:20

Yさんからもお話は伺ってましたが‥また涙でした🥺タイガくんの一つ一つじっくり考え、決めたことには後悔なし!っていう男らしさ✨Yさんもご家族も先輩たちもタイガくんも、みーんなハッピーって素晴らしい✨✨

by maru 2021-06-11 12:38

>もりちゃん様
お読みいただきありがとうございます。タイガくんの実体験を聞かせてもらえて私も勉強になりました!

by 岩津 2021-06-11 15:56

>ちび丸様
こんなにお顔が変わるんですよね!
お迎え猫さん楽しみですね^_^

by 岩津 2021-06-11 15:59

>maru様
みんながハッピー、最高の巡り会いと決意ですよね♡

by 岩津 2021-06-11 16:02

岩津さん、素敵なお話、有り難うございます!
タイガくんのことはご家族から聞いてよく知っているのですが、
改めてタイガくんの思いを人間の言葉で知って、涙が出ました。
本当によく頑張ったね!毎日幸せで良かったね!!と、抱きしめたくなります!
優しい眼差しのサラちゃんもとても可愛いです^-^*

by れおにゃん友 2021-06-11 20:26

>れおにゃん友様
お読み頂きありがとうございます!
タイガ君が取材を待っていてくれたこと、きっと私たち人間に保護等についての猫の思いを伝えたかったのではないかと感じました。この思いを受けとめ世界中の猫たちと付き合っていきたいと思います^_^
サラちゃんは歳の離れたお姉ちゃんのようなお母さんのような存在ですね。

by 岩津 2021-06-12 13:53

待ってました!後編!ほんと、よかった!
最近、野良猫を捕獲してケージ飼いして、それで保護してるとか猫助けしてると勘違いしてるひとが多いなぁと感じていました。ごはんと安全な場所があるんだから幸せでしょ、外よりマシでしょ、という考えは、人間側の都合に合わせた傲慢、間違った自己満足に過ぎないと思っています。私はそういう考えなので、Yさんのやり方は理想的だと思いました!野良猫ちゃんの意思を確認する、ちゃんと説明をする、納得のうえで家に入ってもらう、信頼を築ける暮らし方をする、これが本当の保護だと思いました。
それに、Yさんとタイガくんの関係において、「保護」という言葉は似合わない感じですね。「共生」って感じかな。お互いの種を認めて、同じ立場、って感じ。生き物としての。私も「共生」できてるかな、まいとポルチにちゃんとできているか、訊いてみます!笑

by まいたけとポルチのママ 2021-06-12 14:14

>まいたけとポルチのママ様
共生、まさに!利他の生き方に近いですよね。
共に自分の、他の命を生きる地球でありますように。私も努めます^_^

by 岩津 2021-06-15 13:49