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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

猫又トリップ

2019年09月18日

食べることは生きること。ご長寿猫の生命力を信じるご家族のお話

一時は取材がダメになる可能性もありました。それは前日のこと、猫の胸に溜まった水を抜くという処置の中で容態が急変! 生死の境をさまようことに......。

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長男のひびとくんと。年齢差10歳。

そんなことがあったせいか、この日出会ったキジトラの「モモ」(17歳4ヶ月・女の子)からは「生きてやるわ!」という強い意思を感じたのでした。取材の日を迎えられて本当に良かった。危機を乗り越えながらも、今は元気に過ごしているみたいです。

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「やわじゃないわよ!」とでも言っているよう。目に力が溢れます。



命を救った奇跡の出会い


モモは豊川紗代さん(大阪府在住)のご主人が大学生の頃、バイト帰りに偶然見つけた猫です。「交通事故!?」駐車場でぐったりと横たわるその子猫(生後約2ヶ月)は流血も見られましたが、恐る恐る近づくと「ニャー」とご主人に向かって叫んだそうです。「まだ生きてる!」とすぐさま動物病院へ駆け込み、夜も遅く時間外でしたが緊急ということで診察してもらえることに。そして一命を取り留めたのでした。(左の前脚は機能不全で切断せざるを得ない状況だったそうです)

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しかしご安心あれ、モモの軽やかステップ。

ただ救いたいという一心で保護した子猫は即入院。治療はどんどん進み、良くなる様子をそばで一緒に見守っていた豊川さんは「いずれ家族になるだろうな。」と徐々に飼い主の自覚を持ち始めるのでした。そして、退院後はお互いの家を行き来して育て、就職してすぐの頃はご主人のご実家(山口県)に預けることもあったといいます。入院中も含め、たくさんの人間がモモの猫格形成に関わることになり、その結果、人見知りもなく環境が変わってもあまりストレスを感じない猫に育ったのかなぁと勝手に推測。もしかしたら、これがご長寿の理由なのかも?

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ちなみにモモは、7回引越ししているそうです。

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けれど、モモちゃんはすぐに自分の居場所を探す才能の持ち主。

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だから家族が増えてもマイペースなモモちゃんであった。




食欲がある限りは、おいしい食事を


「いつ死んでもおかしくない。」そう獣医に宣告されたのは今年の5月。突然家で倒れ、歩けなくなってしまったモモを遠くの救急医療の動物病院へ連れて行ったときのことです。検査の結果、「心臓」「肝臓」「腎臓」に重度の問題があり、加えて「脱水」「鉄欠乏症」などの症状も。今日か明日がヤマだと言われ、近くの病院に移ることにしました。そこからどういうわけか、モモは懸命に食べ始めたというのです。先生にも数値上、食べられる容態ではないと言われていたのに、いつもの声でごはんを求める日々。「まだ生きるよ」という飼い主へのメッセージじゃないかと感じ、モモの生命力を信じて治療することにしたそうです。

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そして増えた、飲み薬。胸に水がたまる量と、脱水とのバランスを考えながら、水分摂取量も調整。

それから3ヶ月、モモは食べ続けました。医師から推奨された療法食の「腎臓フード」(ドライ)はそのままだと食べられないので、すり鉢ですり潰して市販のウエットフードに練りこんで与える工夫を。その小さい体(体重1.5kg)で1日に4パックのパウチ(40g×4)を食べているというから驚きです。

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すり潰したドライフードのふりかけ。カリカリを噛むことができなくなった頃からこの方法に。

一番好きなウエットフードを探し求め、栄養価の高い液状の腎臓フードをバランス良く調合することが今のモモの生命線。腎臓の数値と向き合いながら、「美味しく食べること」を大切にした食事のバランスを探求する毎日です。
食欲があるなら、おいしいごはんを食べさせてあげたい。
食べることが生きること、モモも家族もそれを信じて。

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もともと少なかった体重が少しずつ増えているそう。

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移動が少ないモモのために側にはフードと水が。お気に入りのじゅうたんで、今日もお昼寝。モモちゃんありがとねー。




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猫又トリップライター紹介

ケニア・ドイ

1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。

http://kenyadoi.com

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カテゴリ: 猫又トリップ
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みにゃさまのコメント

モモちゃんの目の力強さに、ハッとしました。
食べることは、生きること。本当にそうですね!

by さび茶風 2019-09-20 17:38

ヒト以外の生き物は生きたいとしか思わないと思う。猫は死に際にいなくなるという話があったがあれは間違った解釈で、生きたいから体を治すために安静に出来るところに行くのです。モモちゃんが長く生きてくれるのを願ってます。

by クロトラ母 2019-10-27 14:38

さび茶風さん
ありきたりな言葉ですが、いつもそう思うのです。

by ケニア・ドイ 2019-12-20 13:59

クロトラ母さん
人以外は自死を選べないと、本当そうですね。
またモモちゃんの自己治癒力もすごいのでしょうね。

by ケニア・ドイ 2019-12-20 14:04