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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2018年01月23日

あたたかい場所その2・・・チャオくん

東京近辺では、4年ぶりの大雪。
美しい銀世界を見るのは好きですが、凍える思いをしている外暮らしの猫たちのことを思えば、降り積もる雪が恨めしくもなります。

こんな寒波の日々も、あたたかい場所で過ごせている猫たちはしあわせです。
チャオくんも、そのうちの1匹。

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なかでもお日様の射しこむ場所がお気に入りの、チャオくん。18歳を過ぎたおじいちゃんですが、元気そのもの。

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「お日様があたためてくれた畳の上って、とっても気持ちいいんだよ~」とばかり、ごろんごろん。
そんなお気楽猫生を満喫しているチャオくんですが、生まれたばかりの頃は......。

とある町のとあるお店で、外に置かれたケージの中で母猫ときょうだい猫たちと共に飼われていました。
「飼われていた」といっても、ケージの中には、毛布の1枚もありませんでした。大雨の日も、凍えつく夜も。
子猫たちはみなひどい猫風邪をこじらせていて、チャオくんは、すでに左目を失明していました。
近所の方からの相談で、保護団体「アリスの会」の代表金木さんは、猫の本来の飼い方を店主に説明したうえで、交渉して全頭引き取りました。

「治療をして里親のもとに1匹ずつ送り出しましたが、失明をしてしまった子だけは、なかなか里親が見つかりませんでした。当時はまだ、新聞の地方版や地域コミュニティ―紙上で里親探しをしていました。何件も問い合わせはあっても、片目がしぼんでいる子猫をもらってくれる人はいませんでした。とっても性格のいい子なのに・・・」
そんな金木さんのもとに、ある日、「猫を飼いたいのですが」と埼玉県に住む長塚家のお母さんから電話がかかってきました。

この家庭もきっと「ふつう」の猫を望まれるものと思いつつ、ダメもとで、もらい手がないまま半年近くたっている片目の見えない子猫の話をしたところ、帰ってきた返事はこうでした。
「そんなことは別にかまいませんよ」

長塚家は、靖史・麻衣子夫妻と、3歳の心(こころ)ちゃんと、生まれたばかりの灯(ともる)くんの4人家族。
アリスの会では、赤ちゃんのいる家庭には譲渡しないことになっています。でも、電話で話して好印象を抱き、長塚家を訪問した金木さんは、「このご家庭なら」と安心してもらっていただくことにしたのでした。

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子猫は「チャオ」となづけられました。
やってきてまもなく、灯くんがまだ赤ちゃんだったころ、眼球の摘出手術をしています。

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お姉ちゃんの心ちゃんも、子猫がやってきて大喜び。
チャオくんは臆病なところがあったのですが、「チャオのペースに合わせてゆっくりと」家になじんでもらったそうです。

いまでは、こんなに、シブい男前に。

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心さんも大学3年、灯さんも大学1年になりました。
「18年間、いつも、私たちのそばにはチャオがいました」と、一家は声を揃えます。

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6年前には、心さんが、草むらにいたノラの子猫を連れ帰り、チャオくんは先輩に。新入り「テン」くんのあまりの自由奔放さに、チャオくんは一時ストレスから声が出なくなり、毛も抜けたそうです。
「それでも、猫同士でなんとか折り合いをつけてもらうしかなく、様子を見守っていましたら、ほどなくお互い毛づくろいしあうような関係に。チャオは、若い刺激をもらって、以前より体調がよくなったみたい」と、お母さんの麻衣子さんは笑います。

さて、仲良しご一家で記念写真を。
テンくん、拒否していますけれど。

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逃げたがるテンくん。泰然自若のチャオくん。

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テンくんを何とかなだめて、暖かな冬日をバックに、パチリ。

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あ、今日の主役のチャオくんが横向いちゃった。
もう一枚。

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みんな、なんてあったかい、いい笑顔でしょう。

「チャオくんを迎えるとき、(片目のないことは)そんなことはかまいませんよ」とおっしゃったこと、金木さんは『とても印象的だった』と。それは、電話をなさった麻衣子さんだけでなく、ご家族皆さんも同じ思いだったのですか?」と、麻衣子さんにお聞きしました。今回の取材は、そのさらりとした言葉が私にも印象的で、金木さんに紹介いただき、訪問したのでした。
麻衣子さんは微笑んで答えました。
「(左目が)あるとか、ないとか、わが家では、そんなこと、どうでもいいことなんですよ~」
そして、ご自分の右手を見せてくださいました。
「私も、生まれつき、手に障がいをもっています。でも、ないものなんて気にせず、あるものを使って、ふつうに暮らしています」

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心さんの将来の夢は、「福祉・教育」の道を進むこと。
長塚家の目標は「全員で東京オリンピックを見ること。チャオに長生きしてほしい」こと。

ところで、私は、取材中、ずっと麻衣子さんに「どこかでお会いしたことがあるはず」という既視感を抱いていたのですが・・・取材中には思い出せず、帰り道に「あっ」と気づきました。
長塚麻衣子さんは、「お母さんの手、だいすき!」という本を書いた人。
遡れば、「さっちゃんのまほうのて」という絵本の主人公、生まれつき指のないさっちゃんという女の子のモデルのひとりとなった女の子だった、ということに。
「さっちゃんのまほうのて」は、50万冊のベストセラーとなりましたから、ご存じの方も多いと思います。

若い頃に本の中でお会いしていたのに、なぜ、取材中には符合に気づかなかったのでしょう。
帰宅して、麻衣子さんにお電話をし、現在までずっと「先天性四肢障害児父母の会」の活動を続けていらっしゃると伺いました。
会のHPを見ましたら、こんな言葉が。
「うまれつき手足や指、耳のかたちがちがっていても、みんなおなじ大切ないのちの仲間」

そう、猫だって、そう。からだのかたちが違っていても、家猫だってよその猫だって外猫だって、みんなおなじ大切ないのちの仲間。私もまったく同じ思いで、このブログを書いているので、うれしいうれしい出会いでした。

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「ボクんちも、あったかいよ~」と言っているのは、黒猫ネロくんです。

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ネロくんが看板猫を務める、埼玉県川口市栄町2-8-4の「カフェ・ド・アクタ」では、今月27日(土)まで、私の「猫だって......。」発売記念写真展をしてくださっています。月曜火曜は休みですので、雪解けの24~27日、お近くの方はぜひあたたまりにお出かけください。


「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

nekodatte200-290.jpg
猫だって......。
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。

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里山の子、さっちゃん
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。

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しあわせになった猫 しあわせをくれた猫
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!


写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『里山の子、さっちゃん』『猫だって……。』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」を連載中。

カテゴリ: 道ばた猫日記

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みにゃさまのコメント

感動しました!すばらしい家族ですね。イルカさんのまあるい地球♡みんな同じ、生きてるから。ひとりにひとつずつ、大切ないのち♡大好きな歌が想い浮かびました。チャオくんもテンくんも家族みんな幸せいっぱい!!が伝わってきました。東京近辺の天気、早く回復することお祈りします。

by ぺったんの母 2018-01-23 15:58

ご家族の笑顔、本当にいいですね。チャオくん、前の家にいたらこんなに幸せになれなかったと思います。体のパーツが少しくらい足りなくても、命があれば、幸せになれます。これからも元気に長生きして、オリンピックをみんなで楽しんで欲しいです。

by ふみちゃん 2018-01-23 15:59

わぁ!ほんとになんてあたたかいご家族の笑顔(*^_^*)
外はとっても寒いけど、この写真はぽかぽか暖かい春のようですね。なんだかとっても胸にぐっときまして涙がでちゃいました。
チャオくん、なかなかのイケメン猫さんですね(^-^)ほんとに、何か少しなくってもそれは個性になりますね。素敵なご一家ですね。とっても気持ちが明るくなりました!!

by とも 2018-01-23 20:59

あっぱれ御長寿猫さん!!『あるとか、ないとか、そんなことどうでもいいこと』とキッパリ仰るご家族に愛情たっぷり注がれた大切な命が今もこうして元気に輝き続け、笑顔いっぱいの仲良し御一家の日常が見てとれるようでした♪
私は近い将来、見た目では分からない人工関節を身体の中に入れる手術をします。あったものを失い、新しい自分に生まれ変わります。今日、長塚さん御一家から勇気をいただけた気がします!!オリンピックの頃にはどこまでも歩けるようになっていたいな。
20歳のチャオくんも楽しみにしていますね〜♫

by マム 2018-01-23 21:58

>みなさま

 文中、心さんは大学4年生とありますが、4月から4年生。現在は3年生です。
 訂正して、お詫びいたします。

by 道ばた猫 2018-01-24 09:14

>ぺったんのお母さま

ひとりにひとつずつ、大切ないのち。ほんどうに!  
どの国の人も、老いも若きも、動物も植物も。

by 道ばた猫 2018-01-24 09:18

>ふみちゃんさん

チャオくん、前の環境では、とっくに命はなかったと思います。
外猫なら、せめてお日さまのあたる場所へ移動できる環境でなければ可哀そうすぎます。

by 道ばた猫 2018-01-24 09:22

>ともさん

でしょう! あんまり一家の笑顔がすてきなので、3枚もアップしちゃいました!
それにしても、心さんはお母さんそっくりで、灯さんはお父さんそっくりだから、姉妹と兄弟2組のよう。

by 道ばた猫 2018-01-24 09:27

>マムさん

これから入れる人工関節は、マムさんの体の大切な一部になって、支えてくれるのですね。
新しいマムさん…よりパワフルになるんだろうなあ(笑)。楽しみです。

by 道ばた猫 2018-01-24 09:32

先のコメントに「道ばた猫」さんからご案内を頂きました箇所、
心さんの学年を大学3年生に、
Blogのテキストを訂正いたしました。

by 猫部Blog担当 2018-01-24 10:51

なんて素敵なご家族なんでしょう!
広く、大きな心を持った麻衣子さん。ご家族の皆さん。集合写真がなんとも言えずあたたかく、まぶしくて、思わず涙が出ました。
片目が無くても、悲観することなどなく「ありのまま」元気にたくましく生きてるチャオくん。生き様が、お顔に表れてますよね〜カッコイイ!麻衣子さんの、「ある物を使って、ふつうに暮らしている」という言葉にも勇気と感動をもらいました。
チャオくん、長塚家にもらわれて本当に良かったね!テンくんに刺激をもらいながら、末長く幸せに暮らしてほしいな♪
経験したことが無いような寒さの中ですが、心がほっこりあたたまりました。愛で結ばれた素晴らしいご家族のご紹介、ありがとうございます(*^^*)

by kimiko 2018-01-28 18:10

>kimikoさん

いい表情の猫の後ろに、いい表情の人あり、いい人脈あり。
これまでの猫取材でしみじみ痛感していることです。

by 道ばた猫 2018-01-30 10:19

チャオくんよかったね!と思いつつ読んでいったら・・・サプライズ!「さっちゃんのまほうのて」のモデルになった方のお宅だったとは!娘たちが小さい頃、保育所で借りてきたのを読み聞かせているうちに私が泣いてしまい、読んでいた娘たちがとても心配したという思い出の絵本なのです。さっちゃん、こんなにすてきな家庭を築いて、そしてチャオくんもテンくんも家族に加えていたんですね。うれしい再会でした。

by Wako 2018-02-01 22:35

チャオくんよかったね!と思いつつ読んでいったら・・・サプライズ!「さっちゃんのまほうのて」のモデルになった方のお宅だったとは!娘たちが小さい頃、保育所で借りてきたのを読み聞かせているうちに私が泣いてしまい、読んでいた娘たちがとても心配したという思い出の絵本なのです。さっちゃん、こんなにすてきな家庭を築いて、そしてチャオくんもテンくんも家族に加えていたんですね。うれしい再会でした。

by Wako 2018-02-01 22:37

里山のさっちゃん、を愛読しています。もっと知りたくなり、スマホで検索したら、嬉しいことに、すぐに、猫部にたどり着きました。暗い私に、愛をくれたのは、猫のしろくびちゃんです❗事情があって、今は、お預けしています。その分、猫ちゃんを可愛がっています☀これから、楽しみです❗ではまた。

by 赤石依子 2018-02-03 22:54

里山のさっちゃん、を愛読しています。もっと知りたくなり、スマホで検索したら、嬉しいことに、すぐに、猫部にたどり着きました。暗い私に、愛をくれたのは、猫のしろくびちゃんです❗事情があって、今は、お預けしています。その分、猫ちゃんを可愛がっています☀これから、楽しみです❗ではまた。

by 赤石依子 2018-02-03 22:55