ボクの名は「もじゃ」。見ての通りの名前だから、覚えやすいでしょ。
歴史の町佐倉市の住宅地にある、オーガニック野菜がおいしいおうちカフェの副店長をしているよ。
店長は、11歳のゴールデンレトリバーのみなみちゃん。
ボクたち犬猫コンビで、お客様をお迎えしてるんだ。
まず、尻尾を振って玄関で大歓迎するのはみなみ店長で、ちょっとシャイなボクは、頃合いを見ておもむろに登場するんだけどね。
ボクの推定年齢は、7歳。
推定というのは、ボク、拾われ子猫だったから。
7年前に、子犬の散歩をしている人に必死でついていった捨て猫だったんだ。
でも、その人は猫を飼うことができなくて、困って、個人で保護活動をしている人に連絡したんだって。連絡を受けた人も、受け入れる余裕がなくて「ムリ!」と言ったんだけど、見に来たら、ボクがあんまりあどけなくて可愛かったので、思わず「いいですよ」と言ってしまったんだって。
そこのおうちで可愛がってもらって大きくなったんだけど、事情があって、ボクを手放さなければならなくなったの。
それで、迎えてくれたのが、今の母さん。
前の母さんはボクを手放すときは大泣きだったんだけど、カフェに来ればいつでも会えるから、とっても喜んでるよ。
今の母さんは犬も猫も大好きで、犬は初代のマリンに次いでみなみちゃんで2代目。
猫は、ハッピー、ラブ、タッチに次いで、ボクで4代目。
風汰という犬をスタッフの人が連れてきていたときもあったよ。
気がついた?
そう、みなみちゃんは、『タッチ』という漫画由来の名前で、植え込みに捨てられてた猫のタッチと一緒に暮らしていた時期があったんだ。
みなみちゃんは、とっても優しくておおらかなお姉さんで、ボクはすぐに大好きになった。
ボクは、来たばかりの頃は引っ込み思案で、お店にまるで出ていけなかった。母さんは「これは副店長は無理かな」と思ってたんだって。
でも、気がつけば、お店に姿を現すようになってた。なぜなら、ボク、大好きな母さんやみなみちゃんのそばにいつもいたかったから。
そう、ボク、相当の甘えん坊なんだ!
ボクの「かまって突進」を、みなみちゃんはちょっとウザがってる。
この頃は、みなみちゃんやボクに会うのを楽しみに来てくださるお客さんも増えてきたよ。
おもしろいのは、ボクが「カワイイ~」なんてちやほやされていると、みなみちゃんが必ずやってきて「私も~」って割って入るんだ。
母さんの手が空いたなと思ったら、チョイチョイして「かまって」合図をするんだ。
それで、思いきり甘えちゃう。
するとね、みなみちゃんもすっ飛んできて甘えるの。
店長と副店長の仕事をがんばったおやつは、ふたりで仲よく半分こ。
ボクたちは大好き。おいしい料理やデザートを作る母さんの手。ボクたちをやさしく撫でてくれる母さんの手。そして、母さんの笑顔。
お店の名は「笑みごはん」って言うんだ。母さんの名前の「恵美子」からつけた名だけど、お客さんにおいしいご飯を食べて笑顔になってほしいっていう母さんの願いもこもっているんだよ。
※笑みごはん
千葉県佐倉市臼井田739-5
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佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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