これは去年の冬の写真です。
場所は、成田市のおかげさま農場の無農薬野菜直売所「かざぐるま」店内。
農家スタッフの尚子さんに抱かれているのは、グレーのチャコールちゃんと、キジトラのもめんちゃんです。
チャコールちゃんが尚子さんに保護されたのは、10月の半ば。
出荷場猫ぶちのご飯を盗み食いに現れた、これまで見たこともない子猫でした。保護後、肩乗りスリゴロの、推定2か月の女の子。よほどひもじくて寂しかったのでしょう。
そして、その3週間後にもめんちゃんも保護。
出荷場隣接の豆腐工場で出るおからを狙ってか、子猫がうろついているという情報をもとに、捕獲器で保護しました。推定5カ月弱の女の子。もめんという名は、豆腐工場由来です。
2匹は、尚子さんの家で他の保護猫たちと暮らし始めます。それはそれはにぎやかな合宿でした。去年の秋から冬にかけては、子猫の保護ラッシュだったのです。
9月にはサビキジごはんちゃん。
10月には、雨の草むらで寝ていたので心配だった「心配クロちゃん」と、いっとき心配クロちゃんのお母さんと間違われた「間違われくまちゃん」。(心配クロちゃんのお話はコチラ →
「心配クロちゃん」から「愛されコテツ」に)
その後にやってきたチャコールともめんでした。
「あまりに一気に増えていったので、よっしゃ、もう来るもの拒まずという感じでしたね」と、尚子さんは笑いますが、子猫たちはお腹に虫がいたり皮膚炎があったりで、農作業や店番のすき間に通院の日々はどんなにてんてこ舞いだったことでしょうか。
「この時期、やってきた子猫たちはみなフレンドリーで仲良し。誰かが私の膝に乗ると、わらわらとみな乗ってきました(笑)。私がトイレに行くときも、みなついてきて。毎日がワシャワシャと大運動会でした」
尚子さんちの家猫になったお兄ちゃんたちも、新入りを可愛がってくれました。
でも、どの子もどの子も可愛くても、みな迎えるわけにはいきません。譲渡先を探さなくては。
というわけで、とりわけ仲の良かったチャコールともめんは、人馴れ訓練や譲渡のきっかけをつかむために、ときどき直売所「かざぐるま」に尚子さんと一緒に通勤することがありました。尚子さんの自宅「かざねこ保育園」の出張分園は、直売所店内を縄張りとするチャーリーがケージハウスのスペースを貸してくれたので、「チャーリー保育園」と呼ばれました。
ある日、そこへ、お母さんと高校生のお兄ちゃんがやってきました。尚子さんの知り合いの方が、子猫を迎えたい家族を紹介してくださったのです。
ちょっと神妙な顔つきでお母さんに抱かれるもめんちゃん。
お兄ちゃんに抱かれておとなしく固まっている、ビビリのチャコールちゃん。
4人家族のこのおうちは2匹きょうだいで長らく飼っていた猫を亡くして、また2匹で迎えたいと希望していたのでした。
今年バレンタインデーの日にもらわれていった2匹。
さて、どう成長しているでしょうか。尚子さんと一緒に訪問しました。
中学生の次男桐司(とうじ)くんに抱かれて現れたもめんちゃん。由来がおもしろいとのことで、名前はそのままです。
さっきまで舐めていた液状おやつをお鼻につけて、若いながらまた一段と貫録ましの感が。
そうそう、このもめんちゃんの「ふて可愛い」まなざしは健在でした。
どこかに隠れていたちょこちゃんも、桐司くんに抱かれて登場。
「チャコール」を「ちょこロール」と聞き間違えた長男の柊一郎(しゅういちろう)くんが、命名したそうです。
ものおじしないもめんちゃんと一緒にもらわれたビビリのちょこちゃんも、今ではエネルギー全開。
柊一郎くんが投げるおもちゃを勇んで咥え戻るという犬のような遊びに夢中だとか。
お父さんは2匹にちょっと煙たがられ気味なのですが、お父さんが和室でくつろいでいる膝には乗っていくという甘えぶり。
お母さんは言います。
「夜中には2匹で大運動会。明け方には、枕元に来て、ご飯の催促。猫トイレの砂を床に盛大に掻き散らすことも。いろいろにぎやかにやらかしてくれます」
そんな2匹をおおらかな笑顔で包む猫好き一家。
自分のことをすっかり忘れてしまったような2匹の姿に「すっかりここの子になって」と、尚子さんはうれしくてたまりませんでした。
ところで、2匹は取材の日には猫をかぶっていたようで、ふだんはこんな風なんですって。
ででーん!とぽんぽこお腹を見せてくつろぐもめん嬢と、もめんにちょっと頭のあがらないちょこロール嬢。お母さんは、そんなもめんちゃんをついつい「ででーん」と呼んでしまうこともあるそうな。
2~3か月の月齢差があるので姉妹ではないのですが、同じように幼くして、ひもじいお腹を抱えてさまよっていたふたり。一緒のおうちにもらわれて、仲良し姉妹として可愛がってもらってほんとうによかったね!
一家の笑顔の真ん中で、いつまでも仲よく元気でね。
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道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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