フェリシモ猫グッズの販売額の一部である「フェリシモの猫基金」、フェリシモメリーポイントの「動物たちの保護と飼い主探し支援」、 毎月ひと口100円「フェリシモわんにゃん基金」等でみにゃさまからご支援をいただいている団体さまの活動レポートです。
実施場所:CAPINシェルター
<エピソード1>
当会には電話やメールで様々なご相談が寄せられます。10月なかばに茨城県那珂市からご相談が寄せられました。
「野良猫を保護していたら赤ちゃんを産んで困っています。赤ちゃんは5匹です。野良猫ちゃんの避妊手術も考え、病院も予約しましたが捕まらず失敗現在に至ります」
かつてケージでいったんは捕獲しても、鳴かれたら可哀想で、思わずふたを開けて逃してしまった、とおっしゃいます。逃がした猫が今回また産み、いまは9匹となったそうです。ほかにも近所の野良がいるらしく、このままでは爆発的に増えそうです。
「2度目はないですよ、一度捕獲したら怖くて近づかなくなる、捕獲したら放してはだめですよ。
動物福祉病院集団手術の前日に捕獲器を持って行きます。数日前からはエサをあげないでください、あるいはうんと少ない量にして、捕獲時には猫たちはおなかをすかせた状態にしてください。猫は空腹で理性を失わないと警戒はとけないからなかなかつかまらないのです」
このように話ましたが、当日私が捕獲器をかけて次々と捕まえている一方で、相談者さんはこっそり、家の裏で猫たちにごはんを与えていました。新しいごはんがいろんなところに置いてあるのを見て、私はわけがわからなくなりました。
おなかが大きな白猫がそれを食べ、エサにありついた子猫たちも簡単にはつかまりません。猫を助けるには、ときには冷徹に、残酷なくらいの決断をしなくてはならないのです。こちらもたくさんのご相談のなかから、頭数が多く、自力ではつかまらないケースを選んで動いています。物置の下に手を入れたりして、何とか4匹つかまえました。
那珂市を出たのは夜半。おなかの大きな白猫は、警戒して最後までつかまらず、子猫もラストワンがつかまらず......。高速のサービスエリアで仮眠をとり、シェルターの犬の世話に突入。シェルターの前でうとうとしていたら4時には勤め前のボランティアさんが到着。朝早くから、皆様ありがとうございます。
大きめの子猫たちは何とか自力で食べていましたが、子猫たちのために哺乳瓶と粉ミルクをシェルターに取りに行き、動物病院にとんぼ返り。小学生のときから会員で今は女子大学生になったボランティアさんが病院の受付でミルクやり。
子猫が寒さで弱り電気マットがあまり効かない。おばあちゃんボランティアさんが運んでくれた使い捨てカイロを使用すると、ようやく子猫は見繕い。女子大学生のボランティアさんが預かりボランティアさんを探して、神経をつかう最初の2夜をお付き合いの長いミルクボランティアさんにお願いすることができました。
ミルクボランティアさん宅にて
自力で食べているちびっ子ちゃんの動画を大学生の受付ボランティアさんから受け取りました。良かったです。
翌朝、残りの白猫と子猫も捕獲器に入ったと連絡がありました。黒ちゃん(黒猫)たちをリリースしながら、この子らも引き取り、病院搬送します。
自立支援センター様のご活躍。平日は毎日4名の支援員さんと障がい者の皆様がお掃除や洗濯をサポートくださっています。シェルターのお世話、散歩にどんなに助けて頂いているかわかりません。
去勢した黒ちゃんたちをリリースしに再び那珂市へ。前日に捕獲できなかった身重の白猫と子猫がつかまっていました。
常陸太田の動物病院さんへ。母猫はさくら猫にしていただくために入院。子猫はノミダニ落としのスプレーと、風邪薬、目薬を頂き、子猫だけは、CAPINへ。これから里親探しです。犬猫の幸せと、殺処分を止めるための活動です。
<エピソード2>
庭で世話をしている野良猫一家を捕獲し譲渡したいとつくば市の住民からご連絡を受けました。捕獲をお手伝いする予定だった日を待たずして、緊急のSOSが入りました。
以前メールでお知らせした猫を、昨日から隣人が自分の敷地内の物置に閉じ込めてしまいました。出してくれるようお願いしても、「うちの敷地内のことに口を出さないでほしい。警察呼ぶぞ」と言われてしまいます。このまま猫を死なせるつもりです。何とか助けたいのですが。
結局その夜は警察を呼ぶこととなり、隣人は駆けつけた警察に猫はいないと嘘をつき、「ほら居ないでしょう?」と倉庫を開けて見せたそうです。警察が猫の鳴き声がしたので行ってみると、倉庫の外に猫の入った捕獲器を見つけたそうです。つかまえてどうするのか?と聞くと、私の庭でつかまえた猫だから私が処分する、と話したというのです。水とエサを与えず、寒空に放置して殺すんだとか。4匹中2匹の子猫は見当たらないので、もしかしたら捕まってしまったのかも。
警察から隣人に注意をしてくれたそうですが、オス猫は鳴いていたから警察が介入出来たけど、子猫は鳴き声もしないから警官も無理に敷地に入る事が出来ず注意するに留まるそうです。
二人の会員さんがその夜のうちに現場に駆け付け、シェルターから捕獲器を運んでセット、猫たちをつかまえました。残念ながら子猫は1匹しか保護できず、姿を見失ってしまいました。
子猫は小屋のご飯も食べてません。昨日の夕方までいたので、隣人の罠にかかったのか、声が聞こえないように殺したのかもしれないと勘繰ってしまいます。

保護された子猫
猫はどこに行ってしまったのでしょうか。隣人は「処分するつもりだ」と、殺意ともとれる言葉を口にしていました。明確な証拠がないから動けませんが、つかまえた猫は飼い主が探していることもあり得ます。動物愛護法違反だけでなく、横領罪ともなります。殺したら器物損壊罪、どこかへ離したら遺棄虐待罪です。警察にはこの地域のパトロールをお願いしました。動物虐待は社会が許さないことをしっかりと伝え、法律の周知、市民への啓発と教育が急務だと感じます。
<ご支援くださっているみなさまへ>
茨城の犬猫たちに、いつもあたたかな応援を誠にありがとうございます。茨城では「犬猫は家族」という認識が住宅地では育ってきているようですが、町を離れれば犬は果樹園、農機具の番犬という立ち位置です。なかなかリビングにあげてもらえません。飼い主が犬猫の健康や繁殖管理に医療費を支払うというのもあたりまえではありません。フィラリア予防がなされない犬は多く、避妊をしない犬からは望まれない子犬たちが年に10頭以上生まれ、当然すべてに里親をみつけることはできず、子犬子猫はいつのまにか成長し、それが野犬や野良猫の発生源になっています。命の責任の重みを説いたところで両親や祖父母もそのように飼ってきたのだから、外飼いがあたりまえで、逃げても探さずまた新しい子犬を迎えます。飼い主の不明な犬猫の問題が未解決である理由は、犬猫への飼い方の文化のためだけではありません。少子高齢化が進んだ物価高の日本では、山間部に暮らす高齢の飼い主は医療費をかけられないからです。茨城県の野良猫の手術助成金は一般の飼い主に浸透しておらず、予算が足りずに抽選となったりしています。心ある獣医さんも少しずつ増えてきていますが、手術費は高額で、年金生活者の1か月分の生活費です。TNR、地域猫という概念をご存じない方も多く、とにかく啓発と教育が大切で、まず飼い犬猫に避妊手術を推進していかねば始まりません。
動物をめぐるトラブルはおおむね一部のボランティアの手でコツコツと解決されているのが実情です。今回のエピソードのように、猫が嫌いな方やえさやりに理解のない方は、猫をいなくするために捕獲器でつかまえてどこかで処分するまでやってのけます。これが虐待に当たるとご本人は思い当たらないのでしょう。動物愛護管理法の周知徹底を行政、警察、私たち市民も行わねばなりません。猫の問題があるところに出向き、これからもコツコツとやって参ります。たくさんの方が関わってこの国が少しでも小さな命にあたたかな国になりますように。応援をよろしくお願いいたします。
「認定NPO法人動物愛護を考える茨城県民ネットワーク(通称CAPIN)」
https://www.capin.love/