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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

岩津さんに聞く!

2023年12月08日

アニマルコミュニケーター岩津さんに聞いてみよう ~道標となり21年間生き抜いた猫さん~

みにゃさま、こんにちは。
今回は、「訪問アニマルコミュニケーション」にご応募頂いたSさんのお宅に行ってまいりました。

ご相談はこちらです。

去年の9月に21歳4ヵ月で亡くなった猫・麦(もと捨て猫、メス、キジトラ)の事でお聞きしたいです。
私自身が若く未熟だったこともあり、また、仕事も激務でストレスがすさまじい環境にいたため、と何かのせいにするのはお門違いなのですが、上手に可愛がってやれない期間が長くありました。
思いどおりにならず、手を上げてしまったことも何度もあります。今さら何を言っても都合のいい言い訳にしか聞こえませんが、それでも彼女のことが可愛く、大好きで、亡くなってからは後悔で胸が押し潰れそうでした。一生分泣いたのではないかと思うほど泣きました。
それでも「もっと違う可愛がり方があったのに」「私なんかではなく、違う家にもらわれて行った方が幸せだったかも知れない」という悔やむ気持ちが消えることがありません。 自分の言い分ばかり押し付けて、ずいぶんつらい思いをさせたと思います。私と暮らした21年間、彼女が何を思い何を考えていたか。どんなに厳しい声も受け止める覚悟はあります。彼女の声を聞かせていただけませんか? よろしくお願いいたします。

Sさんと麦ちゃんの出会いは22年前。仕事が終わるといつもはすぐにバスに乗り帰路に就くのですが、その日はなぜかいつもは通らない道が気になり歩いていると、植え込みにいる子猫が目に留まりました。生後1ヵ月程の子猫です。
周りを探しましたが親猫も兄弟もいません。一匹で生きるにはあまりに小さく、近くに車道もあったので、命の危険を感じ連れ帰ることにしました。

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連れ帰ってすぐの麦ちゃん

Sさんは多くの猫と暮らす家庭に育ち子猫の育て方は知っていたので、帰宅後から適切なケアができ子猫の麦ちゃんは無事に育ちました。道端での出会いから21歳4ヵ月という長寿を全うするまで大きな病気もなく老衰で他界したそうです。

麦ちゃんがいなくなった生活が始まり、突然想像もしていなかったペットロスに陥ったとSさんは仰います。
とてつもなく大きな後悔と喪失感で、日常生活に支障をきたすほどに。突如襲ってくる過呼吸や無意識に流れ止まらない涙と様々な症状が出始め、自分はペットロスなのだと認識しました。そんな現状に救いを求めるようにお迎えしたのがカミュくんです。

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カミュくんが家族となりペットロスの症状は徐々に治まりましたが、ご依頼文にあるように後悔は消えることは無く、今もなお心に在り続けています。
帰天後1年経った麦ちゃんはこの思いをどんな風に受け止め考えているのでしょうか。天国の麦ちゃんにコンタクトを取ってみました。

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岩「あながたいなくなって大変だったみたいよ。」
麦「うん」
岩「どう、そちらは?」
麦「うん、快適。元気にしてる。お預けね。」
岩「お預け??」
麦「うん、いろんなことがお預け。お互いにね。山あり谷ありいろんなことがね。彼女は知ったのよ(いろいろな経験をしたという意)。だから私は長生きを選んだ。私も一緒に多くの経験をした。山あり谷ありだったわ。でも私には道標があった。彼女にはなかった。」

麦ちゃんの言う「お預け」とは、苦労を伴う人生経験です。苦労の時期はもう終わり。これからは楽しい時よ、と麦ちゃんは言います。悲しみ、苦しみ、怒り、迷走、もどかしさ、こんな思いを伴う日々は当分おあずけ。Sさんにとって辛い時期は終了したのです。Sさんの人生のこの辛い期間を共に生き抜くために、麦ちゃんは21年という寿命を選んだと話してくれました。
人間にとって負の感情を伴う出来事は辛いですが、動物たちは基本的に人間のような良い悪いという個人的・社会的な判断はしません。良いも悪いも単なる出来事のひとつ。
人間にとっては辛いことも、単なる変化や現象として淡々と受け入れ、時には楽しむことさえできるのが今を生きる動物たちです。麦ちゃんはまるで「楽しみはお預けね!」とでも言うように人生の苦労期間を示しました。
麦ちゃんにとって、Sさんと生きて過ごせた21年間は神様からのギフトのような特別で尊い時間。どんな辛い出来事も、生きているうちは人間で言うしあわせや喜びを集めたような満足と充実した生涯だったようです。
こんな麦ちゃんが道標として傍に居たので、Sさんは彷徨うことなく苦労の時期を無事終えたのです。

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Sさんは他界して3回ほど麦ちゃんの気配を確かに感じたそうです

岩「手を上げられたことはどう思ってる?」
麦「そんなことどうでもいい。私は知ってほしいと思った。この世のすべての愛を。四季折々の楽しみがあるように人生にはたくさんの楽しみがある。ただそれを知ってほしかったの。ねえ、あなたは足元に咲く小さな野花を見たことある?」
岩「うん、足元はよく見る方かな」
麦「あの子にはそれが無いのよ。こんなにそばにかわいらしいものがあることに気付きもしなかった。そういう物に囲まれてるって気付いてほしかった。ちょっとは役に立てたかしら?」

足元の野花は例え。Sさんの家族や友人、職場等身近にいつもある日常の中にこそSさんが心から求めている、楽しみや愛しさを感じる何かが存在したり、Sさんに向けられている愛情があるのだと麦ちゃんは例えて言います。愛するSさんにこの世にある全ての愛を見つけ、気付き、感じて欲しい。こんな大きな愛はあるでしょうか。
最も身近な愛、麦ちゃんという存在を失くした後、多くの気付きがあったSさん。麦ちゃんの命の貢献はあったかしら? とSさんに問うています。

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真剣な話になるとカミュくんはSさんの横に移動し神妙な面持ちで聞いていました


手を上げたことについて、そこは麦ちゃんの今生の問題点ではないのでどうでもいいと言っていて、二人の関係性や麦ちゃんの思いを伺っていると、それは確かな本心なのだと感じました。どうでもいいと言われたからと言って、手を上げた時の記憶と後悔は手を上げた者から昇華したり消え去ることは難しいのではないでしょうか。
親子や家族の愛の訴えのようなものではなく、ストレスから当たってしまった。人と比べ制限が多い暮らしの中でで生きる、自分より体が小さく抵抗をしない生き物。命と愛を捧げてくれている相手に手を上げたことは生涯後悔として残るのかもしれません。どうでもいいと麦ちゃんが言った今、許す許さないの範囲を超え、Sさんがご自身と向き合う課題となったように感じました。

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岩「麦ちゃん、最後にSさんにメッセージはある?」
麦「うん、ある。人のことも好きになった方がいい。山ばっかりじゃなくて(Sさんは山登りが趣味)、人。人は愛してくれる。人は返してくれる。人からもらうものは大きい。人がすべてと言っても過言ではない。だから人も好きになって! 彼(カミュくん)はいい相棒。これから楽しくなるよ。」
今一番Sさんに必要なのは「人」。人を好きになれば人生が変わる、楽に生きられると麦ちゃんは祈るように言いました。

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Sさんの困難な時期は麦ちゃんの死と共に終わったのだと麦ちゃん自身が教えてくれましたが、これからのいい時をより楽しく生きるには、自然や動物だけに目を向けるのではなく、人を受け入れ人を求めればSさんの人生はもっともっと豊かになると言います。
そして麦ちゃんは、Sさんとの21年は曾孫と暮らしていたようなものなのだと話してくれました。麦ちゃんは姉でも母でもなく曾祖母! ひいおばあちゃんが年の離れたひ孫との暮らしに、時に戸惑い、時に奮闘し、いろいろありながらも何よりも大切でかわいい愛するひ孫と共に生きた宝のような日々。
曾祖母としての役目を終え、麦ちゃんは次なるパートナーカミュくんにバトンタッチ。人が大好き、楽しむことが大好き、と麦ちゃんがSさんに望むことの象徴のようなカミュくん。カミュくんとのこれからが楽しみですね。 Sさん、麦ちゃん、カミュくん、今回は呼んで頂きありがとうございました。いついつまでもお幸せに!

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来てくれてありがとうと何度も言いに来てくれたカミュくん。すべてを知っていて待っていてくれたんだよね。



Sさんより後日談をいただきました。

先日は、遠いところご足労いただき大変ありがとうございました。
故・麦が、私の行く道の「道しるべ」としてそばにいてくれたことをお聞きした時はとても驚きました。それも、ひいおばあちゃん的な立ち位置・目線で。私、あなたから見てひ孫だったのね。飼い主じゃなくて、ひ孫。気難しいけど、優しいひいおばあちゃん。
岩津さんを通していただくメッセージが想像の斜め上のさらに斜め上を行く内容ばかりでしばし脳内が混乱し、目が3の逆みたいになっていましたね、私。大変失礼しました。
ひいおばあちゃん麦曰く、私が気付かない「足もとに咲く小さな花」が「日常の中にあるささやかな幸せ」や「身近な方々の愛情・優しさ」を指していることは、すぐに分かりました。ぎくりとしたと言いますか、耳が痛かった言いますか。
直接話した訳でもないのに、ずいぶん踏み込んだところまで見抜かれていたのだなあ、とうれしいような怖いような。言葉が通じる人間の親きょうだいでさえ、分からないことなんて山ほどあるのに。すごいですね。 もし、動物と会話できる能力が自分にもあったら?今じゃなくてもっと昔に麦の言葉を聞けていたら?と思う一方で、「今(この状況)」だからこそ聞く耳を持てるのかも知れないな、とも思います。
筋金入りの頑固者同士ですので、ひいおばあちゃんはイライラすることも多かったと思います。今さらかも知れませんが、21年という時間をかけて伝えたかったメッセージ、確かに拝受しました。いつか虹の橋のたもとで再会できた時「まあ、ちょっとは大人になったんじゃない?あなたにしては頑張ったわね」と言ってもらえる程度には成長できたらと思います。麦がそばにいてくれた時間を無駄にしないためにも。
現在、一緒に暮らしているカミュですが、「ブラッシングもストレス解消に効果がある」とのことだったので、このところ毎日行っています(短毛種なので殆ど毛は抜けません)。よほど気持ちがいいらしく、クシを見るだけですっ飛んで来るようになりました。キャットタワーは、現在検討中です(笑)
この度は、色々とありがとうございました。またいつかお世話になることもあるかもしれませんが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。


フェリシモ猫部からのお知らせです。
「岩津さんに聞く!」コーナーのブログ更新は、月一回、第二金曜日です。 次回のブログは来年2024年1月12日(金)の公開予定です。

■ Instagram→asakacyama


【訪問アニマルコミュニケーション再開のお知らせ】
~あなたも、岩津さんを通じてペットとコミュニケーションしてみませんか?~
猫部の訪問アニマルコミュニケーションは新型コロナウイルス感染拡大の影響で募集を中止しておりましたが、現在、岩津さんのご自宅(神戸市内)より日帰りでお伺いすることが可能な範囲で再開しております。訪問範囲の詳細については個別に対応させていただきますので、ご希望の方はご相談ください。 岩津さんがあなたのご自宅に訪問して、動物と対面でアニマルコミュニケーションを行い、その様子を当ブログ上で記事にさせて頂きます。(プライバシーは守られます)
費用は90分以内¥15,000 +神戸市内の岩津さんご自宅からの実費交通費と諸経費になります。
うち15,000円は、岩津さんのご厚意により動物愛護団体に寄付されます。

詳細は、応募フォームをよくご確認の上ご応募ください。応募者多数の場合は抽選となります。奮ってご応募ください!⇒ 応募フォームはこちら

※当選の場合はご応募から1ヵ月以内にご連絡いたします。
※感染の状況次第で今後の訪問範囲を広げる予定です。
※感染拡大した場合は再び訪問を休止します。


※岩津さんへのアニマルコミュニケーションの依頼や、お急ぎの方は岩津さんまで直接ご連絡ください。
お問い合わせ先はこちら⇒animal & spirit communication
※こちらからお問い合わせいただいた場合は、猫部ブログの取材対象にはなりません。


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一部の電子書店にて配信が開始されました。

■配信が開始された電子書店(一部予約段階の書店もございます。)

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アニマルコミュニケーター岩津さんに聞く!

岩津 麻佳

2014年、ひょんなきっかけからアニマルコミュニケーターとしての活動を開始。落ち着いた語り口と外見からは裏腹に、動物たちのエピソードを時にユーモア交えて語ってくれます。

HP

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みにゃさまのコメント

なんか泣けちゃうなあ、こんな長寿の選び方もあるんだなあ、とあれこれしみじみ感じました。
愛の大きさが尊い。
友達の猫さんも20歳満了、お見送り後、程なく新たな子猫さんを迎えられた動物大好き家族さんがまたステキでねぇ。
みんな尊い!そして長寿憧れます!

by 検索マッスル 2023-12-31 10:08

検索マッスル様
愛が大きくて大きくて。。。でした(;_:)
サヨナラの後にようこそハジメマシテ(本当はお互いに決めて来ていますが♡)があるって本当に幸運で幸せな事だと思います。

by 岩津 2024-01-12 13:19