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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

岩津さんに聞く!

2021年09月10日

アニマルコミュニケーター岩津さんに聞いてみよう ~トライアルを経験した猫さんが教えてくれた大切なこと

みにゃさま、こんにちは。

今回は、2度のトライアルで里親さんに怪我を負わせてしまった保護猫わさびちゃんのお話です。
まず、わさびちゃんが保護され、2度のトライアルに出て預かりのYさんのお宅に戻ってくるまでの記録をまとめてみました。


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優しいカラーでおめめもお顔もまんまるです


昨年の秋、地域猫の餌場に突然現れた推定2歳の女の子わさびちゃん。
日頃から地域猫活動で外暮らしの猫と接している方たちは、わさびちゃんの人慣れ具合と体のきれいさから野良猫ではないとすぐに思ったそうです。わさびちゃんを保護し動物病院へ連れて行くと、やはり避妊手術の痕がありました。迷子の可能性もあるので、周辺にポステイングや貼り紙もしてみましたが、結局、飼い主は現れませんでした。そこで保護猫の預かりと譲渡をされているYさんのお宅でしばらく預かり、里親さんを探すことになったのです。

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11月に譲渡会に参加すると2組のエントリーがあり、12月に最初のトライアルが決まりました。トライアル先は猫と暮らすのが初めての40代一人暮らしの女性。その方のお部屋は1Kで、壁に大きな鏡が設置してありました。

■最初のトライアル先での様子
トライアル初日から、わさびちゃんは里親さんにスリスリしたりと友好的。2日目もいい調子でしたが、その日の夜中、わさびちゃんが鏡に映った自分の姿に威嚇し出したと思ったら、里親さんに飛びかかり咬みつき引掻き唸り声を上げたのです。里親さんはしばらくお布団にくるまって防御していましたが、威嚇と攻撃は止む気配がないので隙を見て家を抜け出し、近所のお友達の家に避難。その日は帰宅しませんでした。

里親さんから報告を受けたYさんが翌朝駆けつけると、わさびちゃんは落ち着いていましたが、里親さんは引掻き傷を多数受け怖くて部屋に入れないとのことで、Yさんはそのままわさびちゃんを連れて帰りました。

後日、里親さんからのお話でわかったのは、2日目の朝の出勤前から帰宅する夜までの長時間、背の低いソフトケージにわさびちゃんを入れていたということ。お部屋をいたずらされたくないと思い、そうしたとのことでした。

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12月下旬、わさびちゃんは、もう1組のエントリー先に2回目のトライアルに行くことになりました。
こちらは戸建てに1人でお住まいの50代女性。猫と暮らした経験がありますが、現在はいません。トライアル中は里帰り出産の娘さんが1階で赤ちゃんと暮らしておられました。

■2回目のトライアル先での様子
わさびちゃんは、2階にある広い里親さんの寝室の一角を、トライアル中の居場所として用意してもらいました。そこには、出入り自由の開放された2段ケージが寝床やトイレとして設置されていました。
初日からわさびちゃんは寛いだ様子で、2日目以降もとてもいい感じで過ごし、里帰り中の娘さんとも仲良くなり順調に慣れていきました。そして6日目のこと、里親さんが頭上に掛けてあった衣類を取ろうと寝室に置いてあったトランポリンの上に乗ったところ、トランポリンのすぐ横にいたわさびちゃんが怒り出し、里親さんの足を引掻いてしまったのです。怪我を負った里親さんからすぐに連絡があり、トライアルは中止となり、Yさんが連れて帰ることになりました。

■預かりYさん宅でのわさびちゃんの様子
Yさんのお宅ではケージには入らず、10数匹の保護猫たちと自由に暮らしています。Yさんが帰宅して玄関を開けると、わさびちゃんはいつも待ち構えていて、撫でると嬉しそうに手を伸ばし、「だっこして」と言うようにYさんの胸に上がり顔をすりつける等、とても甘えん坊。時折、触って欲しくない部分を撫でてしまうと、爪は出しませんが手ではじいたり甘噛みしたりはありました。しかし、傷になる程の攻撃は一度もありません。他の猫とはしょっちゅう小さな諍いを起こしていますが、血を見るような喧嘩に至ったことはなく、人や猫をしつこく襲うようなこともありません。
Yさんは、うちでは「ダメなものはダメ」とはっきり伝えていますが、もしかすると2人の里親さんは、わさびちゃんのご機嫌を取ったりして、少々気の強いわさびちゃんに舐められてしまったのかもしれないと仰いました。

本当のところはどうなのでしょうか。
さあ、わさびちゃんの本音を聞いていきましょう。

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岩 「2度のトライアルについてYさんから聞いたんだけど、わさびちゃんはどう思ってるの?」
わ 「あーあ、やっちゃったって感じ」
岩 「反省してるってこと?」
わ 「うん......」 落ち込んだ表情です。
わ 「もう止まらなくなるのよね。血よ」
わさびちゃんの言う「血」とは、自分ではどうすることもできない受け継がれた生まれ持った気質という意味の「血」です。

普段のわさびちゃんは、のんびりマイペースで愛嬌があり甘えん坊。猫よりも断然人が好きで、他猫のいない自分と好きな人だけの空間、時間があれば最高に幸せ、という女の子。人に対しては怒りっぽいことはなく、多少の事では動じない性格、と話していて感じました。気の短さも感じませんでした。
ただ、怖がりさんです。その怖がりな部分が、今回の里親さんを傷つけてしまった原因のようです。

怖がりなので身の危険を感じるとパニック状態になり、自分の命を守ろうと自分で何をしているか判断できない程に相手を徹底的に攻撃してしまいます。攻撃し終わりしばらくすると、はっと我に返りいつものわさびちゃんに戻るのです。最中は必死なのでほとんど記憶にないようですが、傷つけてしまったことはよくよくわかっています。

1回目のトライアルでは鏡に映った自分に心底驚き、狭いひと部屋だったので他に逃げたり隠れたりする場所もないことから、やるしかないと腹をくくり、徹底的に攻撃したようです。まさに命がけです。

日中長時間ケージに入っていたことも原因の一つなのか聞いてみましたが、これは関係ないそうです。ケージの中では、ほとんど寝て過ごしていたと教えてくれました。

わさびちゃんは狭いケージがストレスになりませんでしたが、個々の性格と状況で何をストレスに感じるか、どういう環境が安心できるかは異なるので、人間側は自分の都合ばかりではなく、その猫さんには何が適切かを慎重に見極め判断したいですね。

2回目のトライアルは、わさびちゃんが寛いでいたところ、突然得体のしれない大きな何かに襲われるような恐怖と何事が起きたのかという驚きで、必死に抵抗した結果、傷つけてしまったそうです。 つまり、2度とも突然のことに驚き、恐怖を感じ、攻撃に至ったのです。

「人と暮らすのが好きなの。外は好きじゃない......。でも自信が無いわ」とわさびちゃんは言いました。
また何かの拍子に大切な人を傷つけてしまうかもしれないという恐れ。
トラウマが大きく影響していたり、喧嘩早かったり、縄張りへの執着が強いというわけではなく、普段はのんびりさん。ただ、大きな恐怖を感じるとスイッチが入り攻撃に至ってしまうという点が、人と暮らす上で問題となってしまいます。里親さんにこの性格を理解して頂き、日々気を付けることがわさびちゃんと共に穏やかに暮らすはじめの一歩となるのではないでしょうか。

猫は環境や人の影響を敏感に受けます。どんなにおおらかで動じない性格でも影響は受けます。人が神経質にならず、過敏にならず、偏らず(偏りは感情が大きく上下することがあります)、おおらかな心でいることは猫さんに安心感を与え、その安心が心の基礎に浸透し信頼関係に至ります。

今回はトライアルという初対面の人と場所だったので、スリスリしたりと好意的な様子はすっかり慣れ寛いでくれたいたように見えたかもしれませんが、警戒心はいつもよりありました。何年も一緒に暮らし、家族の動向や言動、環境に慣れていたら家庭内で今回と同じことが起こってもこうはなっていなかったかもしれません。しかしながら、「血」とわさびちゃんは言っているので、怖がりさんということはいつも心に留めておく必要があると思います。

突然の変化や普段の生活にはないような動きや音、来客の行動等に注意し、何か起こった時にわさびちゃんが逃げられる安心できる所が室内に一か所でもあったらいいですね。人間の家族同士は「言わなくても分かるでしょ」とついつい言葉のコミュニケーションを忘れたり怠ったりしがちですが、気持ちを伝える方法としてだけでなく、配慮として言葉にすることも大切なのではないでしょうか。
わさびちゃんに「今からこうするよ」「これからこんなことがあるよ」等、事前に話して伝える。そうすれば、心構えができますし、あらかじめ伝えておけば「突然」にはなりません。

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わさびちゃんと話していて人としっかり意思疎通ができる猫さんと感じました。
猫に限らず動物たちは、人の言葉や気持ちをよく理解してはいます。しかし、そのほとんどをスルーしていることが多く(猫に多いような...)、反応が無い、もしくは表情が人間にはわかりづらいので、伝わっていない、理解できていない、と私たち人間は思ってしまうことがあります。そういった中でも、わさびちゃんは、面倒がらず人間側にわかりやすく反応をしてくれるタイプなので、私たち人間にとって意思の疎通がしやすい猫なのです。そして、わさびちゃんは一本芯の通った自立した女性です。相手に合わせることや思いやることも自然にできますし、大好きな人のために、とパートナーシップに生きがいを感じる性格でもあります。

私とあなただけのような少数の世界で生きることが気が楽なので、大勢の暮らしで人との関係が遠くなる環境にはあまり向いていないかもしれません。大勢の暮らしでも、人とわさびちゃん1対1の濃密な関係が確立されていれば心地良く感じるかもしれませんが、他の猫たちが黙って見ていてくれるかどうか...

預かりのYさんが心配されていた、「ご機嫌を取ると舐められるのでは?」についてですが、猫に対しては気の強さが出たり上下関係を重んじることがありますが、よほどのことがない限りそういう面は人には出ないように感じます。ただ、人があまりに頼りないと感じたらリーダーシップを取るタイプかもしれません。
わさびちゃんは自立した性格ですので、蝶よ花よと甘やかしたり大切にし過ぎるよりも、人との対等な関係を築くことで生きがいを感じ、より彼女らしく伸び伸びと生きられると思います。


今回のようなご相談はアニマルコミュニケーションも役立つと思いますが、獣医師、動物トレーナー等動物と関わる様々な方たちの意見も聞き、多方面から問題を考察されるのも良いかと思います。
わさびちゃんが、再び大好きな人と暮らし、彼女らしく生きることができますように。
わさびちゃん、正直に率直に話してくれてありがとう。Yさんもご依頼ありがとうございました。




フェリシモ猫部からのお知らせです。
「岩津さんに聞く!」コーナーのブログ更新は、月一回、第二金曜日です。
次回10月は、第二金曜日10月8日(金)の公開予定です。
引き続きよろしくお願いします。


■ Instagram→asakacyama


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アニマルコミュニケーター岩津さんに聞く!

岩津 麻佳

2014年、ひょんなきっかけからアニマルコミュニケーターとしての活動を開始。落ち着いた語り口と外見からは裏腹に、動物たちのエピソードを時にユーモア交えて語ってくれます。

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みにゃさまのコメント

お部屋をいたずらされたくないから留守中に背の低いケージに入れておくなんて😢ねこちゃんがいたら部屋が汚されるのが当たり前、それもまた愛しいのに。お外にいる時に苦労したのね。わさびちゃんがYさんのおうちで幸せに暮らせますように。

by ナルちゃん 2021-09-12 17:41

大丈夫、怖がりでパニくりやすいわさびちゃんの全部を愛してかわいがってくれるお家が必ず見つかるからね!
わさびちゃんは悪ないんやで。
大丈夫、大丈夫(*´艸`*)
わさびちゃんだけを待ってる人が必ずいるからね

by ネエ 2021-09-12 18:53

>ナルちゃん様
わさびちゃんとぴったり合う方と出会いがありますように、祈っています☆彡

by 岩津 2021-09-13 13:56

>ネエ様
様々な家でいろいろな経験をして運命の人の元へと近づいているのかもしれませんね^_^

by 岩津 2021-09-13 14:03

Yさんの、自分はちゃんとしてるけど里親候補者は舐められた、という発言には人間性が滲み出ている。
こんなYさんに対しては書かないのに、里親候補者のことは年齢性別とか一人暮らしとか、なんか悪意を感じる文章。娘さん親子が同居してたなんて全然関係ないことまで。
ペットが急に暴れるのは脳に異常がある可能性も考えられるから、ちゃんと動物病院で検査受けさせてあげて、Yさん。

by テト 2021-09-16 01:48

今回のわさびちゃんのお話、私の経験と重なることもあって、信頼関係を構築するまでの焦らない期間の重要性を再認識しました!今ではすっかり甘えん坊になった元野良猫のトラですが、家のなかに迎え入れるまでの、まだ信頼関係が築けていない初期、私の認識の甘さや覚悟の足りなさから、手を噛まれて一日中じんじんと痛むほどの傷を負ったことがありました。それは猫の防御本能から反射的に噛まれたもので、私の下手な行動が引き起こした結果で、今思えば、逆にトラの心が痛むことを私がしてしまったと、自分の至らなさを痛感した出来事でした。猫と暮らす歴14年の私が、野良猫1匹を迎え入れるだけでもひーひー言っていたのを思い出すと、Yさんの日頃の保護猫活動の知識と経験から教わることはまだまだあるなぁって思いました。猫に限らず、犬にもうさぎにも本能と習性があって、動物と暮らしたいならそれを理解する努力も必要だなって、身をもって痛感しています。わさびちゃんがそのままYさんちにいるのか、新しい家族に出会う準備をしているのかわかりませんが、わさびちゃんが人間を傷つけてしまったことをそんな気に病まずに、希望をもって暮らしてくれているといいなあって、思います。最後に、わさびちゃん、かわいいです。最後の最後に、この感想。笑

by トラまま 2021-09-16 21:24