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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

猫又トリップ

2016年11月23日

継ぎ足された病院手帳

猫の名まえは「にゃん太」。19歳の男の子。
私はこのネーミングセンス、好きです。ついついなんども呼んでしまう。不必要にね......。

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2つの選択


今でもむっくりとした体型から、若いころはさぞかし大きかったのですかと伺えば、やはり6kg超のぽちゃ猫さんだったそう。年相応にスリム化し、みずみずしい蒼い瞳と新雪のような真っ白な毛皮がよりお洒落で際立つようになりましたが、保護した当時は悲惨そのもの。頭にぽっかり穴が開いて膿み(猫同士のケンカ?)、目鼻もぐちゃぐちゃ(猫風邪?)で目が開かない状態。駆けつけた動物病院の先生からも「安楽死」という言葉がでてくるほど深刻な状態でした。この子猫の飼い主になり毎日病院に通うか、安楽死にするかの重い選択を迫られた西野夫妻、さぁ、どうする?

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(あにゃたならどうする?)

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ボロボロの小さい体のにゃん太は自宅の駐車場でぐったりとしていました。発見したのはご主人で、奥さまのレイ子さんはどちらかというと猫が苦手でしたが、放っておくのも忍びない。すぐさま動物病院に駆けつけ、考える間もなく決断をしなければならなかったのです。その決断から19年。今ではすっかり猫好きになったレイ子さんは猫の保護活動をするまでに。猫が人を突き動かす力は不思議ですね。

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突然の命名権、急遽作られた病院の手帳にはカタカナで「ニャンタ」と。
その後「にゃん太」に改名。なんども呼びたくなるいい名まえですにゃー。


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にゃん太さーん!はーい!



3つの病気


「細菌性皮膚炎」「慢性腎不全」「糖尿病」、19歳のにゃん太が現在、抱える病気は3つ。なので薬の種類も多く、かゆみを抑えるステロイド、腎不全の薬、インスリン注射を朝晩2回とわりに忙しい。がそこは飼い主の責務、少しでも回復するのを祈りつつ、淡々とこなしています。

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お客さんかい?まぁ、ゆっくりしていきなさいと言っているとかいないとか。

今年の7月に体調を崩し、一時は4kg台を下回るのではないか?と心配された体重も、今では4.6kgまで持ち直し、19歳には見えないふくよかさをキープ!不思議なことに、にゃん太はこのときばかりは普段食べない「腎臓サポート/スペシャル」(ロイヤルカナン)をむさぼるように食べたのだとか。さすがに自身が「やばい!」と思ったのでしょうか?こういう猫の行動もほんと不思議ですよね。

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にゃん太の食事は多種多数。いつでもどこでも食べられる、食べて欲しいというレイ子さんの思いから。



3人の恩人


薬、食事、トイレ、ブラッシングなど身の回りのお世話をするのはレイ子さんの役割。なのに、にゃん太はご主人が大好きなんだそう。膝の上でゴロゴロ、寝る時もご主人と一緒、「拾ってくれた命の恩人」だからかなぁとレイ子さんは笑っていますが、その瞳の奥は......。

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友人のアニマルコミュニケーターさん曰く、にゃん太はレイ子さんより序列が上なのだとか。

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だから「レイ子、首の後ろを重点的にブラシしなさい」と命令口調。


それでも我が子は愛おしいのです。拝見させていただいた通院履歴がそれを語っていました。
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ぎっしりと書き込まれた、動物病院でも想定外のページ数を要し、新しい紙を継ぎ足して記録しているという手帳。
「継ぎ足さないとにゃん太がどこかにいってしまいそうで」と言うレイ子さんにしんみり。愛情を感じ得ずにはいられません。

また、19年前に急遽駆けつけた動物病院が地元では評判のいい、西野夫妻・にゃん太に合った場所であったことも長生きの要因。2つの選択を迫った院長先生から代替りして今はご子息の副院長がにゃん太の担当医師ということからもあらためてご長寿の歴史を感じます。副院長先生も敬意を表し「にゃん太さん」と敬語で診察しているのだとか。

にゃん太さん、いつまでも格好いいオレさま節を見せてくださいね。

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にゃん太とレイ子さん。

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たまには抱っこぐらいいいじゃない。



【おまけ/にゃん太さん、薬を飲む】
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グイっ!

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ボエっ!

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ゴクっ!良く出来ました◎



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猫又トリップライター紹介

ケニア・ドイ

1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。

http://kenyadoi.com

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カテゴリ: 猫又トリップ
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みにゃさまのコメント

我が家の2匹目の猫は、生後3ヶ月の時、土砂降りの道路脇の街路樹のしたに紙くずのようにうずくまっていたのを保護したのですが、どうやら脳に障害があったようで、最初に連れて行った病院で、とても貴方の手におえる猫じゃないから、このまま保健所に連れて行きなさい、と言われて愕然としました。

保健所=殺処分、なんてどうしても出来なくて、動物愛護団体に相談。紹介された病院で検査して、癲癇の可能性を言われましたが、詳しい検査には何十万もかかるし、検査したからといって完治する可能性は低い、と言われ、とりあえずの投薬で様子を見ています。
が、薬でのコントロールがうまくいかず、やたらめったら噛み付くし2、3日おきに痙攣発作がおこるし、その度に暴れて家の中がめちゃくちゃになるので、もう限界!と、ドクターに泣きついたら、君は命を預かる覚悟もなしに保護したのか!君が保護しなきゃ、違う巡り合わせもあったかもしれないんだぞ!と叱られ、目が覚めました。
もう一年以上一緒に暮らしていて、寝顔の愛らしさや、たまに手を舐めてくれたりもして、居るのが当たり前になってきました。
来年、大学病院でちゃんと検査して、治療の可能性を探っていくことにします。

西野夫妻の記事を読み、私も腰据えて頑張ろう!と励まされました。素敵な記事をありがとうございました。

by 桜さくら 2016-11-23 21:38

初めてのコメントです。
4年前に逝った家のモモタを思い出しました。
真っ白なとても綺麗な猫でした。
にゃん太君19歳なんですね。
様々な病気を抱えながらの長寿。
ご家族の愛情があってこそです。
継ぎ足した通院手帳
にゃん太君とご家族の長い歴史ですね。

by ミケ子 2016-11-23 21:45

桜さくらさん
なかなか強烈な個性をお持ちの猫さんですね。結局、猫が頼れるのは人間しかない。
桜さんに出会えて良かった。猫もそう思っていますよ。素敵な書き込みありがとうございます。

by ケニア・ドイ 2016-12-21 20:43

ミケ子さん
コメントありがとうございます。振り返ると白猫で長寿猫ってそういえば多いなぁって。
継ぎ足された手帳は飼い主さんとともに生きてきた証、とても素敵な記録でした。

by ケニア・ドイ 2016-12-21 20:49

桜さくらさま
にゃん太の記事にコメントいただき、ありがとうございました。
その後、ねこちゃんのご様子はいかがでしょうか。
大きな病院での検査で原因がわかり治療ができれば何よりですが、
もしわからなくても、治療困難でも、一緒にいるぬくもりで
お互いにしあわせを感じられたらすてきですよね。

老猫には味わい深い魅力がありますが、桜さくらさんのおうちの子は
まだお若いですよね?
にゃん太に聞かれたら怒られそうですが、
にゃん太も若い頃は手のつけられない暴れん坊でした。
何度ケンカして流血騒ぎ(病院送り)にされたことか。
その度に弱音を吐く私も、院長先生によく叱られていました。

桜さくらさんとねこちゃんが折り合いをつけて仲良く暮らせますように・・・

by にしのれいこ 2017-02-10 16:58

ミケ子さま

にゃん太、拾った時は顔も頭も目もぐちゃぐちゃで、白ネコかどうか
わからなかったんです。真っ白になってくれてよかったです。
ケニア・ドイさんの取材時、4.6キロだった体重が5.0キロを超えました。
そして、4月には20才になります。
にゃん太の長寿は、猫自身の生命力の強さだと実感しています。
まだもうちょっと、一緒に思い出を増やしていきたいと願っている毎日です。

にゃん太の記事にコメントいただき、ありがとうございました。

by にしのれいこ 2017-02-10 17:09