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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

岩津さんに聞く!

2016年09月30日

アニマルコミュニケーター岩津さんに聞いてみよう ~家族になるには

みにゃさま、こんにちは。
今回は募集しているアニマルコミュニケーションにご応募くださった方のところへ訪問してきました。

ご相談内容は以下です。

うちでは9歳の愛猫「アポロ君」(通称アポちゃん)を飼っています。

この8月のこと、仕事先で引き取り手を探していた猫、「ミーコ」(10歳・メス)も家族に迎えました。
これまでも岩津さんのブログは読んでいたので、事前にアポちゃんの了解も取り、ミーコにも先住猫がいることをお話しして迎えたつもりです。

最初は距離を保っていたものの、ここ最近、2匹の仲が日に日に悪くなってきて、度々ケンカが起きるようになってしまいました。

2匹が何とか仲良くやっていく方法はないでしょうか?
よろしくお願いいたします。


とある二人暮らしの高齢者ご夫婦のケアマネージャーをされていたTさん。

ご主人が亡くなったあと、奥さんは認知症が進み一人暮らしが難しくなったため、介護施設に入居することが決まりました。

このご夫婦宅には「ミーコ」という10歳になる女の子の猫がいたのですが、ご夫婦の娘さんは住環境の問題で引き取れず、猫の引き取り手をどうしたものかと、猫好きでもあるケアマネージャーのTさんに相談されました。

実はこの少し前のこと、Tさん一家は愛猫「アポロ君」9歳(通称アポちゃん)がもっともっとのびのびと暮らせるように、さらにいつかは行き先のない猫を迎えたいとの思いでマンションから一軒家に引越しをしていたのです。

引っ越した矢先のこの相談。突然のことで悩みましたがこれも何かのご縁と思い、「うちに来る?」とTさんがミーコに尋ねると、「ニャ~」と鳴きすり寄って来たそうです。

アポちゃんにもミーコを引き取っていいかどうか聞いたところ、聞いてるような聞いていないような様子だったとか。アポちゃんとの相性もあるため、とりあえず1週間のトライヤルということで、8月の始めにミーコはTさん宅へやってきました。

家に来て3日間は紙袋の中に頭を突っ込んで出てこなかったそうです。先住猫のアポちゃんはシャーシャーと威嚇することはありましたが、2匹が近くで寝ていることもあったので、これなら大丈夫とミーコは正式に家族に迎えられました。

時間が経てば徐々に2匹の距離は近づくかと思いきや、日に日にアポちゃんのまんまるだった目が三角につり上がり、二匹が大声を出してケンカをするようになったのです。
ケンカをふっかけるのはいつもミーコ。

のんびり過ごしているアポちゃんにちょっかいを出したり追いやったり... アポちゃんは堪忍袋の緒が切れたようにミーコを追いかけますが、身軽で素早いミーコには追い付かず今のところ大事には至っていません。

さて、お邪魔します。
玄関を開けるとミーコちゃんが「ようこそ!」と待っていてくれました。

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いらっしゃいませ

私たちの前を歩いて家の中を案内してくれます。Tさんによると、私たちが来るのを朝から待っていてくれたそうです。
二階のリビングでTさんのお話を聞いている時も部屋から出ることなく話のすべてを聞いています。先住猫のアポちゃんは3階に隠れて一切姿を見せませんが、上で私たちの話を聞いている気配がしました。

アポちゃんにあいさつをしようと三階へ上がるとミーコちゃんも一緒にかけ上がってついてきます。

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静かに寛いでいるアポちゃんのすぐ横に来ますが、ちょっかいを出すことはなく二匹で目を合わせたりと嫌いあっている感じはしません。

うつむいているアポちゃんにミーコちゃんが「ねえ、みんな来てるよ。」と手を伸ばして触れると、「うん・・・」とアポちゃんは答えます。
みんないるんだからちょっとは顔をあげなさいよ、とでも言うような声のかけ方です。

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アポちゃん

Tさんがアポちゃんに話しかけるとまん丸で穏やかだった目が途端に三角になり、「フンッ」という心の声が同時に聞こえます。

Tさんが、「ほらね。こんな三角の目になるんですよ。」と困ったように話され、私が「あらら、ほんと。アポちゃんこんなにかわいいお顔なのに...」と頭をなでていると、今度は少し離れた陰からミーコちゃんが私たちをじっと見ているのに気づきました。アイコンタクトで「どうしたの?」と伝えると悲しい表情に変わりました。

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ミーコちゃん

アポちゃんは前日にライオンカットにトリミングしたばかりなのでそれを褒めたり、動きがとてもゆっくりなのでそのしぐさがかわいらしいわと話しかけていると、さらに強いミーコちゃんの視線を感じました。

その目は悲しさと不安でいっぱい。気が緩むとその目から涙がこぼれ落ちそうです。そして「うらやましい」という思いが強く強く伝わってきました。

長年の飼い主であるTさんのアポちゃんへの愛は絶対的で不動です。どんなことがあってもその愛情が変わることはありません。
そしてその愛を受けて育ったアポちゃんに疑いや愛を失う不安は一切ありません。揺るがないTさん一家のアポちゃんへの愛。そしてアポちゃんから放たれる揺るがない信頼と絶対的な安心から生まれる落ち着き。

一方で、その愛に満ちた家族の中に突然入ることになったミーコちゃん。

しあわせなTさん宅に迎えられたのは喜びであり幸運とはよくよくわかっているのですが、そのしあわせに一日でも早くなじもうとするミーコちゃんには無理がありました。
なぜならミーコはしあわせなままやって来たのではなく、悲しみと寂しさ、不安でいっぱいだったからです。その思いを押し殺してなじもうとすることに無理があったのです。
ミーコが紙袋に頭を入れたのは、Tさんに決して悲しい顔を見せまいとしてのことでした。

元の飼い主である大好きなお母さんが介護施設に入ることになり、一人ぼっちになるのでは?と不安でいっぱいだったミーコちゃんに、以前から慕っていたTさんに掛けられた「うちに来る?」という言葉。本当はすがるような思いで返事をしました。どんなにうれしくて、どんなにホッとしたことか。

しあわせなTさん宅へ迎えられたからといって、お母さんや住み慣れた家から離れた寂しさ、不安がすぐに消え去ることはありません。「こんなにすてきな家に迎えられたのに悲しい顔なんかしてちゃだめ。早く私も家族になるの。ここのお家で暮らしていくの。しあわせなことなんだから。」と紙袋の中で涙を流して自分に言い聞かせていたのです。

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ミーコちゃんは焦るあまり、時間をかけ自然に心の傷を癒やすということをせず気持ちに蓋をし、傷がなかったかのように振る舞ったのです。
生まれ持った性格のがんばり屋さん、自分がしっかりしないといけないというお姉さん気質や強がりの影響も大きいかと思います。

無理に無理が重なり、思い通りにいかない(一日も早く家族の一員になりたい)いらだちが募り、過敏にアポちゃんに嫉妬し当たっていたのです。本来、我慢強いアポちゃんも毎日毎日ミーコちゃんからのちょっかいが続くことに我慢ならずここ最近はケンカになっていたのです。

そしてアポちゃんの目が三角になり、二匹がケンカするまでに至ったもう一つの原因は、お互いの紹介をきちんとしなかったことです。

事前にアポちゃんに事情は話していましたが、実際にミーコちゃんがおうちに来てからの紹介はしなかったそう。

Tさんは紹介が遅くなったことを謝り、どういう事情でミーコちゃんが来ることになったのかをアポちゃんとミーコの間に入ってあらためて話し、お互いの自己紹介、人間の家族の紹介、これからミーコちゃんは家族の一員なので気を遣わず我慢せず何でも話して何でも聞いてほしい、アポちゃんはお兄ちゃんとしていろいろと教えてあげてほしい、ミーコちゃんはアポちゃんをお兄ちゃんとして頼ってほしい、そして新しい家族の一員ミーコちゃんと共に歩んでいくことを家族全員でお話してください。

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あいまいなスタートはその関係に歪みを生むことが多々あります。そして人間への不信感にも発展します。

ミーコちゃんには個別に、寂しい思いでうちに来たろうけどその思いを我慢しないで泣きたいときは泣いて、いっぱい甘えてほしい。あなたがあなたのままでいてくれることが何よりもうれしいの、私たちは家族なんだから。と伝えてください。

アポちゃんにも個別に、我慢させて申し訳なかった、受け入れてくれてありがとうと伝えてくださいね。

頼もしい女の子のミーコちゃんと共に新しい家族の始まり。いついつまでもおしあわせに!
ありがとうございました。

Tさんから後日談をいただきました。


先日は、お忙しい中アポちゃんとミーコに会いに来て下さって本当にありがとうございました。

家族みんなでもう一度、アポちゃんミーコの自己紹介をやり直しました。
二人ともその場を離れることなく最後迄話をじっと聞いてくれました。自己紹介、あいさつは基本中の基本なのに、私も慌ててしまってお互いの自己紹介をすっとばしてしまっていたことを岩津さんに指摘されるまで、まったく気が付いていませんでした。

大好きなお母さん、長年住み慣れたお家を離れて暮らさなくてはならなくなって辛く寂しいはずなのに私に涙を見せないようにしていただなんて。
ミーコは本当に強くて優しい子です。

過去を後悔してもしょうがないので、ミーコが一日も早く不安や寂しさを感じず、アポちゃんものびのびと暮らせることを願っています。

家族で話し、アポちゃん、ミーコにもそれぞれ個別で話をした後も、まだ二人はケンカしていますが、変化もたくさんありました。

アポちゃんは以前よく私の背中に乗ってマッサージをしてくれていたのに、ミーコが来てからはまったくしてくれなくなっていました。ところがうれしいことに再開してくれました。きっと私を許してくれたんだと思います。
並んでごはんを食べているのには驚きましたし、二人が鼻同士をくっつけてあいさつしてる場面もありました。これからもっとうれしい変化が現れそうです。岩津さんから二人の気持ちを伝えていただいて本当に感謝でいっぱいです。

ありがとうございました。


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アニマルコミュニケーター岩津さんに聞く!

岩津 麻佳

2014年、ひょんなきっかけからアニマルコミュニケーターとしての活動を開始。落ち着いた語り口と外見からは裏腹に、動物たちのエピソードを時にユーモア交えて語ってくれます。

HP

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みにゃさまのコメント

紙袋の中で、そんなことを思っていたなんて。小さな体の中に、悲しみや寂しさとそれを乗り越えようと必死に頑張る強さ、感謝、たくさんの想いが詰まっていて、ミーコちゃん、そして全ての猫さんが愛おしく思えました。地域猫達、みんなを大事にしようと改めて感じています。

by さっちゃんママ 2016-10-01 11:40

>さっちゃんママ様
愛しい、そして強いですね。

by 岩津 2016-10-04 21:22